Naoko Takegata

Naoko Takegata / dailypress
竹形 尚子/デイリープレス

デザインの分野を中心としたアタッシェ・ド・プレス事務所「デイリープレス」を2003年にスタート。書籍倉庫→アンティーク家具屋の後に引き継いだオフィスの半分を「Naname(ナナメ)」と名付け、文字通り坂道でななめになっているこの場所でできる展示会やクリエイターとのプロジェクトを始めたところです。
http://www.dailypress.org

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長崎の教会堂群

長崎の教会堂群

わたしの両親は北海道出身。北海道人はおおよそ、土地にあまり執着せず、人間関係は来る者拒まず去る者追わずのさっぱりしたものとわたしは分析しています(うちだけかも???)。それを大らかさという表現でくくれれば素敵だけれど、どうでしょう。。。過酷な土地柄、まずはその時を生きのびるという精神が北海道DNAには組み込まれているのかな。先週、長崎県平戸島と生月島を回りながら、ふとそんなことを考えてました。

長崎の教会堂群

宝亀教会堂。レンガ造りの正面と木造の本体、瓦の屋根、ミントグリーンのベランダという組み合わせ。

長崎の教会堂群

宝亀教会からはこんな風に海を見下ろせる。

長崎県にあるカトリック教会堂は130以上。今回見たのは大工・鉄川与助が手がけた4つの教会堂。16世紀半ばに広まったキリスト教、まもなく江戸幕府が発令した禁教令で起こったキリシタンの大迫害。人々は仏教徒を装ったり、あるいは海を渡り無人島に集落を作るなどして、なんとか200年以上も信仰を続けるという辛抱の日々を過ごしたそうです。活動が公に認められるのは1899年。たった100年と少し前のこと。ようやくそれぞれの土地で、人々は食べるものを減らして資金を作ったり力を合わせて大工仕事をして、懸命に作った場所が教会堂です。

長崎の教会堂群

紐差教会堂。今回見た中では一番大きい。可愛らしい花柄の彫刻がたくさん施されている。

今回訪れた教会堂はどれも、今だってそれほど建物や電灯のない田畑の奥の方や、山間の小道をなんとか車で入って行き辿り着くような場所にありました。当時の人々は、材料を担いで運ぶのがどれだけ大変だったことでしょう。とてつもない思いでようやく集落の人々が力を合わせてつくった祈りの場所には、優しさと美しさだけがあって、深い愛情があちこちに染みこんでいました。

長崎の教会堂群

田平教会堂。信者の方達も参加して3年がかりで建てたという!

長崎の教会堂群

うっとりする美しいステンドグラスの窓。

教会堂はどこもすみずみまで丁寧に手入れがされていました。ちなみに大工の鉄川与助は小学校しか出ていなくて、建築に必要なことはすべて独学で学んだそう。「ど」がつく勤勉さと、弟子への教えはふんだん、どんなに苦しくても弟子や職人の生活の面倒をすべて見る人格者だったそうです。

長崎の教会堂群

山田教会堂。平戸から生月島へ渡り、北上すると間もなくあるレンガ造の教会。

長崎の教会堂群

田平教会のエントランスを見上げたところ。美しい。

それで合点がいきます。中に入った静けさは、厳かさとは違う、とても温かく可愛らしいものなのです。 時間、空気、光、風、人々の想い、触れた手や足の跡が、過去からずっと重ねられてきたけれど、ここはできたときからきっとそういう場所。外からふらりやってきて、少しの時間おじゃまさせていただくことにおこがましさを感じつつ、目に映るものだけじゃないこんなに美しいものを見せていただいたことに感謝。命をかけて何かを信じる、ある土地に何百年何千年と代々根ざして生活を送って来た人々に、北海道(もとい竹形家)DNAは尊敬の念を感じずにはいられません。

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