雅叙園で「百段階段展」開催!
Naoko Aono

Naoko Aono / Writer
青野 尚子/ライター

アート、建築関係を中心に活動しています。趣味は旅行と美術鑑賞と建築ウォッチング。ときどきドボクも。共著に「新・美術空間散歩」(日東書院本社)。

Recent
Post

«

»
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat

過去記事一覧へ

雅叙園で「百段階段展」開催!

雅叙園で「百段階段展」開催!

「百段階段」とありますが、実際には99段です。天井には扇絵などが描かれています。

雅叙園で「百段階段展」開催!

百段階段といえばこれでしょう。装飾過剰が面白いバロック空間「漁樵の間」です。

目黒雅叙園の百段階段の名前を知っていても行ったことがないという人は多いのではないでしょうか。その中で、日本美術に興味があるという人は必見のチャンス。実はこの百段階段、鏑木清方を始めとする昭和初期の画家たちが腕を振った「立体美術館」。現在は生け花やキルトなどの展示会場としても使われることが多い百段階段の、天井や欄間に描かれた名画や彫刻、銘木を使った床柱などをじっくり鑑賞できるイベントが開かれます。

雅叙園で「百段階段展」開催!

「漁樵の間」。まるで彫像がくっつけられているような床柱に注目です。

雅叙園で「百段階段展」開催!

「漁樵の間」では天井画も「絵」ではなく葉や花びらを彫りだした浮き彫りです。

百段階段には斜面に沿って長く伸びる階段の脇に7つの部屋があり、宴会場などとして使われていました。そこを装飾した画家・彫刻家は10人あまり。その中でも、もっとも雅叙園らしいのが「漁樵(ぎょしょう)の間」でしょう。ここは尾竹竹坡(おだけ ちくは)の下絵に基づく彫刻と、菊池華秋(きくち かしゅう)の絵で飾られているのですが、床をのぞくとほぼ余白がありません。床柱などは浮き彫りというより彫像がくっついているようです。天井画もよく見ると花びらなどがひとつひとつ彫られた半立体です。どこを見ても隙間なく絵や彫刻で埋められている、ウルトラバロックな空間です。

雅叙園で「百段階段展」開催!

「星光の間」。襖の金縁がだまし絵のように見えるのも面白い。

雅叙園で「百段階段展」開催!

板倉星光の絵。スイカに向かって鎌を振り上げるカマキリ。

かと思うと意外にあっさりした、モダンな絵が描かれた部屋もあります。板倉星光(いたくら せいこう)が筆をとった「星光の間」にはおいしそうな四季の野菜や魚が。スイカや葡萄にはカマキリなどの愛らしい虫も描かれています。天井には籠に盛った花の絵があります。これなら現代の私たちの家のインテリアにも合いそうです。

雅叙園で「百段階段展」開催!

「静水の間」は4人の画家の共作です。

雅叙園で「百段階段展」開催!

「静水の間」、小山大月(こやま たいげつ)が描いた秋草の欄間絵。重なり合う葉に混ざって他の草の葉や花が描かれます。

このほかにも円の中に色とりどりの花や鳥を描いた天井画がある部屋や、金地にススキなどの秋草を描いた部屋も。どれも高い画力とセンスを感じさせます。

雅叙園で「百段階段展」開催!

荒木十畝(あらき じゅっぽ)が筆をとった「十畝の間」の天井画。水墨画を得意とした十畝らしい、落ち着いた作品です。

雅叙園で「百段階段展」開催!

「十畝の間」は天井の格子の飾りも凝っています。

日本美術は紫外線や湿気に弱く、通常はガラスケースや倉庫にしまわれているものですが、ここでは画家や彫刻家が手がけた傑作を間近に見ることができます。またこれらの作品が生まれた昭和初期は、日本美術史の空白期。関東大震災、大恐慌と社会不安を引き起こすできごとが続き、その後十年もしないうちに太平洋戦争が始まりました。明治維新により西洋画が流入し、危機を迎えた日本画がどのように発展していったのかを探る“ミッシングリンク”でもあります。その意味でも百段階段の作品は貴重なものなのです。

雅叙園で「百段階段展」開催!

礒部草丘が欄間や天井を手がけた「草丘の間」。

雅叙園で「百段階段展」開催!

「草丘の間」の天井には愛らしい花鳥画が並びます。

「創業90周年特別企画 百段階段展」は11月29日から12月24日まで開催されます。各部屋ではiPadでみどころをご紹介。優雅なランチを楽しめるセット券もあります。

PAGE TOP

雅叙園で「百段階段展」開催!