
歌手の渚ようこさんが亡くなった。
https://natalie.mu/music/news/301795
いまだに呆然としている。
渚さんの活動に、ほんの少しだけ関わらせてもらっていたが、いつお会いしても素敵でエネルギッシュな方だった。
自分がはじめて仕事でドキュメンタリーを作ったのは、17年前、友人でシャンソン歌手のソワレに声をかけてもらったCSの番組だった。
二週分同時に作る事になり、一本は伝説のシャンソニエ「青い部屋」とそのオーナーの戸川昌子さんを描いた『青い部屋 35年の物語』で、もう一本は、ソワレが渚さん、エルナ・フェラガ〜モさんと組んでいるユニットをそのままタイトルにして描いた『エロチック・トロワ』という作品だった。
はじめて仕事でドキュメントを作った、という事もあるし、またプライベートでもよく遊んでいた「青い部屋」、そして、大好きだった「エロチック・トロワ」を自分なりに切り取れたので、どちらの作品も思い入れは深い。
撮影中もそうじゃないときも、渚さんはいつでもカッコよく、優しかった。
その後、渚さんのお店、ゴールデン街の「汀」にも何度か遊びに行かせてもらった。
一度、確か森達也監督『A2』のレイトショーをBOX東中野に一人で観に行ったとき、超満員で席がなく、座席の間の通路に座って観てたら(消防法が厳しくなった今じゃ考えられない)、偶然、真後ろに同じように地べたに座って観ている渚さんと会った。
上映後、ドキュメンタリーや映画についていろいろ話しながら一緒に帰ったのだが、その会話の詳細をなぜか今でも鮮明に覚えている。
2年前、戸川昌子さんが亡くなってからしばらくして、渚さんからメールが来た。
サラヴァ東京で再来月、自分の歌謡イベントが決まっていたのだけど、それを戸川ママの追悼イベントにしたいと思うので出演してくれませんか、と。
もちろん、是非何かさせてください!と、私は『青い部屋 35年の物語』の上映とトークで参加させていただいた。
おそらく出演者一人一人に渚さんご自身で連絡し、すべて仕切られていたと思う。
渚さんのご尽力でそのイベントは、涙もあるが、笑いの絶えない、戸川さんらしい素晴らしく華やかな宴になった。
その楽しい夜の記憶はまだ自分の中では新しい。
なので、渚さんご自身が逝かれたことがまだしっくりきていない。
でも現実なんだろう。
多くの楽しい時間をありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。