
私が勤める常陸國總社宮には随神門という門がある。
随神とは本来「随身」で聖域を守護するために左右に持する武官のこと。
次第に「身」が「神」の文字に変化したようだ。
この門は寛永4年(1627)に造営された御本殿とほぼ同じ頃に作られた境内最古の建造物のひとつ。
門内の「随神像」は御本殿とともに石岡市有形文化財に指定されている。
この門には社名を記した吊り提灯が掲げられているが、6年前からこれらを毎年奉納してくれる若者たちがいる。
われわれの神社を敬う若き氏子さんたちだが、その中の一人が提灯の文字を書いてくれている。
実は彼、『Pen』12月1日号p132「エビスビール」のページに登場する江戸文字の第一人者・橘右之吉さんのお弟子さん。
若き氏子で組織する「氏子青年ひたみち会」のメンバーの一人でもある。
彼と友人、そして彼のお兄さんで石岡市内で居酒屋「酒肴亭夛加木」を営むマスターの6名で今年も奉納してくれた。
平成22年の年末から始まり6年目となる今年は、志を新たに自分たちに「石岡随神講」という名前をつけた。
「講」とは集団で社寺に参拝したり、何かを奉納するグループの名前。
伊勢講やえびす講などが有名だが、現代社会で新たに組織されることはそれほど多くない。

揃いの半纏を作り、ぱりっとした姿で参拝。
新しい講ができたことを神様に奉告し、
新しい提灯を神前に奉納した。
参拝の後はメンバー自ら提灯のつけかえ。
最後に記念写真を撮った。
神社というところはずっと続けられる「伝統行事」が行われる場所だと思われる。
それはそれで間違いではないけれど、伝統はどこかでスタートされるもの。
こうして新しい伝統の誕生を目の当たりに出来るのも、
神主という仕事の醍醐味のひとつだ。
年末恒例その1である提灯の付け替えが終わり、29日には恒例その2の寒中禊。
そしていよいよお正月である。
