イギリス製品は、なぜ長く愛され続けるのか?
Toshiyuki Araoka

Toshiyuki Araoka / Buyer / Director
荒岡 俊行/バイヤー兼ディレクター

1971年生まれ。東京・御徒町出身。1940年から続く「荒岡眼鏡」の三代目。
父方も母方も代々眼鏡屋という奇遇な環境に生まれ育ち、自身も眼鏡の道へ。
ニューヨークでの修業を経て、2001年に外苑前にアイウエアショップ「blinc(ブリンク)」、
2008年には表参道に「blinc vase(ブリンク・ベース)」をオープンさせる。
「眼鏡の未来を熱くする。」をミッションに掲げ、
眼鏡をカルチャーの1つとして多くの方々に親しんでいただけるよう、眼鏡の面白さや楽しさを日々探求しています。
http://blinc.co.jp

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イギリス製品は、なぜ長く愛され続けるのか?

イギリス製品は、なぜ長く愛され続けるのか?

今さら言うことでもないですが、イギリスのプロダクトは、とても面白いですよね。昔から作っているものが、今でも簡単に手に入ります。

なぜ長く愛され続けるのかは、伝統を重んじる国民性といえばそうなのかもしれないですが、それだけでは無さそうな気もします。

少し前のことになりますが、六本木ヒルズで行われた「グレート・ブリティッシュ・ウィークエンド」というイギリスのプロダクトがたくさん並ぶフェスティバルに行って来ました。


イギリスのクラシックカーを専門に扱う店、バンブーシュート(https://bamboo-shoot.jp/)を見つけました。1950年代製のモーリスマイナー。フルレストアして、価格は500万円でした。
ちょっと高いなあと言うと、300万円くらいのものもあると言うのです。
でも安いとすぐに壊れるんじゃないですかと聞くと、500万円のものは塗装にお金がかかっていて中身は300万円のものとそう変わらないと言ってました。
でもメンテナンスや壊れた時の修理が大変ではないかと尋ねると、他の国のクルマとは修理事情が違い、今でも9割のパーツが比較的簡単に入るので心配ないそうです。

インターネットでパーツを注文すれば、イギリスからすぐに送ってくれるらしいです。50年代のクルマの修理パーツが、今でも9割も手に入ることに感動してしまいました。

イギリス製品は、なぜ長く愛され続けるのか? イギリス製品は、なぜ長く愛され続けるのか?

折りたたみ自転車で有名なイギリスのBROMPTON(ブロンプトン http://www.mizutanibike.co.jp/brand/brompton/)も展示されてました。ブロンプトンのスゴイところは、1台の自転車にはパーツが1200個もあり、細かな部品も含めて全てロンドン西部にある自社工場で生産されています。

生活の中でブロンプトンに乗る人の為に、最初から最後までを自社工場で全部組み立てることが、ブロンプトンの責任と考えているそうです。

しかも、ブロンプトンのもっとスゴイところは、パーツに対する考え方です。ブロンプトンは同じようなものをずっと作っているように見えますが、パーツは改良されています。新しく改良されたパーツは、愛用者の為に使い込まれた古いブロンプトンにも、なんと修理パーツとして取り付けられるように設計されているのです。そこまで愛用者のことを考えている企業の姿勢が、素晴らしいです。

イギリス製品は、なぜ長く愛され続けるのか?

実はうち店も、この「グレート・ブリティッシュ・ウィークエンド」に、1932年創業のイギリスの「サヴィルロウ」という眼鏡ブランドで出展していました。サヴィルロウは、今でも当時と変わらない製法と古い機械で、1本づつ丁寧に作っています。かつてはジョン・レノンも愛用していたとファンの中では有名な話です。

イギリス製品は、なぜ長く愛され続けるのか?

しかも、フロントのデザインと大きさ、サイドのテンプル(ツル)のデザインと長さ、フレームカラー、セル巻きなどを選んで、カスタムオーダーで作ることが出来ます。

イギリス製品は、なぜ長く愛され続けるのか?

受注があってから作るので、例えば愛用しているサヴィルロウの眼鏡のテンプル(ツル)が折れた場合は、テンプル(ツル)だけ作ってもらい修理することも可能なんです。

だから安心して壊せます。(笑 壊しちゃダメです。)

イギリス製品は、なぜ長く愛され続けるのか?

そう考えると、イギリスの製造業の場合は、供給する側(メーカー)が、初めから長く愛されるようにとモノづくりをしているように思えます。さらに言うと、製品購入後の修理パーツの「持続性のある安定供給」が素晴らしいです。

イギリスは、なんと言っても蒸気機関車を作り、産業革命を起こした国ですからね。

イギリス製品は、なぜ長く愛され続けるのか?

製造業からすれば、その産業革命が早すぎたこともあり、工場の大きな設備投資が他の国々よりも時期が早くから始まりました。その後、戦後の1960年代からのイギリス経済の落ち込みもあり、大きな設備投資はますます出来づらい状況になったのではないかなと思います。
その結果、同じ設備で作っているから、製品が大幅に変わらない。製品が大幅に変わらないので、修理パーツの供給状況も安定している。修理パーツの供給が安定しているから、愛着を持って安心して長く使える。作る人と使う人が、まさに理想的な関係なんだと思います。

「修理をするくらいなら、新しいものを買った方が安いよ。」という言葉をしばしば耳にしますが、分からなくもないですが、なんだかねと違和感を感じてしまうのは僕だけではないはずですよね?

イギリス製品は、なぜ長く愛され続けるのか?

イギリスな伝統的な工場で作る「サヴィルロウ」の眼鏡に興味のある方は、ぜひこちらを参考にしてみてください!

http://blinc.co.jp/blincvase/archives/6356

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