Naoko Aono

Naoko Aono / Writer
青野 尚子/ライター

アート、建築関係を中心に活動しています。趣味は旅行と美術鑑賞と建築ウォッチング。ときどきドボクも。共著に「新・美術空間散歩」(日東書院本社)。

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リボーンアートフェスティバル

リボーンアートフェスティバル

名和晃平の白い鹿。付近には野生の鹿も多いそう。

リボーンアートフェスティバル

鈴木康広《ファスナーの船》。船の航跡をファスナーに見立てています。足こぎです。

いよいよ明日までとなった「リボーンアートフェスティバル」に行ってきました。石巻市内と牡鹿半島で行われているフェスです。

リボーンアートフェスティバル

石巻市内の名家、秋田屋の蔵に展示されているバリー・マッギー作品。こけしは当主がコレクションしてきたもの。

リボーンアートフェスティバル

牡鹿半島の先の方にあるバリー・マッギーの小屋。小さな、茶室程度の大きさです。

リボーンアートフェスティバル

「目」の作品。

アートユニット「目」は相変わらず衝撃的でした。狭くてものがたくさん置かれている通路を抜けると、昭和(よりもっと古いかも)と思える日本家屋の一角に到達します。靴を脱いで上がります。実はこれがバスになっていて、天井から床までの大きな窓から復興まだ半ばの石巻を見る、という趣向なのです。

リボーンアートフェスティバル

岩井優《ダンバリウム》。ゴミは不法投棄されていたもの。

もう一つ、ここでなければできないな、と思ったのが岩井優さんの作品。木で作ったドームに、捨てられていた家電などのゴミと一緒に、鹿の皮とか鯨の頭骨などが取り付けられています。会期終了間際の今では干物になっていますが、一時期はヤバい匂いがしたそう。

リボーンアートフェスティバル

パルコキノシタ《います》。手彫りの人形が立っています。

リボーンアートフェスティバル

有馬かおるさん作品。これはだいぶ前に制作した、新聞紙のドローイング。こういった作品群が民家の中に出現します。

このフェスをきっかけに、石巻に移り住む勢いの人たちもいます。パルコキノシタさんの作品は石巻で居なくなった人の数だけ小さな木像をつくるプロジェクト。その数3978人です。

有馬かおるさんは民家をギャラリーなど、一軒まるごとアートスペースにするプロジェクトを進行中です。有馬さん自身は近くに住んで、この家で他の作家が活動するための地ならしをしています。次回のリボーンアートフェスティバルは2年後に予定されていますが、引き続きここには関わり、そのときにまた何かできたら、というお話でした。

リボーンアートフェスティバル

SIDECORE、ワンパーク内の作品。船がブロック塀につきささったような感じです。

リボーンアートフェスティバル

SIDECORE、ワンパーク外壁の展示。

もと冷凍庫を改修したワンパークというスペースではSIDECOREが大規模なインスタレーションを展開しています。上の写真のボートは、津波の高さと同じ、約4メートルほどの高さにブロックを積んだ壁に設置されています。下はワンパークの海側の壁。津波の直撃を受けて傷んだ壁に、古道具屋で買った緑の風景画がかかっていますが、その風景画に作家は防潮堤を描き込みました。画面の大半がグレーになっています。

リボーンアートフェスティバル

工事中の防潮堤。このあと手前にどんどん伸びてきます。

リボーンアートフェスティバル

日本の海とは思えないぐらいきれいな色なのですが……。

実際の防潮堤は海のすぐわきに建設中です。高さ3メートルぐらい、近くからはまったく海が見えません。

リボーンアートフェスティバル

藤原徹平さん設計の「牡鹿ビレッジ」に置かれているテーブル。森本千絵さんのディレクションです。

リボーンアートフェスティバル

「牡鹿ビレッジ」のトイレ。これもフジワラテッペイアーキテクツラボの設計です。

「牡鹿ビレッジ」は牡鹿半島の中腹にある施設。芝生の広場とレストラン、トイレなどがあり、一休みするのにぴったりです。設計は会場構成を担当したフジワラテッペイアーキテクツラボ。レストラン「はまさいさい」では浜のお母さんたちが料理を担当、フェス終了後も営業を続け、地元の経済復興の一助にするというプロジェクトです。

リボーンアートフェスティバル

カールステン・ニコライの作品は夜7時〜9時に鑑賞できます。実際にはオレンジがかった黄色い光です。

リボーンアートフェスティバルは会期中、「51日間、毎日どこかで音楽が鳴っているプログラム」と題して連日、ライブが行われています。この日はカールステン・ニコライ作品のところで小林武史さんがピアノを弾いてくれました。星空とニコライの光を眺めながら聞くピアノは最高です。

上記以外に島袋道浩作品と青木陵子+伊藤存作品も評価が高いです。

「リボーン」は他の芸術祭と比べてもやや異色なように思います。神事のために動物の頭を捧げるなどの古代儀式の史料を展示している〈神長官守矢史料館〉のような、先史時代的な何かを感じます。他の芸術祭のように行政主導ではない、ということが影響しているのでしょうか。そんな古代の血が騒ぐ何ものかと、防潮堤など近代の力で復興を目指す力とが奇妙な衝突を見せる芸術祭でした。

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