Tom Hingston - 偉大なる音楽アートを通して...
Masaki Hosotani

Masaki Hosotani / The Post Office Director / Musician
細谷昌樹/ザ・ポストオフィスディレクター / 音楽家

1996年渡英。ロンドンの前衛音楽からアートシーン、ジャズフェスティバルなどで精力的にライブをこなし活動。同時にコンポーザーとして、資生堂やリーバイス等大手ブランドのファッションPV楽曲提供の他、サウンドインスタレーションや映画音楽などを幅広く手がける。
2012年、拠点を日本に移行。英国プロダクトとヴィンテージを主体としたセレクトショップ『The Post Office Shop』を大阪・北梅田にオープン。音楽キャリアをバックグラウンドに、ロンドンで長年培ってきたネットワークと世界観をミックスした独自のディレクションを展開中。
http://thepostoffice.jp/
http://justbecoming.com/

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Tom Hingston - 偉大なる音楽アートを通して...

Tom Hingston - 偉大なる音楽アートを通して...

The Chemical Brothers - Born in the Echoes

Tom Hingston - 偉大なる音楽アートを通して...

Tom Hingston Studio

今年の春先になりますが、ロンドン滞在中にクリエイティブ・ディレクター /グラフィックデザイナーのTom Hingstonのスタジオにお邪魔してきました。


Tom Hingston - 偉大なる音楽アートを通して...

世界最高のトップクリエイターのひとりとも云えるトム。


グラフィックデザイン、特に音楽アートに興味のある方にとっては、90年代後半から現在までトムが手掛けてきた数々の作品(マッシブアタック〜レディーガガ、デヴィッド・ボウイ〜U2、グレースジョーンズ、etc...)は、とても馴染み深いものだと思います。


今回はお互いの近況報告がてら、彼の最近のプロジェクトをキャッチアップしてきました。


Tom Hingston - 偉大なる音楽アートを通して...

Paul Smith + The Chemical Brothers for Tom Hingston

Tom Hingston - 偉大なる音楽アートを通して...

Grinderman - Palaces of Montezuma

写真上のセーターは、トムがデザインしたケミカルブラザーズのアルバムカバー『Born in the Echoes』を使用したPaul Smithとの限定アイテム。


ちょうどこの時 (2018年4月) 、ロンドンのPaul Smithの旗艦店で、トムの約20年に渡る音楽関連の作品に焦点を充てた展示会『Progress(発展)』が開催される前で、トムの親友でもあるデザイナーのポールスミスが今回のエキシビジョンのために特別に製作した記念品です。


"形の無い"ダウンロードやストリーミング が主流となり、カバーアートの持つ意味合いが希薄になりつつある現在の音楽業界ですが、

その歴史を振り返ると、芸術家のピーターブレイクが手がけたビートルズの『サージェントペパー』や、70年代に活躍したデザインチームのヒプノシスによるピンクフロイド、レッド・ツェッペリン等のレコードジャケットなど、音楽の発展にともなう副産物として、これまでにたくさんの音楽アートが生み出されました。


従来あった音楽媒体を視覚芸術に高めた功績は本当に素晴らしく、特に時代を象徴するアイコニックな音楽アートを膨大に所蔵する英国だからこそ可能な、取り組むべきヘリテージプロジェクトです。


Tom Hingston - 偉大なる音楽アートを通して...

David Bowie - Sue

こちらはトムが手掛けたデイヴィッド・ボウイのミュージックビデオ "Sue"。


ボウイが亡くなる前の作品で、トムいわく、自身の死が目前にあることを知りながらも、創作意欲が全く衰えないボウイのアーティスト魂にはかなりの感銘を受けたそう。。。


ジョークが大好きな方だったらしく、彼との仕事のやりとりは常に笑いとユーモアが溢れていたとか。


伝説のロックスターは人生の幕引きもカッコいい。。。


Tom Hingston - 偉大なる音楽アートを通して...

そのデヴィッド・ボウイとの "Sue”で、世界的権威のあるデザインオーガナイゼーション、The Type Directors Clubが主宰する賞『tdc.61』のコミュニケーションデザイン部門で見事受賞。こちらはその時の記念オブジェ。


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以前リリースされたローリングストーンズのコンピアルバム。

アーティスト達からのトムへの信頼は厚く、英国が生んだもうひとりの偉大なロックレジェンド、ミックジャガーとも数多くの仕事をこなしています。


Tom Hingston - 偉大なる音楽アートを通して...

Massive Attack - MEZZANIN

どの作品も印象的ですが、なんといっても自分の一番好きなトムのアートワークは、Massive Attackのサードアルバム「MEZZANIN』。


世界の音楽シーンにメジャーインパクトを与えたこのアルバムがリリースされたのが、今から20年前の1998年。

この黒光りしたクワガタの巨大ポスターをミナミのタワーレコードで見た瞬間、迷わず"ジャケ買い"した思い出をトムに伝えるとかなりのご満悦(笑)

トムにとってこのアルバムの仕事が一番のターニングポイントだったそうで、後の彼のキャリアにかなりの影響を与えたそうです。


その年にちょうど自分がロンドンに移り住んだこともあって、とても思い入れのある(たぶん何パーセントかは自分のイギリス行きを後押しした)一枚です。


その当時、自分はまだ二十歳そこら。

紆余曲折を経て、まさかあのクワガタをデザインした本人とも友達になるとは思ってはいませんでしたが(笑)


それにしても、あれからもう20年か。。。


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Massive Attack - Collected

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Gnarls Barkley - St. Elsewhere

90年代のイギリスはマッシブアタックやポーティスヘッドなどのブリストルサウンド(トリップホップ)を始め、Mo'WAXのジェームスラベル(動画下)、ドラムンベース、アシッドジャズ、ビッグビート、エレクトロ、一時は社会現象と呼ばれたブリットポップなど、革新的な音楽ジャンルと数多くのアーティストが台頭した実りある時代。


80年代末に勃興したレイブカルチャーやアメリカからのヒップホップ、グランジブームなどの下地はあったにせよ、たった数年間でここまでたくさんの音楽形態が登場したのは近年の音楽史上でも最も稀な現象だったと思います。


自分や周りの友人も含め、世界中の多くの若者がこの時代のイギリスの音楽やファッションなどのユースカルチャーに触発され渡英しました。



今では伝説のクラブとなりましたが、その頃通っていたイーストロンドンのショーディッチにあった『Blue Note』では、若かりしビョークやゴールディー、Ninja TuneのCold Cutなどが連日DJしたりとかで、毎日何かが起こるようなワクワク感が街に漂っていたのを覚えています。

(ちなみにこの頃のショーディッチは、Blue Noteを含めクラブとバーがほんの数軒あったくらい)


そのBlue Noteで、当時アートカレッジを卒業したばかりのトムが出演アーティストのフライヤーをひたすらデザインしてたそうで、トムもまさに世界を席巻したあの時代、"90年代の英国"が生んだストリートカルチャーの一部なんだなって改めて実感しました。


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Young Fathers - Cocoa Sugar

トムのスタジオを後にし、ロンドンの街を見上げると彼の最新のアルバムアートワークを発見!


近年のトムは、クリスチャン・ディオールやアレクサンダー・マックイーンのアートディレクションを手掛けたり、英国の高級車メーカー、ロールスロイスのブランディングなど世界の一線で活躍するクリエイターとして幅広くその才能を発揮していますが、彼のルーツはやはりストリート。


この時も20年前のロンドンの街中で見かけたあの巨大クワガタと同じように、トムの作品が街を彩る風景の一部に。


時代の流れやテクノロジーに関係なく、変わりなく”Progress”(発展)し続けるトム・ヒングストンには本当に脱帽です。。。


Young Fathers、ジャケ買いしよかな。。。(笑)



Tom Hingtston Studio
23–24
Great James Street
Bloomsbury
London WC1N 3ES


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