70 年代のスタイルを継承した、あの名機の復刻。

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    GIRARD-PERREGAUXジラール・ペルゴ

    70 年代のスタイルを継承した、あの名機の復刻。

    岩崎 寛(STASH)・写真 photographs by Hiroshi Iwasaki
    並木浩一・文 text by Koichi Namiki

    伝説の名モデルの帰還に腕時計ファンたちが色めき立っている。ジラール・ペルゴ「ロレアート」、シルバーとブルー文字盤各225本だけの限定版にはそれだけのニュースバリューがあって当然だ。1970年代に一世を風靡したモデルの颯爽たるリバイバルだが、飛びつきたくなるのはオールドファンとは限らない。初めてこのデザインに恋焦がれる層の方が、ずっと厚いだろう。 

    初代モデル誕生は、75年のことだ。名門ジラール・ペルゴにしても大きな意味をもつ腕時計だった。実はジラール・ペルゴは当時、世界のクオーツ腕時計の周波数基準決定を主導した存在である。ロレアートは、クオーツ・ムーブメント搭載を想定した戦略的なコレクションだった。21世紀最高と評される時計デザイナーが描いたのは、八角形ベゼルをもつアヴァンギャルドな造形。スムーズに連結する一体型のブレスレットをもつスタイルは、70年代の最新であり、現代も先取りしていた。ネーミングも秀逸である。イタリアのディストリビューターが提案したという名前は、ダスティン・ホフマン主演映画『卒業』のイタリア版タイトル「イル・ロレアート」から。その名には「ロリエ(月桂樹)」の冠を戴くという意味も掛けられている。その名の通り、ブランドの代名詞でもあるスリーブリッジ・トゥールビヨンや、自社製ムーブメント搭載クロノグラフなど、多彩な名品を生む。ロレアートはジラール・ペルゴの大名跡となった。 

    そして創業225周年の今年、オリジナルを再現する形でこのリミテッド・エディションが発表された。自社製自動巻きムーブメントを搭載し、シースルーバック仕様。文字盤にはクル・ド・パリ装飾。40年余りを経ても、完成されたデザインの美は、むしろ輝きを増している。世界を舞台の取り合いも無理はないだろう。均整の取れた三針時計はシンプルながら、どこにもない華やかさを匂わせるのである。

    ロレアート

    ●自動巻き、自社製ムーブメント(GP03300-0030)搭載、ステンレス・スチール、ケース径41㎜、ケース厚(ガラス含む)10.1㎜、パワーリザーブ約46時間、サファイアクリスタル・バック、30m防水、世界限定各225本。¥1,728,000
    ●問い合わせ先/ソーウインド ジャパン TEL:03-5211-1791 ※Pen 2016年11月15日号に掲載