ダーウィンとフラッグシップ。新生Q7は時代のゲームメーカーになれるのか?

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    東京車日記いっそこのままクルマれたい!

    第16回 アウディQ7/Audi Q7

    ダーウィンとフラッグシップ。新生Q7は時代のゲームメーカーになれるのか?

    構成・文:青木雄介

    編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

    Q7のインテリアは実用本位でシックなモノの良さで勝負。アラウンドビューモニターも、このサイズ感では絶対的正義と言えるね。超使える! オプションで7人乗れる仕様だけど、同乗者の快適さが優先されてるのもまた好ましいね。

    Q7の初代が日本に上陸したのは約10年前。“クロスオーバーのサルーン”と形容したくなる威容で一目惚れしましたね。いっときこの大きさが災いしてか安全基準上、アウディのラインアップから外れていたときがあったんだけど2016年、新しいQ7が再上陸を果たした。当時からすると全長、全幅ともにコンパクトになってスマートになりつつ、モノとしての塊感、その存在感は大いに増した印象があるよね。

    実際乗ってみると当時とはまったく別のクルマという印象で、とにかく軽い。それもそのはず、300kg以上(!)減量したうえ、車両剛性があがっているので、オンロードの走行性能がよりアップ。その分、排気量も大幅にダウンサイズしてるから、おあいこになりそうなものなんだけど、クルマとしては運転しやすさや燃費において大幅にリファインされているメリットの方が断然大きいと感じたな。この当たり前のメリットがSUV大国アメリカで、どう評価されるのかはちょっと未知数だけどね(笑)。狙いはそこじゃないとすると、よりグローバルな視点でQ7がトレンドになりえる戦略が、アウディにあるということ。

    ともあれ10年前とは比較にならないぐらいプレミアムブランドがSUV市場に参戦してきた現在、アウディはアウディらしさを追及することで、過当競争気味のSUV市場にくさびを打とうとしているのは間違いない。オプションで7人乗れる余裕の室内空間と都内のコインパークでも安心して駐車できるサイズ感と4輪で操舵するAWSの取り回しのよさ、そしてアルミ部材をとことん効率的に使用することで軽量化した点は、アウディならではの贅沢な高級性能と感じる。この辺は東京でクルマを持つ、乗りこなすって意味から言っても理にかなった方向性だよね。しばらくQ7の新車を見なかったこともあって、このサイズ感が新鮮に映るっていうのもある。コンパクトになったとは言え、写真じゃ伝わりにくいけど、「Oh……」と思わず吐息がもれるインパクトは充分あるからね。

    Q7は適者生存の法則にのっとった正常進化。「V8でフルサイズ? ほかのメーカーに当たってください」みたいな割り切りの美学っていうかな(笑)。実際、SUV攻勢をかけてきたメルセデスや虎視眈々とシェア奪還を狙うBMWはもちろん、これからリリースが予定されてるジャガーやマセラティまでプレミアムSUVの市場環境はライバル揃い。だからこそどこに出してもメリットを主張できる、狙いを絞ったプロダクトとその意義づけって今後ますます重要になってくる。Q7はその点、アウディからの好ましくも明快な解答と言えるんじゃないかな。

    アウディ Q7 2.0 TFSI quattro/Audi Q7 2.0 TFSI quattro /

    ●エンジン形式:2リッター直列4気筒ターボ
    ●最高出力:252ps/5,000-6,000rpm
    ●最大トルク:370Nm/1,600-4,500rpm
    ●トランスミッション:8速ティプトロニック
    ●車両価格¥8,040,000

    問い合わせ先:アウディ・コール 
    TEL:0120-598-106

    http://www.audi.co.jp/