Naoko Aono

Naoko Aono / Writer
青野 尚子/ライター

アート、建築関係を中心に活動しています。趣味は旅行と美術鑑賞と建築ウォッチング。ときどきドボクも。共著に「新・美術空間散歩」(日東書院本社)。

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日本のバウハウスへ

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四角くて白い外観は典型的なバウハウス・スタイル。

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外側からでも細い螺旋階段が見えます。この時点で興奮(笑)。

名建築を見て歩く「東京建築アクセスポイント」の見学会で、〈三岸好太郎・節子アトリエ〉を見学しました。画家の三岸好太郎と、妻で同じく画家の三岸節子のアトリエ兼住宅です。1934年築。バウハウスに留学していた山脇巌が設計した、日本では唯一と思われるバウハウス・スタイルの建築です。一般公開しているわけではないのでなかなか見ることができず、今回見学会があるというので、これはチャーンス!と思い、参加しました。

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アトリエにしていた吹き抜けのスペース。

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南側の大きな窓から日がたっぷりと入ってきます。

ここは借地だったので、一度売りに出されたそう。それをお孫さんにあたる方が買い取られて、保存しています。時間貸しで写真スタジオやギャラリーとして使えます。2014年に国の有形登録文化財、2017年にDocomomoに認定されました。

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螺旋階段はけっこう手作り感満載です。

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玄関の棚は電車の網棚を参考にしたものだそう。

住宅は名作であっても行政がひきとって博物館にする、企業が買い取るといったことがなければ、個人で維持管理することになります。昔の基準ではささやかな家でも今となってはそれなりのサイズになるので、固定資産税や補修費はかなりの負担です。この三岸好太郎・節子アトリエも資金調達のためAirbnbやクラウドファンディングなど、いろいろと考えてはいるようですが、なかなか追いついていないようです。

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林芙美子記念館、インド更紗を貼った箪笥。女性らしいインテリアです。

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林芙美子の書斎。

幸運にも保存・公開されている住宅も見学しました。〈新宿区立 林芙美子記念館〉は「放浪記」などの著者、林芙美子の住居を記念館にしたもの。こちらはかなりの豪邸です。書生のための部屋とか、画家だった夫のアトリエなど、部屋数もけっこうあります。まだ原稿を書いてない本の編集者が来ると居留守を使うこともあったとか。これだけ広ければ居留守も容易だったことでしょう。おそるべし昭和の文豪。

ちなみに設計はこれまた巨匠の山口文象ですが、あまり文象っぽくはありません。芙美子はこれを建てるにあたって民家や材木を見にいくなど、相当思い入れを込めて造ったらしく、文象はそれを形にしただけ、という感じです。

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インスタ映えするコーナーもあります。

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〈新宿区立 中村彝アトリエ記念館〉内部。こじんまりとしていますが、天井が高くて気持ちのいい空間です。

〈新宿区立 中村彝アトリエ記念館〉は画家、中村彝(つね)のアトリエ。国立近代美術館所蔵の《エロシェンコ像》で有名です。こちらはもとの建物を慎重に解体して部材をできる限り転用、足りない分は似た材で補って再建しています。現在、無料で開放されています。

見学会のあと、「カフェアリエ」で一服して帰りました。磯崎新が1957年に建てた住宅をカフェにしたものです。昔このブログにも書きましたが、こういう残し方もありますね。

他にも危機に瀕している住宅作品はたくさんあります。実際に行くとどれもすごくいいのですが、残念ながらいつどうなってもおかしくない物件もあります。何とかならんかなー、といつも思います。

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