作品と対峙すること
Takiko Nishiki

Takiko Nishiki / POST,limArt
錦 多希子/POST、limArt

1984年東京生まれ。2012年より東京・恵比寿にあるアートブックショップ+ギャラリーPOSTに勤務。店頭対応のほかに、ウェブサイト上で新着本の紹介を更新する。その傍らに、CLUÉL hommeやPen onlineでの連載、インタビュー記事・コラム執筆などを手がける。

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作品と対峙すること

梅の花が満開になる今日この頃、春が到来する気配がいよいよ現実味を帯びてきましたね。


さて、今日はひとつ、書き仕事の機会に恵まれましたのでご報告させてください。

2016年のオープン当初から公私ともにお世話になっているQUIET NOISE arts & break、そして2017年に誕生したBasement GINZAでは、市川孝典さんの展覧会が開催されています。
この度、さまざまなご縁の重なりにより、本展に寄せてテキストを執筆させていただきました。

お時間やご興味がある方は、ぜひご一読いただけたら嬉しいです。
http://www.quietnoise.jp/interview/kosuke-ichikawa-exhibition-revue

作品と対峙すること

実は、今回の展覧会こそがわたしにとって市川さんとの作品の出逢いとなりました。
テキストを書かせていただくにあたり、「せっかくならば何も知らないまっさらな状態で作品と向き合おう」と決め、展覧会概要やステートメント(作家の意思表明)にはほとんど目を通さずに展覧会に足を運びました。

『ただ純粋に目の前にある作品と対峙する』こと。これはある意味、新たな挑戦でした。
作品の魅力を伝える仕事柄がそうさせるのか、制作者がこれまで歩んできた道のりや作品制作の手法といった、作品を成り立たせるために欠かせない構造、そして水面下に潜む文脈の数々を心得ることで、初めて作品の理解に向けた第一歩を踏み出すに値する基礎が出来上がる。そう思っていました。
だから、展覧会を訪れる前に事前知識を蓄えたり、それが出来ないときには会場で真っ先に概要に目を通していたのです。
振り返れば、自分がいち鑑賞者として表現を存分に楽しむことよりも、伝える立場としての役割に比重を置いていたところがあったように思います。

自らの役目を一旦脇に置いてみると、これまでとはまったく異なった衝撃に襲われます。
作品が醸し出す気迫がわぁっと押し寄せ、惜しげもなく覆いかぶさるように降り注いできました。
こうなったらもう、自らの感覚がひらかれていくことにただ身を委ねるばかり。
そこには、意思の及ばないところでただ圧倒されているわたしがいました。

頭でっかちになって躍起になるよりも、肩の力を抜くことで見えてくるものがある。
つい生真面目になりがちな性分に、いい気づきをもたらしてくれました。

QUIET NOISEでの展覧会は3/4(日)、Basementでの展覧会は3/9(金)まで。
ぜひ実際の作品を通じて、体感してみてほしいです。

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作品と対峙すること

次号予告

ブルックス ブラザーズから始まった定番スタイル

やっぱり、アメトラでいこう。