クエイ兄弟の公開制作
Naoko Aono

Naoko Aono / Writer
青野 尚子/ライター

アート、建築関係を中心に活動しています。趣味は旅行と美術鑑賞と建築ウォッチング。ときどきドボクも。共著に「新・美術空間散歩」(日東書院本社)。

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クエイ兄弟の公開制作

クエイ兄弟の公開制作

公開制作直前の二人。中央は通訳の方。

ブラザース・クエイがやってきた! 1986年に「ストリート・オブ・クロコダイル」で世界中を震撼させた二人組です。神奈川県立近代美術館 葉山でのアジア初の個展のため来日、公開制作を行いました。これは展覧会初日、7月23日朝10時のこと。一卵性双生児なので区別がつきません。

二人にとって公開制作は初めてのこと。彼らはおどろおどろしい作品とはちょっと違うイメージです。「緊張しちゃうね。目をつぶっててくれないかな」と言って制作が始まりました。

クエイ兄弟の公開制作

撮影可能(なんと動画も可)とのことで、みんながカメラを構える中、どんどん描いていきます。たまに小声で何か話すほかはほとんど無言です。

公開制作と聞いて何を作るんだろう? モノをちょっと動かしてシャッターを切り、またちょっと動かして、というのを息をのんで見守る……、というコマ撮りアニメの制作現場かな、と思ったら違いました。黒板にチョークで絵を描いて、「デコール」というアニメーションの背景になるセットを作ります。

クエイ兄弟の公開制作

できました。

予定では1時間半ぐらい時間がとってあったのですが、30分ぐらいで描いてしまい、「目を開けていいですよ」と言ってお茶で一服。時間が余ったのでQ&Aコーナーに。「インスピレーションはどこから?」という質問にはこう答えていました。

「ドストエフスキーなど、音楽や文学に興味を持ったのはアート・スクールに入ってから。何か一つ知ると、その人が影響を受けた音楽へ、というように別の作家につながる。とにかくランダムにいろんなものを見たり聞いたりしていた。シュルレアリストが言う偶然の出会いみたいにね」

クエイ兄弟の公開制作

できあがった公開制作作品。

クエイ兄弟の公開制作

近づくとこんな感じです。

クエイ兄弟の公開制作

タイトルはちょっと意味不明です……。

会場では映像のダイジェスト上映のほか、それに使ったデコール(意外と小さいのに驚きます)、彼らが影響を受けたポーランドのポスター、初期のドローイングのほか、オペラや演劇の舞台美術の資料、MTVからTVコマーシャルまでが並びます。ヤン・シュヴァンクマイエルなど旧東欧のどうにも暗いカルチャーの影響が色濃く伺えて、東欧好きの私としてはかなり満足です。

クエイ兄弟の公開制作

外に出ると一変して湘南の明るい空と海が広がります。会場になった神奈川県立近代美術館 葉山には今年休館した鎌倉からイサム・ノグチの「こけし」が引っ越してきていました。

「クエイ兄弟 ーファントム・ミュージアムー」展は10月10日までです。

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