新しい風景を食卓につくる、ホットプレート

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    青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

    新しい風景を食卓につくる、ホットプレート

    やや傾斜があるものの、お好み焼きやホットケーキなどの調理も可能だ。実勢価格¥21,600

    1994年にオランダで生まれ、ヨーロッパを中心に愛されてきた家電メーカーのプリンセス。2000年代初頭には日本にもお目見えし、小物系のキッチン家電を展開してきた。ブランドのロゴの先頭に入った王冠のマークが目印。クローム仕上げでローラーシャッター付きのポップアップトースターなどに、見覚えのある人もいるかもしれない。シンプルで洗練されたデザインに加え、キッチンにふさわしい温かみを感じさせる佇まいが、プリンセスブランドの特徴といえるだろう。 

    そんなプリンセスが日本に再上陸をしたのが2014年12月のこと。まずはブレンダー2機種を発売し、昨年の暮れに満を持して登場したのが、この「テーブルグリル・ピュア」だ。卓上でグリル調理ができるという点では〝ホットプレート〞の一種なのだが、竹製の台座の上に、薄手の白いプレートが載っている姿は、これまでのものとは一線を画す。食材から出た余分な脂分を落とすために、プレート中央部にスリットが設けられているのも新しい。 

    アルミの鋳物にセラミックコーティングが施されている仕様で、立ち上がりがとても速い。肉を焼くのに適温の160~180℃に達するまでわずか3分程度。プレートの隅々までを短時間で適温にし、遠赤外線効果でじっくりと焼き上げる。スリットから脂が落ちるため、煙が出にくいのも魅力だ。 お薦めは、焼き鳥をはじめとする串焼き。1枚板で周囲に囲いがないので、串が浮き上がらず、串の部分だけを外にはみ出して焼くようにすると、思いのほかたくさんの本数が並ぶ。肉や魚介、野菜などを串に刺して並べると、白いプレートが色とりどりの食材に彩られて目にもおいしい食卓となる。ピンクソルトや粗びきのペッパー、ディップソースなど、各自が好みの味付けで食べられる。使った後のお手入れも、濡らしたキッチンペーパーで拭くだけと簡単だ。気をつけるとしたら、小さな子どもの火傷くらいだろうか。 

    中央に向かってゆるやかに曲線を描くホワイトのプレートは、幅が25.5㎝と狭く横に細長い形状のため、テーブルに置いた時に邪魔にならないのもいい。まるでテーブルセンターのように、ダイニングのインテリアになるから、ずっと出しておきたくなる。朝には前日から卵液に浸しておいたバゲットをのせフレンチトーストを焼き、その片側でベーコンやソーセージを焼くという使い方もできる。ピュアなホワイトのプレートなので、通電しないで果物やサラダを盛りつけて使うなど自在だ。 
    いつも食卓にあって、私たちに寄り添うグリルプレート。新しい暮らしが始まりそうだ。

    温度は無段階調節で250℃まで。サーモスタットが高温になりすぎると自動で停止し、低温になると再開する。

    神原サリー
    新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立し、豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信。2015年2月、表参道に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
    ※Pen本誌より転載