
一定期間で社殿を建て替える伊勢神宮の式年遷宮については、
一般にも随分と認知された感があります。
が、実は他にも定期的な建替えを行う神社があります。
その一つが奈良県の春日大社です。
神道は「常若(とこわか)」と言って常に新しく清々しい状態を尊ぶことは
何度か書きました。そのため理想を言えば、どんな神社だって常に新しい建物のほうがいいわけです。しかし物理的にも経済的にもいろいろ難しいので、遷宮を現在でも続けることが出来る神社は一握りになっています。
春日大社の場合は「式年造替(しきねんぞうたい)」といって20年に一度、大々的な改修を行います。現在、来年の造替のために神様を一時的に別の場所に遷しているために、本殿を間近で拝観することが出来ました。通常は神職や皇族の方など、限られた方しかこんなに近づくことはできません。特集p88~89はその際の取材に基づいて書かれています。
改めて感じたのは朱という色の強さ。しかも春日大社では神様に近いほど濃く塗られ本殿には非常に貴重な本朱が使われているとのこと。自然が生み出した色なのに、赤々と力強い色彩を持っています。

聞くと妻が産気づいたという本人からの知らせ。
編集のIさん、撮影のEさんに事情を告げ、一足先に新幹線に飛び乗って病院に駆けつけると、春日の神様と白鹿の導きか、まだ生まれていない様子です。
Iさんが求めて下さった安産のお守りなどを妻に渡し、お産に立ち会うこと2時間。
無事に長男が誕生しました。
名前を「啓泰(ひろやす)」と言います。
ご先祖に「師泰」という宮司がいて、その名前から一字を取りました。
お腹にいる頃から「泰」の字は付けようと決めていて、
字画を見て最終的にこの字に決まりました。

石岡の町は私がお仕えする神社の例大祭が盛大に行われるため、祭り文化が色濃く根づいています。
名前を決めた後に知ったのですが、中国には「九陽啓泰」という言葉があるそうです。
九つの太陽が普く照らし出し、物事がうまくいく、ということなのだとか。
我ながらなかなか良い名をつけたものです。
しかも「陽」は音が同じなので「羊」とも記され、
9頭の羊で瑞祥を現した絵画もあるのだとか。
確かに陽も羊も「yáng」。
声調も含めて同じ読みなんですね。
台北の故宮博物館には乾隆帝時代の逸品があるらしく、宮廷に飾られていたのだそうです。
故宮博物館蔵『緙繡九羊啓泰』

思えば今年は未年。そして息子は牡羊座。
偶然と言えば偶然だけれど、いろいろと感慨を覚える動物たちとの冒険でした。