ハリー・ディーン・スタントン最後の主演作『ラッキー』
Makoto Sasaki

Makoto Sasaki / video director/ movie director
佐々木 誠/映像ディレクター/映画監督

98年より音楽プロモーション映像やテレビ番組などを演出。ドキュメンタリー映画とドキュメンタリー風のフィクション映画も監督している。今まで撮影で訪れた場所で好きなのはケニアとインド、そしてハワイ。
http://sasaki-makoto.com

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ハリー・ディーン・スタントン最後の主演作『ラッキー』

ハリー・ディーン・スタントン最後の主演作『ラッキー』

ハリー・ディーン・スタントンは、特別な「愛される俳優」だった。


"だった"と書くだけで涙が出そうになる。

昨年、彼は天国へ旅立ってしまった。


「愛される俳優」というのは、必ずしも世界的に名の知られているスターということではなく、主役脇役、作品のジャンル、規模の大小関わらず長年活躍し、製作者からの人望が厚く、映画ファンの心に残り続ける演者、だと思う。

ハリーはまさにそういう男だった。


ちなみに私の持っているDVDでハリーが出演しているのは、以下の作品だ。

『レポマン』『パリ、テキサス』『エイリアン』『ニューヨーク1997』『ゴッドファーザー PART II』『ツインピークス』『ストレイト・ストーリー』『ワイルド・アット・ハート』『インランド・エンパイア』『暴力脱獄』『ビリー・ザ・キッド 21歳の生涯』『断絶』『最後の誘惑』『きっとここが帰る場所』『シーズ・ソー・ラヴリー』、そして『アヴェンジャーズ』!


・・・全作品、めちゃくちゃ好きだ。


こうしてあらためて彼のフィルモグラフィーを確認すると、本当に長い俳優人生だったことがわかるし、ジャンルは見事にバラバラだが傑作揃いだとしみじみ。



俳優にとって、自分が演じる前提の自身の人生を反映させた役、それも主役というのは滅多にないと思う。

さらにその作品が「死生観」について描かれた遺作となると、もう本当にないんじゃないんだろうか。


ハリー・ディーン・スタントン最後の主演作『ラッキー』はそういう奇跡のような映画だ。

彼ははやはり「特別」だった。

http://www.uplink.co.jp/lucky/


90歳、生涯独り身の男ラッキーがある日「終わり」を意識し、いつもの日常の中から〈死〉というものを悟っていく。

その姿を静かに、包み込むように描いたハリー渾身の最終作。


冒頭からハリー演じるラッキーの一挙手一投足に釘付けになる。

90歳の偏屈なじーさんの日常を追っているだけなのに、だ。

この作品は「生の中にある死」と対峙して浮き彫りになる"生き様”そのもの。


盟友デヴィッド・リンチが友人役で出演、『エイリアン』で共演したトム・スケリットも「らしい役」で顔を出し、シニカルなジョークと愛に溢れたエピソード、散りばめられたラッキーの言葉の数々、音楽、エンドロール、その全てがハリーの90年の人生を滲み出していて、全編グッと来っぱなしだった。


こんな贅沢な主演作が遺作なんて、ハリー・ディーン・スタントンは映画に愛された本当にラッキーな男だ!


3月17日(土)公開!
ぜひ劇場で観ていただきたい作品です。



※新宿シネマカリテでの初日、私と作家の戌井昭人さんでトークイベントを行いました。

http://www.webdice.jp/topics/detail/5586/


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