イサム・ノグチの展覧会
Takahiro Tsuchida

Takahiro Tsuchida / Design Journalist / Writer
土田 貴宏/デザインジャーナリスト/ライター

1970年北海道生まれ。会社員などを経て、2001年からフリーランスで活動。国内外での取材やリサーチを通して、雑誌をはじめ各種媒体に寄稿中。家具などのプロダクトを中心とするデザインと、その周辺のカルチャーについて書くことが多い。法政大学デザイン工学部などで兼任講師を務める。趣味は飲酒とインスタグラム。
http://txtxtt.blogspot.jp/

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イサム・ノグチの展覧会

イサム・ノグチの展覧会

イサム・ノグチ《北京ドローイング(うつむく僧)》1930年、インク・紙、イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)蔵(左);《化身》1947年、ブロンズ、イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与)(右)

会期末まで残り数日になってしまいましたが、東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の「イサム・ノグチ ―彫刻から身体・庭へ―」展を観てきました。著名な彫刻家ノグチの生涯にわたる活動を回顧する内容ですが、数々の作品を身体というテーマと関連づけているのがこの展覧会のポイント。誰もが思い浮かべる彼のイメージが、ちょっと変わるのでは。身体性は、20代半ばのノグチが描いた「北京ドローイング」のモチーフになって以来、晩年の石の彫刻にまでしばしば表れているという。

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イサム・ノグチ《クメール》 1962年(1963年鋳造)年、ブロンズ、香川県立ミュージアム蔵(左);《マイアストラ、ブランクーシへのオマージュ》1971年、大理石(灰色)、横浜美術館蔵(右)

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イサム・ノグチ《 不死鳥#1》1984年、小豆島産花崗岩(左);《空間のうねり#2》1968年、アフリカ産花崗岩(中央);《無題》1987年、インド産花崗岩(右)/3点とも、イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与) photo: KIOKU Keizo

ノグチの石の彫刻は、縦長のものは立っている人に、横長のものは横たわった人に見える、という話もあるのだそう。さらに独断するなら、身体とは造形と機能からなり、その造形は有機的で機能もまた(機械とは違って)有機的。有機的な造形と機能的な組織(Organization)が溶け合って明確な境目がないのが身体、とも言える。そして有機性とは、第二次大戦後のデザインの(もしかしたらアートについても)重要なキーワードだった。

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イサム・ノグチ《萬來舎のためのコーヒー・テーブルと4脚のスツール》(部分)、1951年、木、慶應義塾大学蔵
   

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イサム・ノグチ《あかり》 1953年頃〜、紙・竹・金属、香川県立ミュージアム蔵

イサム・ノグチがアーティストであるとともに、デザイナーとしても優れたプロダクトを手がけたことはおなじみ。今回の展覧会でも、代表作「AKARI」のほか、1950〜51年に建築家の谷口吉郎とコラボレーションして制作した慶應義塾大学《萬來舎》の様子や、その空間のための貴重な家具が展示してある。ノグチによるプロダクトは、それぞれが実に理にかなった構造をしていて、造形と機能が見事に統合されている。そして彼の創造性の中でもまた、アートとデザインに明確な境界はなかったとされる。

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イサム・ノグチ《雲》1959年、アルミニウム、イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)蔵
   

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イサム・ノグチ《チェイス・マンハッタン銀行プラザのエレメントの習作》1961-64年頃、石膏(彩色)、イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)蔵 以上、画像は筆者撮影でした(3枚目を除く)。
   

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そして上の作品は、ノグチが設計したマイアミのベイフロント・パークにある、彫刻にして滑り台の《スライド・マントラ》。旅行で立ち寄ったのは2007年か。その石膏原型も今回展示されていた。イサム・ノグチ展の会期は9月24日まで、展覧会の詳細はこちら→。ぜひどうぞ。


All images: ©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] - JASPAR.

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