Naoko Aono

Naoko Aono / Writer
青野 尚子/ライター

アート、建築関係を中心に活動しています。趣味は旅行と美術鑑賞と建築ウォッチング。ときどきドボクも。共著に「新・美術空間散歩」(日東書院本社)。

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クラクフ「コミュニスト・ツアー」

ポーランドの古都、クラクフに行ってきました。
ここでは有料・無料さまざまなガイドツアーが行われています。その中に「こんなところ行ってどうするの? とよく言われます」という謎のコピーがついた「コミュニスト・ツアー」というのがあったので、参加してみました。
クラクフ「コミュニスト・ツアー」
トラムに乗ること約20分、ついたのは郊外の広場でした。ここから放射状に道が延びています。「ノヴァ・フタ」、新しい精錬所という意味の場所です。社会主義政権時代に国力増強のため、精錬所とそこで働く人のために作った街です。
クラクフ「コミュニスト・ツアー」
とにかく建物がやたらでかい。これは社会主義建築の特徴かも。
クラクフ「コミュニスト・ツアー」
ノヴァ・フタは10年かけて開発されました。地図上にあるそれぞれのブロックは安全のため(というか敵の侵入を防ぐため)建物で囲まれ、一つ一つのブロックの中に保育園や病院などがあり、ブロックの中で生活が完結するようになっていたそうです。
クラクフ「コミュニスト・ツアー」
その中には娯楽のための映画館もありました。今ではコミュニティセンターになっている元「スフィンクス」という映画館の中には、旧社会主義時代のアンティークを集めたカフェがあります。写真はその天井から下がっている照明。共産主義モダンを感じさせます。
クラクフ「コミュニスト・ツアー」
そのカフェで、当時のプロパガンダ映画を観ます。
クラクフ「コミュニスト・ツアー」
団地内には退役軍人のための施設があり、その前に戦車が飾ってありました。第2次世界大戦中はソ連軍が、65年のハンガリー侵攻や68年の“プラハの春”でワルシャワ条約機構が使用したものだそう。ということは、ジョゼフ・クーデルカはこれを撮影していたのか、と思って写真を撮りまくります。
クラクフ「コミュニスト・ツアー」
団地の部屋はそれぞれ向かい合っていて、お隣さんの様子がよくわかったそうです。何かあやしい動きがあったら密告するよう奨励されていた、監視社会向きの造りです。
クラクフ「コミュニスト・ツアー」
社会主義政権下では普通、宗教は禁じられることが多いのですが、どうしても、ということでヨハネ・パウロ2世がローマ法王になる少し前、この教会を造りました。設計は地元の建築家だそうですが、屋根と左側にある下向きの半円形の構造物などがル・コルビュジエ「ロンシャンの礼拝堂」にちょっとだけ似てるような気がします。ここでコミュニスト・ツアーは終了、トラムで中心部に戻りました。

帰りのトラムでガイドさんに聞いた話では、ポーランド市民の平均月収はユーロ換算で約600ユーロ(8~9万円ぐらい)。さらに教員や医師などは公務員の扱いになるため、ガイドさんの友人でスクールカウンセラーをしている人は月収1000ズウォティ(35000円ぐらい)にしかならないそう。が、アパートの家賃が1000ズウォティになるため、アパートはシェア、他にアルバイトをしたりしてしのいでいるそうです。
物価は日本の半分~7割ぐらいの感覚でした。ただし10年以上前、チェコスロヴァキア(チェコではなく)に旅行したときに日本の5分の1から10分の1ぐらいか、と思ったのに比べると、ずいぶん値上がりしたな、という感じです。ガイドさんの別の友人がクラクフ郊外に買った家の値段が50万ズウォティ、だいたい1700万円ぐらい。共稼ぎで毎月7万ぐらいのローンを払っているとのことでした。

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