陶芸と建築の要素が交錯する、奈良祐希の建築処女作が完成

  • 編集&文:佐野慎悟
石川県金沢市の伝統的な商業地区である、問屋町に立ち現れた土壁の建築。一階部分に空間を設けた「キャンティレバー構造」は、この地域でよく見られるアイコニックな意匠。写真:小川重雄
陶芸家と建築家という二足のワラジを履く奈良祐希による建築「NODE KANAZAWA(ノード金沢)」が、石川県の金沢市問屋町に誕生した。注文住宅や商業施設の設計、施工、販売などを手掛ける、株式会社家元の本社機能を備えたこの建物は、1階にカフェレストランやギャラリーも入居する複合施設として設計された。 このプロジェクトが立ち上がったのは、コロナ禍以前の2019年。当初は都市中心部に象徴的な新社屋を建てる構想のもと進んでいた計画だが、世界的なパンデミックを機にリモートワークをはじめとする新しい働き方へのシフトチェンジが加速する中で、郊外に立地しながら、周辺環境を引き込む低層の社屋という新しいコンセプトへと大きく方向転換した。  ノード金沢の南北に走る「緑のミチ」には、シャラノキの並木と日本庭園を彷彿させる飛び石を配置。1階にはカフェレストランやギャラリーが入居することにより、街との接点が生まれる。写真:小川重雄  周囲...