買い手が、作り手の一端を担うビスポーク眼鏡の魅力
Toshiyuki Araoka

Toshiyuki Araoka / Buyer / Director
荒岡 俊行/バイヤー兼ディレクター

1971年生まれ。東京・御徒町出身。1940年から続く「荒岡眼鏡」の三代目。
父方も母方も代々眼鏡屋という奇遇な環境に生まれ育ち、自身も眼鏡の道へ。
ニューヨークでの修業を経て、2001年に外苑前にアイウエアショップ「blinc(ブリンク)」、
2008年には表参道に「blinc vase(ブリンク・ベース)」をオープンさせる。
「眼鏡の未来を熱くする。」をミッションに掲げ、
眼鏡をカルチャーの1つとして多くの方々に親しんでいただけるよう、眼鏡の面白さや楽しさを日々探求しています。
http://blinc.co.jp

Recent
Post

«

»
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat

過去記事一覧へ

買い手が、作り手の一端を担うビスポーク眼鏡の魅力

買い手が、作り手の一端を担うビスポーク眼鏡の魅力

先日、NIKKEI STYLEというWEBページで、銀座の高級スーツ店「銀座英国屋」の話を見つけました。「1着のスーツに満足していただくためには、1人ひとり違う工夫が必要」だそうです。既製のスーツとは違い、「スーツを仕立てる」と言われるように、自分に合ったものを「仕立てる」という言葉には、男性なら魅力を感じる人も多いはずです。

今では死語になってしまいましたが、昔は、スーツは「背広(セビロ)」と呼ばれていました。その「背広」は、ローマ字で書くと「sebiro」です。イギリスのロンドンの老舗のテーラーが集まる通り名、「サヴィルロウ」を日本人がなまって伝えて、「セビロ」になったと言われています。
この「サヴィルロウ」の地域にテーラーが登場し始めたのは、1810年。19世紀に入ってすぐでした。その頃の日本は、まだ江戸時代後期の鎖国が行われている時代でした。

買い手が、作り手の一端を担うビスポーク眼鏡の魅力 買い手が、作り手の一端を担うビスポーク眼鏡の魅力

イギリスの眼鏡のブランドで、「SAVILE ROW(サヴィル ロウ)」というのがありますが、この地名に由来するものです。名前の通り、眼鏡のパーツのサイズや形状などを選んで、ビスポークのスーツのように今でもロンドンにある古い工房で一から仕立ててくれます。

イギリスを代表するテーラー、クチュールブランドのハーディ・エイミス氏が、生前に書いた自身の著書「イギリスの紳士服」(大修館書店)の中で、スーツについて書いたあったことが興味深いです。「過去から引き継いだスーツの伝統に従わなければ、スーツを作ることは出来ない。」つまり、スーツは長い歴史の中で既に大方は、すでに完成してしまっており、あとは上着の丈、肩幅、ボタンの位置など細部を組み合わせるのです。

買い手が、作り手の一端を担うビスポーク眼鏡の魅力 買い手が、作り手の一端を担うビスポーク眼鏡の魅力

「SAVILE ROW(サヴィル ロウ)」という眼鏡のブランドも、同様なことが言えます。現行で販売されているモデルが出来たのは、1930年代なので、今から80年以上前。その頃に、すでにデザインが完成されているのです。大まかなデザインが決まっていて、あとはサイズやパーツの形状を組み合わせるというスタイルでモノづくりが今でも行われています。伝統を守りつつ、細部に自由度があるのもイギリスらしいです。

ロンドンの東部にある工業地帯にある「サヴィル ロウ」の工房は、建物が建てられたのは、1930年代。独特の眼鏡の製造方法も変わらないので、工房内には古い年季が入っている機械が並んでいます。また、30年、40年以上も眼鏡を作り続けている作り手もいるようです。

買い手が、作り手の一端を担うビスポーク眼鏡の魅力 買い手が、作り手の一端を担うビスポーク眼鏡の魅力

眼鏡のビスポークは、スーツのビスポークと同様に既製品では味わえない、自分に合ったものに「仕立てる」という魅力があります。また、ビスポークでパーツを選ぶというのは、買い手が作り手の一端を担うというから面白いのです。すでに出来上がったものがない中で、パーツが組み合わさった状態を想像するのは、期待感とドキドキ感が混在します。今はすぐに何でもモノが手に入り易い時代ですが、ビスポークのようにすぐには手に入らない「ありがたみ」もあっても良いと思います。でも、きっとその方が、愛着をより持てるかもしれませんね。(予想以上に長くお待ちいただいた方は、本当に申し訳ございません。)

ところで明日は、クリスマスイブです。街中を歩いていると「Happy Xmas (War is over)」が毎年のように耳に入って来ます。そのジョン・レノンが愛用していたメタルの眼鏡も「サヴィル ロウ」でした。
では、みなさま、Happy Xmas !!! 


「SAVILE ROW(サヴィル ロウ)」の眼鏡にご興味ある方は、以下のURLを参照してください。

http://blinc.co.jp/blinc/journal/9289/

http://blinc.co.jp/blincvase/archives/6795

PAGE TOP

買い手が、作り手の一端を担うビスポーク眼鏡の魅力