つくり手のストーリーを、多くの人へと伝えていく仕事。

―サイドスロープが出合う、クリエイションの精神 03―

つくり手のストーリーを、多くの人へと伝えていく仕事。

「ナカムラ ティー ライフ ストア」の試飲カウンターにて、西形さん(左)が淹れた日本茶を味わう脇坂さん(右)。

脇坂 モノづくりに携わる方との対談連載、第3回目はオーガニック日本茶ブランド「ナカムラ」のデザイナー兼店主の西形圭吾さんです。淹れていただいたこのお茶、香り豊かで味わいもクリアで…おいしいですねぇ!

西形 この店では、出身地である静岡で幼なじみの中村倫男がつくる茶葉を扱っています。彼がお兄さんと引き継いだ農園は、お父さんが農薬散布の際に体調を崩したことから、30年前に無農薬栽培に切り替えたんですよ。

脇坂 オーガニックの日本茶って、安全であること以外に、ほかの日本茶となにが大きく違うのでしょうか?

西形 先ほどおっしゃっていたように、香りがまったく違います。実は、化学肥料を使って育てられた茶葉は強烈な旨味があるので、オーガニックは物足りないと言われることもあるんです。でも、毎日飽きずに飲める味は、やはりオーガニックなんですよね。

脇坂 なるほど。僕はカシミアの産地である外モンゴルに何度か訪れているのですが、そこではカシミアヤギが遊牧で育てられています。でも、餌などを与えられ管理されて育ったヤギのほうが、原毛のグレードは高い。でも、やっぱり触れてみた風合いは、外モンゴルのナチュラルな原毛のものはめちゃくちゃよいんですよ。遊牧も無農薬栽培も、手間やコストがかかるので実践している人は少ないのでは?

西形 日本茶の流通量のうち、オーガニックの割合は2%です。でも、「ナカムラ」の茶畑がある静岡県藤枝市もですが、無農薬栽培を始める農家は増えています。ただ、店舗を構えて直接販売するところは少ないですね。

脇坂 やはり直接販売するということは重要ですか。

西形 そうですね。日本茶としては変わったパッケージですし、背景にあるストーリーをお客さんに伝えないといけないと思っています。

脇坂 つくり手の想い、とか。

西形 そうです。

脇坂 僕は、ニットの糸の産地や工場など、必ず現場に行きます。そこにいる人がどんな想いでカシミアヤギや綿花を育てているのか、どんな苦労があってつくられるのか、それをちゃんと知らないと伝えられない。直接会って、知るのはとても重要だと思います。

西形 このカウンター越しにお話をしながら、急須で淹れたお茶を飲んでいただくと、皆さんおいしいと言ってくださいます。

脇坂 つくり手の想いをお客さんまでつなぐのが僕らの仕事だと思います。そうやって、たくさんの人に感動してもらえたら最高ですね。(写真:江森康之 文:吉田桂)

つくり手のストーリーを、多くの人へと伝えていく仕事。

湯を注ぎ、急須の中で茶葉を十分に開かせると、香りと味わいを堪能できる。

つくり手のストーリーを、多くの人へと伝えていく仕事。

外モンゴルの遊牧風景。ニットをデザインする際には、原料の産地や工場を訪れて現場の想いを知ることが大切だと、脇坂さんは語る。

サイドスロープ SIDE SLOPE
●2005年に誕生した、ファストファッションでもなくコレクションブランドでもない、ニットファクトリーブランド。デザイナーは、数々のブランドの企画に黒子として携わってきた脇坂大樹が務めている。「遊び心のある大人を満たすニット」をテーマに、洋服の価値に対して合理的な値付けや、資源の再利用なども視野に入れた商品を展開。着心地のよい上質なニットを、国内外へ発信している。

脇坂大樹 サイドスロープ デザイナー
●1972年、大阪府生まれ。企業のパタンナーやデザイナーを務めたのち、ニットデザイナーとして数々のブランドの企画に携わる。2005年に「サイドスロープ」を立ち上げ、工場の技術力や素材の特徴を熟知したテクニックを生かし、新たな発想をもってモノづくりに挑戦している。

西形圭吾 ナカムラ ティー ライフ ストア運営/デザイナー
●1981年、静岡県生まれ。デザイン業務と並行して、2012年から静岡のオーガニック日本茶ブランド「ナカムラ」の運営を開始。東京の路面店「ナカムラ ティー ライフ ストア」(東京都台東区蔵前4-20-4)で、急須で淹れる日本茶のおいしさを伝えている。

つくり手のストーリーを、多くの人へと伝えていく仕事。

カシミア&シルクの肌触りに包まれるニットジャケットは、ブランドのなかでもクラフトマンシップを活かし、上質さを追求した黒のロゴマークのラインのアイテム。ゆったりとしたシルエットだが、ダークトーンの千鳥柄がカジュアルすぎずにシックに見せる。細身のパンツなどを合わせて、すっきりと着こなしたい。¥194,400/サイドスロープ(写真:宇田川淳)

つくり手のストーリーを、多くの人へと伝えていく仕事。

大ぶりの千鳥柄のプルオーバーニット。白とライトグレーのやわらかなカラーコンビネーションが、冬の装いを明るくする。さらに、袖や裾に無地の切り替え部分を入れることにより、洗練された印象に落とし込んでいる。シルク混の起毛したカシミア糸を使用した、とろけるような肌触りのニットだ。¥74,520/サイドスロープ(写真:宇田川淳)

つくり手のストーリーを、多くの人へと伝えていく仕事。

100%のカシミア糸で編んだ、ざっくりとしたシェトランドセーター。裾と袖口のリブに振り柄を施し、ブランドらしさがさりげなくアピールされている。今回の脇坂さんのように柄もののスカーフをアクセントにするなど、シンプルなニットゆえ、さまざまなスタイルで活躍すること間違いなし。オフホワイト、ブラック、グレーの3色展開。¥63,720/サイドスロープ(写真:宇田川淳)

問い合わせ先/フォワード・アパレル・カンパニー
TEL:03-5423-6451 www.sideslope.jp