クリスト「ロンドン・マスタバ」
Naoko Aono

Naoko Aono / Writer
青野 尚子/ライター

アート、建築関係を中心に活動しています。趣味は旅行と美術鑑賞と建築ウォッチング。ときどきドボクも。共著に「新・美術空間散歩」(日東書院本社)。

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クリスト「ロンドン・マスタバ」

クリスト「ロンドン・マスタバ」

西側にある橋からの眺め。西側なので、午後のほうがきれいです。マスタバといっしょに白鳥とボートが浮いてます。

またもや巨大構造物を見に行ってきました。といっても今度はアートです。ロンドンのハイド・パーク、サーペンタイン湖に浮かぶクリスト&ジャンヌ=クロードの最新作、「ロンドン・マスタバ」です。湖の上に、ドラム缶で作った巨大なマスタバが浮いています。

 

クリストは自然や町の中に期間限定のオブジェを出現させる作品を多く手がけてきました。2016年の「フローティング・ピアーズ」はイタリアのイセオ湖に浮かぶ桟橋。水戸とカリフォルニアにたくさんの大きな傘を立てたこともあります。今回の「ロンドン・マスタバ」は彼らにとって、イギリスでは初の屋外作品になります。

 

マスタバとは古代メソポタミアの巨大な墳墓のこと。ピラミッドとちょっと似ていますが、四角錐ではありません。クリストたちのマスタバは高さが20メートル、底辺はそれぞれ30メートル×40メートル。かなり巨大です。

クリスト「ロンドン・マスタバ」

湖に近づくとどこからでも見えます。まるで富士山のようです。これは百合とマスタバ。

クリスト「ロンドン・マスタバ」

カメラで鳥のヒナを狙う観光客の向こうでも存在感を放ちます。


せっかくなので貸しボートを借りて近づいて見ることにしました。スワンの形こそしていませんが、スワンボートと同じペダルで動くボートです。が、日頃ウルトラ運動不足の私……。こぎ始めて30秒で後悔しましたが、せっかくここまで来たんだし、、と思ってがんばります。水音から苦闘の跡をご想像ください。

クリスト「ロンドン・マスタバ」

ボートでかなり近づいてきました。見よこの圧倒的な高さを! ちょっとぶつかったぐらいではびくともしなさそうですが、芸術作品にぶつかってはマズいのでこれぐらいにします。ボートは急には止まれないのです。

クリスト「ロンドン・マスタバ」

側面から見たところ。ドラム缶の胴体部分が光ります。

ボートでぐるっと一周してみました。近寄るとすごい迫力です。文字通り、見上げるばかりの高さです。

逆光ですが、ぐるっと一周したときの一部です。

クリスト「ロンドン・マスタバ」

通路にドラム缶を積み上げてバリアにする作品。

クリスト「ロンドン・マスタバ」

ドラム缶を積み上げた、トーテムポールのような作品。

「ロンドン・マスタバ」はハイド・パークにあるサーペインタイン・ギャラリーの企画です。ギャラリーでは初期から近作まで、クリストたちの主にドラム缶を使った作品を紹介しています。クリストというと包むアートが有名ですが、ドラム缶も何かを入れる(包む)ものだと考えると共通点があるかもしれません。

クリスト「ロンドン・マスタバ」

梱包された缶や瓶による作品。ちょっとモランディを想像しますが、とくに関係はなさそうです。

クリスト「ロンドン・マスタバ」

アブダビ砂漠に計画されているマスタバの模型。テーブルの上に小さな何かが見えますが、人の模型です。つまりそれぐらい巨大だということ。

オレンジ色のマスタバの作品は産油国であるUAEのアブダビに作られることになっています。クリストたちの作品は一時的なものが多いのですが、これは恒久的に設置される予定です。

クリスト「ロンドン・マスタバ」

「ロンドン・マスタバ」のドローイング。

「ロンドン・マスタバ」のドローイングには、マスタバの中身も描かれています(左上)。ドラム缶が中までぎっしり詰まっているわけではなく、内部には鉄骨を組んだ構造物があり、表面にドラム缶が並べられているという仕組みです。

クリスト「ロンドン・マスタバ」

サーペインタインギャラリー・パビリオンはカフェになっていますが、出入り自由なので中でばしゃばしゃ写真を撮って帰っていく人もたくさんいます。

クリスト「ロンドン・マスタバ」

日差しを遮りつつ、風通しもいいデザイン。公園の緑も透けて見えます。

こちらはクリストではありませんが、サーペインタインギャラリーの前に毎年夏、建築家のデザインで出現するパビリオンです。今年は79年生まれのメキシコの女性建築家、フリーダ・エスコベド。これまでフランク・ゲーリーや伊東豊雄などスター建築家を起用してきたサーペンタインギャラリー・パビリオンですが、今年のエスコベドはロンドン・デザインミュージアム館長のデヤン・スジックも知らなかったという大抜擢でした。ここ数年のプリツカー賞もそうですが、すでに評価の定まった人ではなく「これから」という人に光をあてる傾向があるようです。


今回のパビリオンはセメントの屋根瓦を使ったもの。天井は波打つ鏡面になっていて、床に作られた小さなプールの水を反射します。このときのロンドンは最高気温28度、かなりの暑さでしたが、このパビリオンは涼しくてたくさんの人が休憩していました。


サーペインタインギャラリーの「クリスト&ジャンヌ・クロード:ドラム缶とマスタバ1958-2018」展は9月9日まで、サーペンタイン湖の「ロンドン・マスタバ」は9月23日まで、フリーダ・エスコベドのサーペンタインギャラリーパビリオンは10月7日までです。

http://www.serpentinegalleries.org

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