ベルギー王立美術館
Naoko Aono

Naoko Aono / Writer
青野 尚子/ライター

アート、建築関係を中心に活動しています。趣味は旅行と美術鑑賞と建築ウォッチング。ときどきドボクも。共著に「新・美術空間散歩」(日東書院本社)。

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ベルギー王立美術館

ベルギー王立美術館

ピーテル・ブリューゲルI世(?)「イカロスの墜落のある風景」。主役のイカロスはどこにいるかというと……。

ベルギー王立美術館

右下の隅っこで溺れてました。日本人なら映画「犬神家の一族」を思い出すところです。

上海から1週間、今度はベルギーに来ました。ブリュッセル中央駅から徒歩5分の便利な駅前美術館、ベルギー王立美術館です。やたら細かい北方ルネサンスが大量に見られます。


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ヒエロニムス・ボス「聖アントニウスの誘惑」部分。ヘンな生き物大集合です。

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ヒエロニムス・ボス「聖アントニウスの誘惑」は三幅対のパネルです。上の写真以外にも妙なクリーチャーが跋扈していて、いつまで見ていても見飽きません。

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ピーテル・ブリューゲルI世「反逆天使の墜落」。ボス風の、かわいいふぐみたいなのが空を飛んでます。

ヒエロニムス・ボスも生前から人気の画家でした。この美術館にはボス作品のほか、ブリューゲルらがボスからインスピレーションを受けた、ヘンな怪物を描いた絵がいくつかあります。

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ヤン・マセイス「ロトとその娘たち」部分。

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それなりな大画面で肉などが料理されてます。

「ロトとその娘たち」は旧約聖書のややえぐいエピソードですが(民族存亡の危機を救うため娘二人が実父に酒を飲ませてせまる、というお話)、よく絵画には描かれています。写真はヤン・マセイスのものですが、父だけでなくカメラ目線で見る者も誘惑します。

下の写真は「お料理絵画」3点。どれも作者は違いますが、肉などが豪快に料理されてます。ちょっと変わってるのが右の1点。実はこれ、「マリアとマルタの家のキリスト」を描いたものなのです。キリストが二人姉妹の家を訪れたところ、台所で準備にあけくれていたマルタが、キリストの話に熱心に耳を傾けていたマリアに手伝うよう言ったら、イエスが台所仕事より重要なものがある、と諭すという話。なので普通はキリストとマリアを大きく、背景に台所のマルタを小さく描くものなのですが、この絵は逆です。キリストどこ? って感じです。どうも中央左やや上、アーチの向こうに薄ーく描かれてるのがそうみたいです。

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南オランダ派の画家「最後の審判」部分。15世紀。

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南オランダ派の作家「キリストの埋葬」。1520〜1525年。

古いものには独特の造形感覚がありますが、どこかかわいい。腹にも顔があって人を食べてしまう怪物も、キリストの手をとって嘆くマリアも妙に愛らしいです。

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ダヴィッド「マラーの死」。

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「マラーの死」、マラーが持つ紙のアップ。血痕が生々しいです。

ダヴィッド「マラーの死」の原画はこの美術館が所蔵しています。ナポレオンの失脚に伴い、ブリュッセルに亡命してきたダヴィッドが携えていました。

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ルーベンス「黒人の頭部の習作」。

アントワープで大々的に推されているルーベンスですが、ブリュッセルにも秀作があります。これは黒人の頭部をさまざまな角度から描いた習作。おそらく「東方三博士の礼拝」のために描いたのでしょう。

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ルーベンス「姦淫した女性とキリスト」。

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上の作品の部分。

姦淫した女性に罰を与えようとする群衆に「あなたがたの中で罪なき者のみがこの女に石を投げよ」とキリストが言う有名な場面。驚きのあまり目がうるんでいる男性など、劇的な感情表現は彼ならではです。

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杉本博司「最後の晩餐」。彼の個展は8月19日までです。

ヨーロッパの美術館で最近よく見る、オールドマスターと現代美術の競演というのをここでもやってました。一つは杉本博司。「最後の晩餐」はミラノにあるレオナルドの壁画が元ですが、さすがに元ネタは持ってこられないので、16世紀に描かれた別の画家の「最後の晩餐」と一緒に並んでます。

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ヤン・ファーブルのインスタレーション。

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ヤン・ファーブル作品がある階段。お花模様がかわいいです。

こちらはベルギーがイチオシのアーティスト、ヤン・ファーブル。青い色は昼と夜の間のあいまいな時間を象徴しているのだそう。BICのボールペンで塗りつぶしてるらしいです。すごい手間がかかってます。

上記はいずれもオールド・マスター(古典)美術館のエリアで、他に世紀末、モダン、マグリット美術館があります。展示はかなり整理されている印象ですが、じっくりねちねち見ていくと3〜4時間はかかります。途中で抜けてワッフルでも食べながらのんびり見るのがオススメです。

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