2017年 個人的映画ベスト
Makoto Sasaki

Makoto Sasaki / video director/ movie director
佐々木 誠/映像ディレクター/映画監督

98年より音楽プロモーション映像やテレビ番組などを演出。ドキュメンタリー映画とドキュメンタリー風のフィクション映画も監督している。今まで撮影で訪れた場所で好きなのはケニアとインド、そしてハワイ。
http://sasaki-makoto.com

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2017年 個人的映画ベスト

2017年 個人的映画ベスト

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

毎年、個人的な映画ベストを年内にまとめるのですが、17年は年末ギリギリまで全く時間がなく、年が明けてからやりました。
昨年はかなりバタバタしていて見逃した映画も多いので、本当のベストってなんだろうとは思いますが(笑)、良かったら年明けの暇つぶしにでも読んでいただければ幸いです!



①『20センチュリー・ウーマン』
15歳の少年と彼を愛してやまない母親。
その親子の住む家に居候しているフォトグラファー志望の若い女、過去が謎のガテン系イケメン中年。
そして少年の幼馴染の美少女。

魅力的なこの5人に何度でも会いたい。

彼らの人生が〈1979年/サンタバーバラ〉で交錯する一瞬、その一夏。

冒頭からラストカットまで、そのセンスにとことんやられた。
マイク・ミルズに外れなし。
文句なく個人的17年ナンバー1。



②『エル ELLE』
『ロボコップ』『トータルリコール』『氷の微笑』『スターシップトゥルーパーズ』・・・80年代後半から90年代前半、シニカルかつ過激な作風でハリウッドを席巻したポール・バーホーベン、79歳。

老いてなお攻め続けるエロス&バイオレンス、そして切れ味鋭いギリギリのコメディセンス。
この真骨頂に唸るしかない。



③『哭声/コクソン』
恐ろしく残虐な事件が連続して小さな村に起きる。
一体何が起こっているか?冒頭からまったく理解不能な展開がずっと続くのだが、端々に現れる“記号”を必死に追うので最後まで一瞬たりとも目が離せない。
そのまま驚愕のラストシークエンスを迎えるが、その「光景」を反芻し、劇場を出た後もしばらくこの映画に執われ続けてしまった。

真の知的な映画とはこういう作品のことだと思う。



④『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』
ナチスのNo3ハイドリヒの暗殺作戦「エンスラポイド作戦」を史実に忠実に描いた作品。

フォトグラファー出身の監督ショーン・エリスは自ら撮影も行い「戦時下の空気」を見事に切り抜く。
まるでずっと1942年のプラハにいるようで最後まで緊張しっぱなしの120分。
個人的には完成度高いのに退屈に感じた『ダンケルク』とは違い、見終わった後の疲労感がハンパなかった。

第2次大戦を題材とした新たな傑作。



⑤『お嬢さん』
匂い立つような濃密なエロス、昭和14年、日本占領下の朝鮮半島という時代設定。
まるで鈴木清順の大正三部作を彷彿とさせる魑魅魍魎蠢くあやうい世界。

章を追うごとに予想外の展開が待ち受け、まったく違う物語が動き出す上質のミステリー。



⑥『ソニータ』

現在のイランを舞台にしたドキュメンタリー。
アフガニスタンからの難民の少女はラッパーを目指すが、わずかな金のために家族は彼女を売ろうとする。
その時、その現実を撮っているこの映画の監督は「彼女の運命」を受け入れるのか?

過酷な運命を自力で変えようとする少女、「被写体」の運命を変えることに悩むドキュメンタリー監督。

平然と行われる親が子供を売る現実、ドキュメンタリストとしての葛藤、そして映像の持つ「力」についても考えさせられた一作。




⑦『ブレードランナー2049』

あの30年後の世界をヴィルヌーブの新作として目撃できる奇跡のような作品。
もはや最近の2作(『プロメテウス』『コヴェナント』)で『エイリアン』シリーズを『ブレードランナー』化しているリドリー・スコットがなぜ自分で監督しなかったか理解できた。
前作同様、時間をかけて「傑作」となるであろう完璧な続編映画。



⑧『エンドレス・ポエトリー』

アレハンドロ・ホドロフスキーの自伝的作品『リアリティのダンス』の美しく幻想的なラストシーンと直結している続編。

イマジネーションによって再構築された青春の追体験。その世界は色彩豊かで詩的なファンタジーであり、書き割りを背景に異形の者たちが象徴を演じるスラップスティックな戯曲のようでもある。しかし「物語」はまったく破綻しない。

90歳近いホドロフスキーだからこそ、人生はマジカルな出来事で構築されている、と瑞々しくエネルギッシュに(文字通り)体現できるのだ。




⑨『ムーンライト』

言葉にできないこと、感情の変化、キャラクターの生き様を映像と役者の持つ潜在的な力だけで魅せる、まさにこれが「映画」だと思う。




⑩『残像』
まるで近未来のように感じる、たった70年前にあった実際の出来事。
そして、その尊厳を踏みにじる「表現の弾圧」は確実に現代にも存在する。

アンジェイ・ワイダ渾身の遺作。



以下、ほぼ同率次点。

『バンコクナイツ』
空族の集大成。最高。


『パターソン』
何にも起こらない一週間の「ドラマ」になぜか静かに胸熱。その不思議な感動の正体を知りたくて、感じたくて2回観に行きました。


『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

その「絶望」は一生消えない、でも生き続けるしかない。一人の男の葛藤と再生が沁みる忘れがたい一作。



『ハードコア』

全編自分目線で繰り広げられるPOVアクション映画の最高峰。ただのアイディア勝負じゃないところが◎。


『わたしは、ダニエル・ブレイク』
ケン・ローチの映画はいつも絶望的な現実をさらけ出すが、それで終わらせずこちらに問い、希望を探らせる。


『スプリット』
まさかのあの続編!! 祝・シャマラン完全復活!



『女神の見えざる手』
気持ちよく騙される。


『手紙は覚えている』
気持ちよく騙される2。



番外/ドラマ

『マインドハンター』
1977年、マンソン、ケンパー、ブルードスなど有名な連続殺人鬼に共通点を見出した若いFBI捜査官が、彼らにインタビューを行い研究することを思いつく。

デヴィッド・フィンチャーが「プロファイリング」が誕生する過程を描く骨太なドラマ。
派手さが全くなく、淡々と進みながらもいつの間にか観る者をその世界に入り込ませるのはさすが。フィンチャーの『ゾディアック』がお好きな方にはたまらないと思います。
個人的には“シリアルキラー”という言葉が生まれる瞬間に震えました!
早くシーズン2が観たい、観たい!!


あと日本のドラマ『カルテット』が素晴らしかったのですが、貼って良さそうな動画がなかったので割愛。
いや、第一話から最終話までほんと見事で、ここ数年で一番ハマった日本のドラマでした。

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