「陶芸は、自分が思った通りにならないから楽しいんでしょうね」(エドツワキ)

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    ―純米酒、ふだん飲み。私のSAKANA vol.2―

    今秋制作した陶板は、女の子をテーマにした作品が約20点。2017年に初の陶芸作品をメインにした展覧会を開催する予定。写真:岡村昌宏(CROSSOVER)

    酒の味が引き立つような味わい深い逸品を「肴」にたとえ、各界で活躍する人物に愛用品を紹介してもらう新連載がスタート。ときに偏愛すら感じさせる、彼らの熱い思いを探ります。


    モード誌をはじめとするイラストレーションから分野を拡大し、アーティストとして活躍するエドツワキさん。精悍な顔立ちゆえ、酒好きに見られがちですが「実はバリバリの下戸でして」と笑います。それでもごく最近、好きといえるようになったのが日本酒です。

    「ワインやウイスキーとは仲よくなれる気がしないけど、酒の味が好き。寿司屋や和食店で口をしめらす程度ですが、日本酒を嗜むようになりました」

    お猪口一杯の酒をじっくりと味わいつつ、料理との相性を楽しむといいます。

    そんな嗜好の変化同様、近年は仕事面でも新しいキャンバスを手に入れました。それが、陶芸です。始めたのはわずか2年前ですが、既に個展でその一部を発表しています。写真の陶板は、大阪の工房に出向き、つくり上げた新作。下絵を彫った素地を一度焼き、釉薬で絵付けしたのち、本焼きに移ります。

    「絵を描くために紙を漉いたことはないけど、陶板は土を捏ねるところから始まります。成型を終えてもじっくり乾燥させなくてはならず、待つ時間がとても大事。日々の天候に直結した行程だということを思い知ります。キャンバスを張るだけで約1カ月かかったようなもの。絵付け自体はそこに至るプロセスを思い起こしながらも、数時間で一気に描き上げてしまいます」

    しかし本焼きを終えてみると、必ずしもイメージ通りではないことも。

    「デジタルで完璧を目指す自分もいますが、偶然性を面白がる自分もいるんです。こうなったのか、それもいいねって。思った通りにならないから、楽しいんでしょうね」

    乾燥させ焼くと締まる土。釉薬の色を左右する炎。それらの素材や熱との共同作業によって生まれる陶芸作品。

    「自分でつくったようで、なにかにつくってもらったような。確かに自分の作品なのに、どこか〝いただいた感〞がある。そのせいかな、これまでよりずっと長く自作を眺めているかもしれないし、そのたびに新鮮な発見が尽きない気がします」

    酒づくりに必要となる麹や酵母のように、人知の及ばぬ力を味方に付け、作品づくりを楽しむエドツワキさん。しなやかな感性で、新たなアートピースを生み出しています。(文:小久保敦郎)


    エドツワキ アーティスト
    ●1966年、広島生まれ。国内外で女性のイラストレーションを数多く手がける。その一方で多様なスタイルの絵画の個展を各地で開催。音楽家とのライブペインティングも多数。


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    問い合わせ先/大関株式会社お客様相談室
    TEL:0798-32-2016