Takahiko Ishizaki

Takahiko Ishizaki / Writer / Kannushi
石﨑 貴比古/神主ライター

1978年生まれ。東京外国語大学大学院博士前期課程修了。「週刊新潮」、「Pen」の編集部を経てフリー。茨城県石岡市にある常陸國總社宮(ひたちのくにそうしゃぐう)という神社の禰宜(ねぎ)。お祭りやお祓いをしたり、原稿を書いたり書かなかったりして暮らす。趣味は料理と禊。インドでの「ガンジス禊」を計画中だが胃腸に不安が残る。
神社公式facebookページ:http://www.facebook.com/sosyagu

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神主さんの珍しい仕事~その1~

神主さんの珍しい仕事~その1~
神主というのは言わば会社で言うところの総合職。
なので結構いろいろなことをやります。
今回はそのうち一般的に言って珍しそうな仕事を紹介します。
それはずばり「司会」です。

我々にとって最も重要な仕事は祭り、つまり神様に対する儀式ですが、
大きな祭りになると神主さんが何人も登場します。
儀式を実際に行う神主を「祭員(さいいん)」と呼びますが、
いかなる儀式や式典にもつきものなのが司会。
神社界では儀式の司会をする役目を「典儀(てんぎ)」と言います。

たとえばこんな台詞を言います。
「ただいまより本年度の〇〇祭を斎行いたします」
「宮司が祝詞を奏上します。頭をお下げ下さい」
「これより巫女が浦安の舞を奉奏いたします。皆様方は一旦足を崩していただいても結構です」
「以上で〇〇祭を申しおさめます。引き続き直会(なおらい)となりますので会場へお進みください」
などなど。

こういう台詞は何年か神主をやってると必ず口にする一般的なもの。
向き不向きはあるにせよ、神主たるものこの程度の仕事は涼しい顔で
こなさなければなりません。会場となる社殿が大きければマイクを持つこともしばしば。

が、しかし。つい先日私は通常の神主はまずやらないであろう司会をやることになりました。
これすなわちファッションショーの司会です。
神主さんの珍しい仕事~その1~
話が突飛すぎて「???」な感じなので順を追って説明いたしませう。

私が勤める常陸國總社宮では11月に「菊花祭」を行ってました。
いわゆる菊祭り、ですね。結構あちこちの神社で行われているので
大体どんなイメージかお分かりになると思います。
境内にテントなどの特設の会場を設けて菊を飾る催しですね。

ところが昭和39年に境内で火災が起きて拝殿が焼失して以来、
しばらくこの行事が途絶えていたのでした。

そこで今年、この催しを50年ぶりに復活させようというお話になりました。
声を上げて下さったのは何度か紹介している「氏子青年ひたみち会」の方々。

私は非常にうれしく思い、同時にどうせ復活するならば通常の菊祭りではもったいない、とも思いました。菊祭りはわりとスタンダードな催しなのでこのご時勢に復活するには、普通の菊祭りにはない要素があったほうがいいのではないか、と考えました。

そこで境内を菊で飾る11月1日から16日までの間、いくつかのイベントを企画しました。
そのうちの1つが11月9日に行われたファッションショーだったのです。
題して總社園遊会「装~Yosooi~」。
神主さんの珍しい仕事~その1~
編集者時代にショー自体は見る機会があったけれど、
最近はご無沙汰ぎみ。
しかも自分で開催する側になろうとは夢にも思いませんでした。
そして、どうやって開催すればいいか、皆目検討がつかないところからスタートしました。

神社でファッションショーと言ってもただのファッションショーではありません。
せっかく神社という和風の場所でやるのだからということで、和装、つまり着物のファッションショーということになりました。

まずは着物をどうするか、というお話。
これは当初からイメージがあって、近くの呉服店や結婚式場、写真館など着物を有している店舗に協力してもらい、各社のPRにしていただくとともに、着物を貸し出していただく、という方法をとりました。
突飛なお話にも関わらず、合計5社にご協力をいただけました。

お次はヘアメイク。こちらは地元に茨城理容美容専門学校というのがあり、こちらの先生と学生さんの力を借りました。ヘアアレンジには地元の生花店さんからご提供の生花を使ったのでいっそう華やかに。
さらに着付けも着付け教室を開いておられる装道桜井きもの学院の先生とお弟子さんにご協力いただきました。

モデルは全員一般の方を口コミで29人確保。うち4名は外国人となりました。
素人さんばかりながら美男美女ばかりが集まりました。

DJは高校時代からの友人で地元でイベントを行ってるDJ KA-KUNに依頼。雅楽の曲にハウスのビートをつけて、という無茶なお願いをいたしました。

で、司会といえば・・・私がやったのです。
神主さんの珍しい仕事~その1~
神主姿の眼鏡男が着物で登場する美しい男女を尻目にマイクでしゃべる姿はなかなかアヴァンギャルドだったと思いますが、ひとまず観客は満員御礼。
皆々様のご協力によってショーは大成功に終わりました。
この場を借りて皆さんに改めて御礼を申し上げます。

さらに詳しい様子は常陸國總社宮のFacebookでご覧下さい。

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