Kazushi Takahashi

Kazushi Takahashi / Fashion Writer
高橋 一史/ファッションライター

明治大学&文化服装学院卒業。編集者がスタイリングも手がける文化出版局に入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。担当ジャンルは、ファッション&音楽。退社後はフリーランスとして、原稿書き・雑誌編集・コピーライティング・広告ディレクション・スタイリングなどを行う。
kazushi.kazushi.info@gmail.com

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技アリのグラフィックTシャツ(私物)

技アリのグラフィックTシャツ(私物)
『英国グラフィック集団「tomato」デザイン』

アメリカントラッド系の襟つきシャツの流行が落ち着き、今再びTシャツやスウェットシャツなどの丸首被りモノが気分ですね!
仕事としての感覚で言いますと、大胆なくらいの幾何学柄グラフィックTがいいんじゃないかな、と思ってます。
肩から裾まで斜めに色が切り返されているようなデザイン。

でも私個人はグラフィックTシャツをほぼ身につけないんです。
なぜかといいますと、

1.  着る服は無地が好き。
2.  学生と差を付けないと仕事柄マズイ。
3.  良質な素材・縫製・パターンのグラフィックTは多くない。

そんな私でも、ほしくて入手したものがあります。
むか〜し買って保管してたもの、最近のものをまとめてみました。
文字プリントのレタードTシャツではなく、言葉不要でビジュアル真っ向勝負のTシャツたちです。


☆「tomato」メンバーのブランド☆
技アリのグラフィックTシャツ(私物) 技アリのグラフィックTシャツ(私物) 技アリのグラフィックTシャツ(私物)
90年代の半ばくらいに「tomato」が話題になってきたとき、代官山の中心から外れた場所の2階に小さな店ができました。
tomatoのメンバー「サイモン・テイラー」がデザインしたカジュアル服のショップ。
当時はまだ、「裏原宿」なんて言葉もなく、ストリートスタイルが、ファッションをリードしていたデザイナーズにとって変わろうとしていた刺激的な時代です。
メンズモード誌の編集者をしていた私は、ほとんど趣味的に、こうした代官山の店を巡り歩いてました。

ふらっと入ったショップで目にしたTシャツにヤラレまして(サイモン・テーラーが誰かも知らず)、一気に5枚購入。
今でも残ってるこの2枚は、あまり着なくて傷まなかったもの。
生地は低品質で、いわゆるストリートなアイテム。

今見ると、ナイキの広告が世界の最先端グラフィックだった頃の時代感が漂ってますね。
「ストリートファッションブーム前は、こんなTシャツはリーズナブルな値段だったなぁ」と、昔は良かった的な感傷もつい ^^;


☆ジャズマンTシャツ☆
技アリのグラフィックTシャツ(私物) 技アリのグラフィックTシャツ(私物)
上はサックスプレイヤー「デクスター・ゴードン」で、その道では有名な写真です。
下は、エキセントリックなピアニスト「セロニアス・モンク」。
とくにセロニアス・モンクは、ジャズ界の超大御所です。
先日のblog記事でご紹介したジャズ映画にも出演しています。

これも90年代に買ったもので、理由は「モダンジャズが好きだったから」。
アルバムジャケットを飾りたくてレコードを買うのと同じ感覚で。

さて、そろそろ現代の話を!

☆プリント技術を追求したアートT☆
技アリのグラフィックTシャツ(私物) 技アリのグラフィックTシャツ(私物)
アート作品をTシャツにプリントするなんてのはよくあることですが、宮城県仙台市にプリント工房を構える「AZOTH(アゾット)」が企画したブランド「gallery(ギャラリー)はレベルが違います。
手刷りプリントでどこまでアートを再現できるかに挑戦し、まるで筆で塗った油絵のような複雑な立体プリントをやってのけたのです!

カラフルな下地模様をプリントした上に、白黒の発泡インクを盛っています。
Tシャツの裏から光を透かすと、
技アリのグラフィックTシャツ(私物)
黒く光を通さない部分が発泡インク。
実物を見ると「手描きじゃないのか!」とちょっとビックリしますよ。
技アリのグラフィックTシャツ(私物) 技アリのグラフィックTシャツ(私物)
白黒の3枚の分厚いパネルを貼り付けたようなデザイン。
なかなかのモンでしょう!

ただし、この発泡インクは耐久性が弱いため、着るうちにボロボロと剥がれ落ちます。
経年劣化も計算に入れられており、パネルの下にもちゃんとプリントが施されています。
この2枚は、ある種の作品として着ずに保管してます。

現在はこのブランドとしては活動してないようですね。
アゾットのウェブサイトは以下。
   ↓
http://www.azoth-net.jp/

復活するときは、ぜひ襟回りの縫製やパターンにも凝ってください!
そうすればヨーロッパのハイブランドをも凌駕できると思います。


☆大阪ブランド「HEALTH」の一点モノ☆
技アリのグラフィックTシャツ(私物)
関西のファッション関係者にはお馴染みのカットソー中心ブランド「HEALTH(ヘルス)」。
デザイナー田上拓哉さんの追求心とユーモアにはアタマが下がります。
東京でも、もっと知られていいブランドなのですが、センス良すぎるのかも……。
Tシャツは、ダサいくらいのほうが人気があってたくさん売れるそうですから。

この一枚は特別ピースで、田上さんによる手づくりコラージュ作品。
オーダーして、どんな絵が届くのか分からなかったアソートもの。
技アリのグラフィックTシャツ(私物) 技アリのグラフィックTシャツ(私物)
古い欧米の雑誌や新聞を切り貼りして、上から樹脂コーティング。
このTシャツはたぶん、ボディにプリント+4枚の紙パーツ重ねです。
シュールレアリスムやロシア構成主義が好きな私にはツボのデザイン。

「紙素材なら洗えないね」と私。
「もちろん洗えるようにつくってますよ」と笑顔の田上さん。
さすがです!

もう何年もご無沙汰なんで、また東京で展示会やるときは案内状を送ってください m(_ _)m
グラフィックやイラストを描く人のことを誰でも「アーティスト」と呼ぶ風潮が苦手なのですが、彼はアーティストだと思います。
発表するTシャツ一枚一枚が、凡庸なモノの見方を覆す発想と美しさに満ちています。


☆「アミ アレクサンドル マテュッシ」☆
技アリのグラフィックTシャツ(私物)
これは着たい!着たいのですが、近所を歩いただけで通行人の目線が突き刺さるため、「あ〜オレにはムリ」と、ときどき部屋で着て楽しんでます。

欧米のファッションデザイナーがつくるTシャツが優れているのは、ボディの素材に細番手の高品質な綿糸を使い、肌触りが滑らかなこと。
平面的な裁断でないため、着ると立体感が出る点も重要なポイント。
腕に沿う自然な袖のカタチ、繊細な処理のネックなども含め、服としての色っぽさがあります。
フランスの若手注目ブランド「AMI Alexandre Mattiussi(アミ アレクサンドル マテュッシ)」も、もちろん例外ではなく。

この記事内でTシャツを上から順に見ていくと、ほかとは明らかに雰囲気が異なるのがお分かりでしょう。
どれが好きかは、その人次第ですけども。
値段との折り合いもありますしね。


☆「クリスヴァンアッシュ」☆
技アリのグラフィックTシャツ(私物) 技アリのグラフィックTシャツ(私物)
肩線の付け根から、クイッと折れ曲がるように袖が取り付けられています。
さきほどの「アミ」と同様に、着る人を美しく見せるには、人体構造に基づいた手間のかかる仕立てが不可欠なんです。

グラフィックTシャツとは呼べないかもしれませんが、前シーズンの秋冬に買い、いま愛用中の一枚。
着てると、仕事で会うファッション関係者に「それどこの?」と褒めていただくことしばしば。
色の発色もすごくイイんですね。

その理由は、
技アリのグラフィックTシャツ(私物)
裏返すとよく分かりますが、個別の色で編まれた生地を、パッチワークで繋ぎ合わせてボーダーに。
「ディオールオム」のディレクションも手掛けるベルギー出身デザイナー「KRISVANASSCHE(クリスヴァンアッシュ)」らしいマルチ素材ミックスデザイン。
プリント手法でボーダーをつくっても、この深みのある色は出せないでしょう。
洗っても、色落ちはまったくナシ。

パッチワークがロックミシンによるツナギなため、ちょっとゴロついて着心地はイマイチですが、それがどーでもよくなるくらいお気に入りです!


All Photos © Kazushi Takahashi

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アイディア出し合って何かつくって、ここに載せるのもアリですね。
参考記事
男性のための女性ファッション用語講座 Part2:サンダル編(オリジナルイラスト)
新人クリエイター作品 Part1:ファッションデザイナー上野貴大

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