いよいよ発売されたiPhone7、その魅力と可能性とは?

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    すでに高い人気となっているジェットブラックのiPhone 7、iPhone 7 plus。美しい光沢で鏡のように周囲の風景を映しこむ。

    いよいよ「iPhone7」「Apple Watch Series2」が店頭に並びました。

    発売前から新色のジェットブラックは前評判が高く、すでに入手には時間を要するというニュースが飛び交うほど。新しいiPhoneを発表するたびにサプライズを求められ、それに応えてきたアップルですが、先行する報道からわかるように、見た目の変化は驚くほど少なかったと言えます。そう、今回Appleは、触れてみて初めてわかる「進化」でファンの期待に応えたのです。では、今回の新作が私たちの暮らしをどのように変えるのでしょうか。発表会では10のトピックにわけて紹介されましたが、ここではApple PayとApple Watch、そして進化したカメラに注目していきましょう。

    iPhoneが起動していれば、画面はスリープ状態でも読み取るということ。

    iPhoneのなかでチャージを済ませ、支払いは電子マネーで。支払いが身軽になります。

    マリオやポケモンGOの登場で発表会の会場は大いに湧きましたが、私たちにとって最大のニュースはApple Payの日本上陸でしょう。このサービスの運用でiPhoneもしくはApple Watchを使って改札の通過が可能になり、クレジットカードをはじめ、さまざまなカードも包括的に扱われます。極端な例ですが、これによって財布をもたずともiPhoneを片手に東京から北海道や沖縄への旅も可能になるのです。自動改札機にiPhoneを当てて電車に乗り、飛行機にもチェックイン。Suicaのチャージが足りなければその場で加算し、電子マネーやクレジットカードを使えばコンビニや百貨店で足りないものも買えてしまう。10月下旬から運用を予定していて、サービスは順次拡大予定。財布を分厚くしてしまうカードとさよならできる日もそう遠くないのかもしれません。

    こちらはNikeのモデル。穴を多数空けることでランニング時に汗がたまらないようにデザイン処理されています。

    ホワイトセラミックのモデルも登場。非常になめらかで美しいアップルらしいプロダクト。金属アレルギーのひとにも楽しめるモデルに。

    このApple Payを身に着けて使えるのが、「Apple Watch Series 2」です。日本のみFeliCaが搭載され、単体での使用も可能。しかし最大の変化であり、まっとうな進化とも呼べるのがGPSの搭載と防水機能です。これまで他のスポーツウォッチに及ばなかった機能が一気に拡張され、アプリの可能性も飛躍的に広がります。それを象徴するように、エルメスに次ぐコラボレーション相手としてNikeが登場しました。

    GPS機能の搭載により、iPhoneを家に置いて外でランニングをしても的確に位置情報を表示。山登りのルート案内も可能で、道を間違えばApple Watchがそれを教えてくれます。プールで泳げば、他の運動同様に時間や距離、心拍数などを計測。モニター輝度や画像処理機能も向上したため、たとえば夜の星座を調べるアプリでは、方角ごとになめらかなアニメーションを映し出すことも。運動情報の蓄積によって、たとえば毎日走るコースでのペースアップやペースダウンなども視覚化されます。iPhoneの標準アプリ、アクティビティはこれまでも日々の動きを記録していてくれましたが、これがさまざまな情報と結びついて利便性が向上しているのです。

    iPhone7とiPhone7 plus最大の違いはカメラ。plusはふたつのレンズで表現の幅を広げました。

    ズーム機能によってこれまでとは被写体との距離が変わります。

    話をiPhoneに戻しましょう。これまでは、「iPhone」と「iPhone plus」を選ぶ際に単純に大きさで悩めばよいものでした。しかしこれからはカメラの使用頻度で両者のうちいずれを使うかを決めるのがよさそうです。

    すでに報道されているように「iPhone7 plus」はふたつのレンズをもちます。広角28mm相当のレンズと中望遠の56mm相当のレンズのふたつ。ワンタップで簡単に切り替えがきき、被写体の捉え方が大きく変化します。表現の幅を広げるのは、それだけではありません。「iPhone6S」でもすでに美しい色彩表現をしていたように思えますが、両者をくらべるとその差は歴然。赤や緑がより鮮やかに、蛍光灯など光源による色の濁りも払拭され、人の肌の表現力も格段にあがりました。簡単に言えば、人の目がもつ高度な画像処理の能力により近付いたのです。こちらも10月末のアップデートでさらなる機能が追加され、ボケみの表現もできるようになります。「iPhone7」ももちろん表現力が向上していますが、写真を楽しむのであれば断然「iPhone7plus」に軍配があがります。まずは店頭で両者を見比べてください。

    生活をアップデートさせる、アップルの試み。

    ユニオンスクエアに面して、大きく開け広げられたアップルユニオンスクエア。

    少し視点を変えて、今年5月にオープンしたショップ「アップル ユニオンスクエア」を見てみましょう。サンフランシスコの中心にある公園、ユニオンスクエアに面した開放的な空間は、まるで公園がそのまま続くかのよう。ティム・クックとともにデザイン面でアップルのいまを牽引するジョニー・アイヴが、フォスター・アンド・パートナーズとともに設計。少し前にストアという表記がなくなると話題になっていましたが、それはこの店を体験すればすぐに納得がいきます。

    2階の床がキャンティレバーでせり出し、庇のように1階の天井となっています。

    2階の巨大なモニター前。ここでレクチャーなどを行うようです。

    店内に置かれた巨大な植物は腰をかけるベンチに。さまざまな場所に人々がいます。

    大きなスライド式ガラス戸を開け放った「アップル ユニオンスクエア」。店内に置かれたいくつも大きな樹木の鉢植えはベンチにもなっています。カウンターテーブルや無造作に置かれたスツールなど、思い思いの場所に人がいます。ショップというよりも、アップルを介して人が集うコミュニケーションの場所になっているのです。もちろん建築そのものもユニーク。おだやかな気候の西海岸らしい大胆な空間ですが、建築というよりも巨大なプロダクトのよう。環境負荷の低減に真剣に取り組むアップルらしく、ここにエアコンはなく、天窓を通して空気を上昇させ、ファンによって外に放出しているそう。床が光を跳ね返し、外から差し込む自然光とともに樹木を育て、照明を抑えていても十分な明るさです。

    この新たな空間は、早ければ来年には完成するという新社屋の方向性を感じさせるものです。環境にやさしく、道具はシンプルで合理的に、さまざまな可能性をもって暮らしそのものを変えていく。今回の変化を通して、サンフランシスコで暮らすアップルの社員たちの暮らしを想像してみると面白いのではないでしょうか。身軽になって運動を楽しみ、日々の喜びを友人たちを共有する。道具を用いてライフスタイルの未来を描く企業、それがいまのアップルの姿なのです。来年には登場から10年をむかえるiPhone。社屋とともにどのような生活を提案するのか、いまから期待が高まります。(Pen編集部)