洋画・邦画ともに注目作品の多い12月。衝撃の展開の連続で毎週話題を集めた大ヒットTVシリーズを映画化した『あなたの番です 劇場版』の見どころやあらすじを紹介する。

【あらすじ】もしもあの日、交換殺人ゲームが始まらなかったら？

秋元康が企画・原案を担当し、原田知世と田中圭がW主演を務め、2019年4月から9月にかけて日本テレビ系列で放送されたノンストップ・ミステリードラマ『あなたの番です』。東京都内のマンションに引っ越した年の差新婚夫婦の手塚菜奈と翔太が、住民たちの“交換殺人ゲーム”に巻き込まれていく様子を、予想もつかない衝撃の展開の連続でスリリングに描写。物語に散りばめられた伏線から黒幕を探る考察がSNSで白熱し、大きな話題を呼んだ。この“あな番”の劇場版が12月10日から劇場公開される。

物語は、菜奈と翔太がマンション「キウンクエ蔵前」に引っ越してきた日までさかのぼり、「もしもマンションの住民会に出席したのが菜奈ではなく翔太だったら？」「そして交換殺人ゲームが始まらなかったら？」というパラレルワールドを描く。引っ越してから2年後、晴れて結婚した菜奈と翔太は、住民会を通じて仲良くなったマンションの住人たちを招待して船上ウェディングパーティーを開催することに。ところが、出港したクルーズ船内で連続殺人事件が発生。菜奈と翔太と住民たちは犯人を捜すが、そこには、思わぬ殺意が交錯していた。

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【キャスト&スタッフ】豪華キャスト陣がパラレルワールドで“復活”

近年のTVドラマでは異例の2クール（全21話）に渡ってオンエアされた“あな番”は、キャストの豪華さでも話題になった。優しくてしっかり者の姉さん女房・菜奈に原田知世、飼い主に対する犬のように妻を慕う翔太に田中圭、他にも西野七瀬、横浜流星、木村多江、生瀬勝久などそうそうたる顔ぶれ。今回はドラマのスタート地点までさかのぼるパラレルワールドということで、ドラマのキャスト陣が引き続き多数出演。企画・原案も秋元康がドラマから引き続いて担当する。

さらに注目したいのは、劇場版の新キャスト。ある目的を持って船に乗り込む“謎の女”に門脇麦が扮し、謎と疑惑に満ちた行動で物語を混乱と不穏へと導く。また、ドラマで何度も名前が上がりながら最後まで姿を現さなかった早川教授役で酒向芳が出演。早川教授の人物像や気になる研究内容も明らかになる。

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【見どころ】ドラマの魅力を最大限に生かした、新しい“あな番”

TVドラマの映画版というと、シリーズが完結したその後、あるいはシリーズの前日譚を描くのがオーソドックス。ただし“あな番”のように謎解きが醍醐味となるミステリーだと、ドラマで事件が完結した後に新展開を作り出すのは難しい。しかも“あな番”は登場人物の多くがすでにドラマで死んでいる。その点、交換殺人のきっかけとなるマンションの住民会という物語の重要な分岐点までさかのぼり、もう1つの世界を描き直す発想は実に秀逸。事件が進む途中で離脱したキャラクターたちを再び総出演させつつ、ドラマとは展開がまったく重複しないパラレルワールドを描くことで、シリーズを毎回追っていた視聴者たちを新たな衝撃と興奮へと導くことに成功している。

物語がパラレルワールドで新展開を迎える一方、複雑に張り巡らされた伏線から犯人を考察するというドラマの醍醐味は、劇場版でも変わらず健在。次々と殺人が起きていく中で疑心暗鬼がピークまで募り、誰を信じていいか分からなくなる…そんな人間の心のもろさを刺激する不穏なミステリーは、約2時間半の本編時間でありながら2クールに匹敵する緊張感を味わわせてくれる。

シリーズのキャラクターたちと再会することができ、王道ミステリーの醍醐味である難解な謎解きや予測不能な衝撃の展開を存分に堪能できる──。“あな番”を全話視聴していた人も初めて見る人も最後まで釘づけ必至だ。

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