2人の女性がつくった、疲れた時も元気な時も、飲む人の心に寄り添う白。

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    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #25|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    ハチ2015

    どんなワインをつくりたいのか?それはつくり手によってかなり異なります。ある意味そこにこそ、つくり手の人となりや、ワインづくりへの考えが自ずと表れてくるもの。さらに言うとその時代のワインのトレンドさえ、映し出されるものではないでしょうか。

    「幸せの絶頂にあるとき、反対にとことん凹んでいる時、満たされている時、寂しい時、生きていると毎日いろいろあるけれど、どんな時にも、そっと人の気持ちに寄り添うワインがつくりたい」。こうした思いを込めたワインをつくった2人の女性がいます。ひとりは山梨県の甲府盆地でブドウを育ててきた竹田理子(あやこ)さん。もうひとりは、いまは長野県東御(とうみ)市のアルカンヴィーニュというワイナリーでワインをつくっている、林忍さん。ワインづくりに携わって10年になる2人です。

    竹田さんが育ててきた甲州ブドウは、2014年までは別の畑のブドウと混ぜられてワインになっていましたが、15年、林さんがアルカンヴィーニュに移ってきたのをきっかけに、竹田さんのブドウのみで仕込んでワインに仕上げることになりました。

    「それまでは、ブドウをワイナリーに販売してしまえばそれで終わりでした。でも『ハチ』については、2人で試飲をして、どんな風に仕上げるのかとことん話し合いました。仕上がるまでは作業にも出来る限り参加しました」と竹田さん。そして2人が行き着いたのが、ブドウとワイン、そして飲み手に寄り添うワインでした。

    「ハチ」は、わずかに茜色がかっていて、白ワインというより薄いロゼワインのような佇まい。口に含むとフレッシュで瑞々しく、ほどよい膨らみのある果実味が感じられます。決して押し付けがましくなく、心地よく喉を潤してくれるその味わいは、心身ともに疲れている時、身体に染み渡っていきそうです。一方、元気な時にはさらに活力を与えられそうな印象です。私なら、キリッと冷やして原稿を書き上げた徹夜開けの朝に飲んでしまいそうです。

     

    ※『ハチ2015』は、アルカンヴィーニュに委託され、林さんの手によってつくられました。

    2人の女性がつくった、疲れた時も元気な時も、飲む人の心に寄り添う白。
    竹田さんや林さんのように、最近では女性でワインづくりに携わる人も、随分と増えました。林さんは竹田さんのブドウ栽培に、竹田さんは林さんの醸造技術に信頼を寄せています。互いに信頼し合っているからこそ生まれたコラボレーションなのです。ワインは、亜硫酸を極力減らして、自生酵母で発酵させています。「ハチ」という名前は畑の近くにある鉢塚神社にちなんでいるそうです。

    ハチ2015

    ワイナリー名/竹田理子
    醸造家名/林しのぶ
    品種と産地/甲州(山梨県甲州市勝沼町)
    容量/750ml価格/¥2,800
    問い合わせ先/新田商店
    TEL:0553-44-0464

    プレゼント

    連載「日本ワインで乾杯!」では毎回、ご紹介するワインを1名の方にプレゼントします。 第25回「ハチ2015」のご応募の締め切りは、2016年12月22日(木)まで。ふるってご応募ください。  ※当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。未成年者のご応募はできません。ご応募は日本在住の方に限ります。なお、伊豆諸島(大島・八丈島を除く)および小笠原村(小笠原諸島)への配送はできません。ご応募にあたっては、弊社メールマガジンへのご登録が必要です。

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