一度も世界を見たことがない、生まれついての全盲者はSF映画を作ることができ...
Makoto Sasaki

Makoto Sasaki / video director/ movie director
佐々木 誠/映像ディレクター/映画監督

98年より音楽プロモーション映像やテレビ番組などを演出。ドキュメンタリー映画とドキュメンタリー風のフィクション映画も監督している。今まで撮影で訪れた場所で好きなのはケニアとインド、そしてハワイ。
http://sasaki-makoto.com

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一度も世界を見たことがない、生まれついての全盲者はSF映画を作ることができるのか?

一度も世界を見たことがない、生まれついての全盲者はSF映画を作ることができるのか?

目が見えなくなることは世界の終わりだ、と思っていました。

特に映像を生業とする私のような者には。


5年前、ある視覚障害者団体から「視覚障害者を描いた面白い映画を作ってほしい」という制作依頼をいただきました。


視覚障害者を描いた「面白い映画」ってなんだろうか・・と考えていたときに知り合ったのが、同じ年で生まれつき全盲の加藤秀幸です。

彼とは出会ってすぐに子どもの頃好きだった映画の話をして意気投合しました。

『トップガン』や『ベストキッド』『少年ケニア』、そしてジャッキー・チェンの話です。

その同世代特有の共通の記憶と話題で盛り上がったのですが、なぜ視覚がない彼は私と同じ映画の楽しさを共有できているのだろうか?とそのあと少し疑問に思いました。


そこで、加藤が映画制作を行う過程を追ったら、何かその答えが見つかるのではないか、と考え、「生まれつき視覚がない男は映画を作れるか?」をテーマにした実験作として制作したのが『インナーヴィジョン』という映画です。




現在その続編『ナイトクルージング』を制作しております。


以下ウェブサイトです(特殊な仕掛けがあります。音は出ません)
https://nightcruising.net/


加藤が制作するSFアクション映画『ゴーストヴィジョン』(仮)。

それは遥か未来の宇宙の⼩惑星で起こる、⽣まれつき全盲の男と仲間が「ゴースト」と呼ばれる謎の存在を追跡する物語。


『ナイトクルージング』は、その制作過程を追うことで、関わるスタッフ、見える者と見えない者がその間にある"ゴースト"をどう理解し、形成して行くのか?を描いたドキュメンタリー作品です。

それは、「視覚」の記憶がない、顔のカタチや色の概念がない世界に存在する「美しさ」をめぐり発見する旅でもあります。


クラウドファンディングも行なっています(今月21日までです!)。

https://readyfor.jp/projects/nightcruising


このクラウドファンディング、様々な趣向を凝らしたリターンをご用意していますが、その全てのリターンに付いているスペシャル上映会のトークゲストには能町みね子さんを予定しております。

ご興味ある方は是非、応援よろしくお願いいたします!

 

『ナイトクルージング』スペシャル上映会

開催日:18年5月20日(日)*詳しい時間等は追ってお知らせ致します。

会場:ユーロライブ(東京都渋谷区円山町1-5)

ゲスト(予定):能町みね子さん(エッセイスト/漫画家)

一度も世界を見たことがない、生まれついての全盲者はSF映画を作ることができるのか?



また多くの著名な方から応援の声をいただいておりますが、その中から現在ご自身のドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto: CODA』が公開中の坂本龍一さんからのコメントをご紹介させてもらいます。


聴覚、触覚、味覚など全ての感覚器が視覚のセンサーとなり加藤さんの脳内にイメージが広がるのか。

それはまるで夢のようだ。

その夢はどんな色彩なんだろう...。

脳に映し出された映像を言語化し共有する。

そのためには真っ白なキャンヴァスに躊躇なく筆を走らせることのできる人間同士の豊かなコミュニケーションが必要だ。

常識を乗り越え生み出される映像作品は刺激的なものに違いない。


坂本龍一(音楽家)

一度も世界を見たことがない、生まれついての全盲者はSF映画を作ることができるのか?



冒頭で、目が見えなくなることは世界の終わりだと思っていた、と書きました。

前作『インナーヴィジョン』、そして現在『ナイトクルージング』を制作していて、その考えはなくなりました。

それは決して終わりではなく、違う視座への移行だと私は認識しています。


もちろん当事者ではないので、いざそうなった時、そんな気持ちになれるのか、それはわかりません。

やはり絶望するのかもしれません。


しかし少なくとも今、私と生まれつき全盲の監督・加藤は持つ者と持たざる者の関係ではなく、同じ「世界」を違う視座で共有しています。

その立場が変わることに私はそこまでの恐怖はいだいてはおりません。


そういった言葉で説明できないことを『ナイトクルージング』の制作を通して私は日々感じ、映像で捉えていっております。


完成は来年の春頃の予定です。


応援よろしくお願いいたします!

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