DESIGNART TOKYO 2018など
Takahiro Tsuchida

Takahiro Tsuchida / Design Journalist / Writer
土田 貴宏/デザインジャーナリスト/ライター

2001年からフリーランスで活動。国内外での取材やリサーチを通して、雑誌をはじめ各種媒体に寄稿中。家具などのプロダクトを中心とするデザインと、その周辺のカルチャーについて書くことが多い。東京藝術大学などで非常勤講師を務める。
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DESIGNART TOKYO 2018など

DESIGNART TOKYO 2018など

DESIGNART TOKYOより、ボルボ スタジオ 青山のSara Lundkvistの展示から。

DESIGNART TOKYO 2018」というデザイン&アートイベントが10/28まで開催ということで、そのダイジェスト的な記事をペンオンラインで書きました。会期前に用意した予告的記事ではありますが、週末にイベントを見て回る参考にもなるかと。ぜひご一読を。 https://www.pen-online.jp/feature/design/designart2018/1

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東京ミッドタウンで展示されているwe+の「Swell」。

そして今週末は、DESIGNART TOKYO に参加していないデザインイベントも実は数多く行われ(てい)ます。個人的に注目しているのは下記あたり。

物欲展/角田陽太、鈴木啓太、阿部薫太郎 https://www.shibuyamov.com/aiiima/post-281.html

UPCYCLED MATERIAL LABORATORY/岩元航大 https://www.kohdaiiwamoto.com/single-post/2018/10/05/NEW-EXHIBITION-in-TOKYO?fbclid=IwAR1C1ijJO07sJlimve-6GcSe3T57EfWpY2xkNniN5LtkrtTkNzb2Bv9QNBo

清水久和/MARINE https://www.axismag.jp/posts/2018/09/101382.html

ギャラリー田村ジョー/コンテンポラリー・デザインの現在・過去・未来 https://www.facebook.com/events/370530766820155/


この中でギャラリー田村ジョーは、場所はテンポラリーながら今後もデザインギャラリーとして活動するらしく、今回はwe+、倉俣史朗、森田裕之ら新旧日本人デザイナーの作品を中心に展示・一部販売するもの。デザイナーとは言っても量産品でない作品も少なからず含まれるようで、デザイン市場に一石を投じそうな企画です。

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Kvadrat東京ショールームで展示中のロナン&エルワン・ブルレックの新作カーテン「Rennes」。

ちなみに先日、Kvadratのショールームでロナン&エルワン・ブルレックの新作「Rennes」「Chaînette」を見たんだけれど、これは2015年に彼らがテル・アヴィヴで開催した展覧会で発表したカーテンが原点にある。他にも、ギャラリーのためのエディションピースなどから量産品が生まれるケースはブルレックには珍しくない。Flosの「Aim」やVitraの「Corniches」も、パリのデザインギャラリーKreoで発表された「Lianes」「Rock」がそれぞれ原型だった。

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Galeri Kreoで2010年に発表された照明「Lianes」とシェルフ「Rock」。当時、パリで観たんだった。

リーマンショックの後あたりから、家具メーカーが製品開発に慎重になり、実験的なデザインに取り組みにくくなった話は海外のデザイナーから時々聞く。その代わりに、デザイナーが制約の少ない創造に取り組むためにギャラリーと組む構図は、ヨーロッパでは定着して近年特に活気を増している。そこから生まれた作品はギャラリーから高額で販売されるわけだけれど、ブルレックの例のように、ほとんどそのまま、または一部の要素やアプローチを応用して、数年後に世の中へと出ていくという意義も大きい。

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DESIGNART GALLERY @ Francfranc Frorestにて、Mathieu Peyroule Ghiliniの「URA」。

開催中のDESIGNART TOKYOでも、デザイナーが自主的に制作して発表している作品は多い。しかしこうした作品を個人が継続的につくり、見合った価格で流通させるのは実際難しい。デザインギャラリーは、そんな活動を後押しする存在になりうる。という意味で、ギャラリー田村ジョーが量産前提でないデザインの価値を継続的に広めていくことには期待せずにいられない。

 一方、これからずっと日本にデザインギャラリーが根づかなかったら、ユーザーにとっての選択肢を狭めるだけでなく、将来的に量産品のデザインの可能性をスポイルすることになる。

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今年のDESIGNARTのパートナーカントリー、スウェーデンの「Swedish Young Form」展から。

もちろん量産前提でないデザインにも課題はあって、そのひとつは新しさの目的化だと思う。思い出すのは今年のミラノデザインウィークで某ギャラリー&ショップが別会場で行ったエキシビション。彼らが扱ってきた先鋭デザイナーの作品を一堂に展示、という内容だったんだけど、発表当時は目新しく革新的に見えたものが、たった数年経っただけで過去の残骸感が…(もちろん全部ではないけれど)。その落差は量産品とは比べものにならず、新しさで競争することのマイナス面をまざまざと見せつけられた。

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DESIGNART TOKYOのEXPERIMENTAL CREATIONS から、村越淳「Equilibrium」。

だからこそコミッションワークやエディションピースのデザインにも、社会や暮らしについての的確なヴィジョンや、明確な美意識が不可欠だと思うし、しかしそれもまた制約ならあえてヴィジョンや美意識をもたないのもありなか、いや、とはいえ……と自分でもまだ結論は出ていません。

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