京都で出合う暮らしの道具に魅せられて。

第1回 古い道具編

1200年の歴史を誇る京都。長きにわたって、文化と芸術の中心地であったこの街には、いまなお多彩な伝統工芸や職人技が深く根づいています。デザインや機能性、佇まいなど、男心にグッとささる本物の道具を探すなら、世界中のどこよりも京都がいちばん。老舗の名店から、職人のオンリーショップ、若き店主の新店など、バリエーションもさまざま。Pen Onlineでは、京都のひとり旅でぜひ訪れてほしい、お薦めの道具とインテリアの店を紹介します。京都らしい哲学と美意識にあふれる店揃いで、センスを磨けること間違いなしです!

写真・蛭子 真 文・小長谷奈都子

Soil

セレクトは北欧と東欧の二本柱。現在、ルーマニアやハンガリーのものが充実。国や時代、アイテムをミックスした陳列はぜひインテリアの参考に。

20世紀初期のルーマニアのボウル¥10,000、19世紀のスウェーデンのガラスピッチャー¥20,000、20世紀中頃のルーマニアの布¥7,000、ヨーロッパの古いフォーク左¥1,300、右¥1,200

フィンランドの古いハギレの額装¥10,000、20世紀前期のルーマニアのジャグ¥6,500

フィンランドを中心に北欧、東欧のヴィンテージアイテムを扱うショップが、南禅寺近くから仁王門通へと移転。店主は、京都育ちで、高校生時代から骨董市に通い、古い道具に親しんできた仲平誠さん。「時代や国に関係なく、経年変化の味わいが好き。フォルムや質感を大事にしています」。名のあるブランドの器やグラスから、生活に寄り添う道具、ユニークなオブジェ、懐かしい玩具など、そのおメガネにかなったアイテムが店内に心地よく並んでいます。買い付けは年に4、5回。陶器やリネンなど手仕事のいいものが多く残る東欧に、いま注目しているそうです。
ソイル
京都府京都市左京区北門前町476-1
営|12時〜19時
休|水、木、年末年始、ほか不定休あり
☎|090-2357-0574 www.soil-kyoto.com

自宅一部を改装した店内。子どもの落書きが飾られていたり、棚の端にさりげなくミニカーが置かれたりと、ものの配置にも店主のセンスが光ります。

古い紙箱¥1,000〜3,000、ミニカー¥2,000、サイコロ各¥300、セルロイドケース各¥600、飛行機¥3,000、山陰地方の徳利¥9,000

ガラスは明治から大正時代のもの。左奥の花器¥8,000、手前の小壼¥500、右のグラス、その上の片口各¥9,000、戦前のイス¥19,000

静かな住宅街にあり、オープンは毎週土曜のみ。店主が、ある陶芸家の器をきっかけに、自分の好きなものだけを生活に取り入れたいと、少しずつ古い道具を買い集め、ついには店を構えるまでになった隠れ家的一軒。「作家や年代など意識せず、佇まいがいいものを選んでいます」。そんなニュートラルな視点で集められた道具はどれも物語を感じさせるものばかり。店主の穏やかな人柄と相まって、店全体がやわらかい独特の雰囲気に包まれています。器やガラス、手芸用品、玩具などに混じって、書き損じの封筒や白黒写真など、不思議な存在感を放つものとの出合いがあります。
古い道具
京都府京都市北区等持院南町68-1
営|11時〜17時
休|月〜金、日(土曜のみの営業)、ほか不定休あり
☎|なし

PARABOLA

業務用から家庭用まで多種多様な照明が揃い、工業デザイン好きにはたまらない空間。古い照明をていねいに分解し、修理して販売しています。

右から:アメリカのスタンドランプ¥24,800、ポーランドのデッキランプ各¥28,800

フランスのGRAS、JUMO、ドイツのKaiser Idell、Kandemなど、コレクター垂涎のテーブルランプ。

家具の街・夷川通に店を構える、ヴィンテージ照明と古道具の店。一歩足を踏み入れると、店内を埋め尽くさんばかりの照明の数に圧倒されます。「アメリカ、ヨーロッパの1920~70年代のインダストリアルものがメイン。メーカーで選ぶのでなく、おもしろいもの、見たことがないものを常に探しています」 と、店主の大西勇気さん。テーブルランプやウォールランプのほか、船舶用ランプや劇場のスポットライトなど珍しい照明も並びます。素材もガラス、陶器、鋳物、メタルなどさまざま。修理やメンテナンス、セミオーダーにも対応可能で、骨董店や内装関係、店舗オーナーなどプロの来店も多いとか。
パラボラ
京都府京都市中京区夷川通高倉角天守町742 稲井ビル1F
営|13時〜20時
休|火、水、12月29日~1月6日
☎|075-255-1788 www.PRBL.jp

Antiques & Art Masa

作家にオーダーして制作したオリジナルアイテムたち。右上から時計まわりに:「Masa傘徳利」¥18,000、「Masa白磁平杯」¥8,000、「Masa山茶碗」¥6,000、「Masa隅切り盆」¥20,000

古い屏風の一部を使った「Masa屏風パネル」は人気が高いアイテム。(W48×H30cm)¥45,000、縄文土器、江戸時代の刀箱各¥85,000

「可能性のあるもので眠っているものを活かしていきたい」とMasaさん。店は土壁の部屋のほか、吹き抜けのコンクリートの部屋も。

骨董のみならず、スペースデザインの分野で各方面からひっぱりだこのMasaさんのギャラリー的ショップ。下鴨神社近くのマンションの一室、地下への階段を下りると、骨董の器や花器、岸野寛、辻村塊といった若手作家の酒器、オリジナルの調度品などが、古材を使った家具や土壁の空間にセンスよく並んでいる。「自然の中に身を置くことで癒しを感じるような方に共感してもらえるのでは」。セレクトの基準はお酒やお茶を飲む時に楽しむ道具や、花を添え遊べる道具だといいます。技術やものに新しい用途や価値観を与える、“見立てのセンス”を、ぜひ目撃してください。
アンティーク&アート マサ
京都府京都市左京区下鴨松原町29 I MUSEE102
不定休
☎|075-724-8600 www.art-masa.com
※来店時は電話かメールinfo@art-masa.comにて事前に問い合わせを。