秋の買い物は、大型店が続々オープンの六本木エリアで!

    Share:

    構成、文:高橋一史
    写真:宇田川 淳

    Vol.10 秋の買い物は、大型店が続々オープンの六本木エリアで!

    ERRICO FORMICOLA、GBS TROUSERS、Fiorio

    ようやく秋らしく過ごしやすい季節になってきましたね!秋冬のワードローブを見直しつつ、買い物気分が高まってきた人も多いはず。休日や会社帰りの貴重な時間を有意義に使うなら、多くの街を巡るより一箇所で済ませるのが便利です。そこでどのスポットに行くかが鍵となるワケですが、新しいもの好きがこの2016年にまずチェックすべきは、六本木エリアでしょう。

    その理由は、ハイセンスな実力派ショップが、広々とした大きな店舗を続々とオープンさせているから。高級ホテルに宿泊する海外からの来訪者や、ベンチャー企業がオフィスを構えるこの街の人の波に乗る動きが加速しているのです。

    掲載したコート、パンツ、スカーフは、9月に誕生した「ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店」で見つけたアイテム。セレクトのテーマは、「ブラウン系の色」。今季の代表的なトレンドカラーで揃えてみました。モードでもベーシックでも、現在人気を集めているのはビンテージのテイスト。これまで黒、白、グレーやネイビーが都会的な色とみなされてきましたが、最近はブラウンが洒落た色に急浮上しています。

    トレンドカラーは男女で共通ですから、カップルコーデにも使いやすいでしょう。セレクトしたキャメルカラーのダブルコートなら流行に左右されずに着られます。襟元に派手なスカーフをあしらったり、インナーにグリーン、オリーブ、ボルドーらのセーターを着て色にメリハリをつけるのもいいと思います。スエード調の生地のパンツはタック入りで形がゆったりとしており、まさに“いまどき” の一本。極端にワイドではないため、これも何年も穿き続けられます。ご自身にフィットするかどうか、ぜひ店でお確かめください。

    次ページから、六本木エリアの注目ショップを訪ねます。

    大人の居場所がある街、六本木のファッションとは?

    ご紹介するのは、「ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店」、「バーニーズ ニューヨーク六本木店」、「ポール・スミス六本木店」、「アンダーカバー 六本木ヒルズ店(ウエストウォーク 4F メンズファッションゾーン)」、「complex665(アート複合施設)」。
    まずは、前ページ掲載の服を取り扱う最新店舗の詳細レポートからお届けします。

    ◆ 各種サービスも自慢の、ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店
    撮影:高橋一史

    3Fメンズフロアのエントランス。

    全国展開している同店の集大成といえる、あらゆるエッセンスが一つに集まった大型店が誕生しました。2フロア構成で、2Fがウィメンズ、3Fがメンズです。フロア面積の広さも、趣向の異なるコーナーが居並ぶ独特な設計も、ここが一つのセレクトショップであることを忘れそうな、ワクワクする楽しさに満ちています。良い服を集めて売るだけでなく、現代の店に必要なエンタメ的な演出や、顧客サービスが充実しているのです。「日本発のまったく新しい百貨店」と言い表すのは大げさな表現でしょうか。

    デザイナーズ、カジュアルも、ゆったりとした空間で探せます。

    メンズフロアに直結する3Fエントランスから中に入ってすぐのスペースは、海外のデザイナーズや専業メーカー中心のラインアップ。「サンローラン」「ラフ シモンズ」「マルニ」「トーマス マイヤー」らのデザイナーズが目を引きます。「セラファン」に代表される高級レザー服が多いのも六本木という土地柄です。なお、上の写真の右端は、フレグランスと化粧品コーナー。さまざまなブランドが用意されている中でも、男女兼用で使える「イソップ」は特に人気を呼びそう。

    力が注がれているクロージングコーナー。

    「チェーザレ アットリーニ」の最高級スーツも。

    “エレガンス” がベースにあるユナイテッドアローズらしく、この店では大人向けのクロージングが重視されています。購入しやすい価格帯のオリジナルから、「ラルディーニ」「カルーゾ」「サルトリオ」らのファッション性の高いもの、「チェーザレ アットリーニ」のようなハイエンドまで、イタリアものを中心に揃えられています。

    他店にはないフォーマルウェアコーナー。

    土地柄を反映したフォーマルウェアも見応えがあります。注目ブランドは、「ダンヒル」。上写真の左のカラフルなネクタイとシャツはすべてフランスの「シャルベ」。19世紀から続く老舗の味わいを堪能できます。さらに、シューズでは「ジョンロブ」を数多く展開中。スニーカーまで用意した品揃えは見逃せません。

    ショップ・イン・ショップの「順理庵」。

    ユナイテッドアローズ名誉会長の重松 理さんが、個人でプロデュースしている店「順理庵(じゅんりあん)」が、今年4月に銀座にオープンしました。その店の2号店が、この店内にイン・ショップとして誕生。銀座も約8坪のコンパクトな店構えですが、こちらも同様に小さくまとめられています(畳敷きのディスプレイスペースは贅沢な広さ!)。上写真の左横の通路を奥に進むと、一輪挿しに飾られた季節の花に迎えられ、商品が並んだ右の部屋に案内される仕組みです。この手順は、まさしく茶室のごとし。

    服を売るだけじゃないのが、現代の店のあり方。

    中央階段の周囲は、アイテム別の販売ボックスの並び。左から、雑貨、傘、時計、ラゲッジ。

    メンズフロアの中央左から奥にかけて階段があり、ウィメンズフロアと結びついています。この周囲でのユニークな演出が、傘、時計、ラゲッジ、バッグ、雑貨が、個別に分けられた四角いスペースの中で販売されていること。「イスタンブールのバザールのような、狭いスペースに小さな商店が軒を連ねるカオス感」とアナウンスされています。

    “小さな商店” のアンティーク時計コーナー。

    '70年代の「LUCIEN PICCARD」¥167,400。

    アンティーク時計の専門家が監修する腕時計コーナーです。スーツに合うシックなモデルがラインアップの中心。プライスゾーンは、10万円代〜数百万円までの幅広いレンジ。「パテック・フィリップ」、「オーディマ・ピゲ」、「ヴァシュロン・コンスタンチン」らの高級時計メーカーがやはり高価なようです。

    常設の洋服直し「心斎橋リフォーム」。奥にも広がっています。

    仕事の様子を外から眺められます。

    ここで2つの嬉しいサービスをご紹介しましょう。一つは、お直しの業態です。セレクトショップとしては異例といえる、お直しのイン・ショップが常設しています。構えるのは技術に定評がある、「心斎橋リフォーム」。服は買ってすぐに着たくなるものですが、ここでは可能な限り即直しに対応するため、内容によってはその日のうちに自分サイズに仕上がった服を持ち帰ることができます。六本木ヒルズに隣接する「グランドハイアット」の宿泊客向けに、ホテルに即日配送するシステムも用意。注文してすぐに商品が家に届くネット時代に即した、魅力的なサービスです。

    靴磨き「マエストロ」も常設。

    服を購入する目的がなくても、立ち寄りたいのがシューシャインのサービス。「マエストロ」の松室真一郎さん(写真)が、独自に配合したクリームを使ってソファに座った客の靴に色気を与えます。現在は松室さんがいる曜日と時間は限られますが、先々には常にスタッフがいる体制になるそうです。

    2Fウィメンズフロア。

    ウィメンズフロアには、京都から毎日和菓子を取り寄せる甘味処「ぎおん徳屋」のカウンターがあり、「スマイソン」の手帳が並ぶ場所もあります。男性でも楽しめる要素がありますから、ぜひゆっくりと店内を散策してみてください。

    新しい体験を生む、行く価値ありのスペース

    ◆ラグジュアリーな贅沢空間、「バーニーズ ニューヨーク六本木店」

    「東京ミッドタウン」真向かいのエントランス。

    メンズフロアはスニーカー祭り!

    我が国におけるラグジュアリーストアの先駆けといえる「バーニーズ ニューヨーク」の、6店舗目となる旗艦店です。六本木交差点から見ると、六本木ヒルズとは別方向の「東京ミッドタウン」エリアに位置します。2フロア構成で、1Fウィメンズも2Fメンズも天井が高く、商品の配置もゆったりと贅沢。ブランド毎にラックに並べて、ブランドの個性を打ち出す陳列は、バーニーズ ニューヨークらしいやり方です。「ランバン」「メゾン マルジェラ」「ヴァレンティノ」「ロエベ」らのハイブランドはもちろん、イタリアのファクトリー系クロージングや人気の日本ブランドも一通り揃っています。スニーカーの充実ぶりも、ファンには嬉しい限り。ハイブランドもスポーツブランドも、均等な扱いで並べられています。選び疲れたらフロア奥にある、上質なコーヒー豆で有名な「ミカフェート」プロデュースの「バーニーズ カフェ」でどうぞ一休みを。

    ◆日本最大の「ポール・スミス六本木店」

    こちらも東京ミッドタウンの真向かい。

    店内は驚きの広さ。

    今年4月にオープンしたこの店も見逃せません。ポール・スミスの服は全国の直営店や百貨店で入手できるものの、彼の世界に包まれたいなら訪れるべきでしょう。圧巻は、壁一面の「アートウォール」。長さが23メートルにも及ぶカーブしたこの壁には、額装したコンテンポラリーアート作品とポール・スミス自身が収集したポストカードが所狭しと並べられ、洋服のデザインの源泉を知ることができます。場所によって異なる床のテクスチャー、ポール・スミスの布を貼ったビンテージチェアなどの家具やディスプレイにもご注目を。「同じ買うならココで」と思わせる、魅力的な店です。

    アンダーカバー 六本木ヒルズ店(ウエストウォーク 4F メンズファッションゾーン)

    日本メンズが軒を連ねるフロア一角。

    ストリート感のあるエッジーなドメブラ好きにはたまらないフロアが、六本木ヒルズ4Fに今年3月誕生しました。長いカーブした通路を挟んだ両隣に、各ブランド毎に分かれたボックス型の店が連なっています。展開ブランドは、「アンダーカバー」「アタッチメント」「N.ハリウッド」「ファクトタム」「ソフ」「ファセッタズム」など。ユニークなものでは、床屋業態の「メンズグルーミングサロン&ストア バイ カキモトアームズ」も出店しており、クラシカルな空間で男の髪を整えてくれます。上写真のアンダーカバーでは、メンズ、ベーシックアイテム、雑貨類、「ジョンアンダーカバー」、「ザ・シェパード アンダーカバー」、「GYAKUSOU(ギャクソウ)」が取り扱われています。百貨店や商業施設内の出店としては全国でもっとも大きなメンズ専門店です。

    ◆日本有数のギャラリーが集結する施設「complex665」

    「タカ・イシイギャラリー」、「小山登美夫ギャラリー」、「シュウゴアーツ」が一同に介する。

    ギャラリーアーティスト20名による、タカ・イシイギャラリーのオープニング展「Inaugural Exhibition: MOVED」より。Ei Arakawa in collaboration with Dan Poston, Stefan Tcherepnin, How to DISappear in America, 2016, photo by Gayla Fierman

    最後にご紹介するのは、大人の休日に欠かせないアート散策スペースです。来る10月21日(金)に、「タカ・イシイギャラリー」、「小山登美夫ギャラリー」、「シュウゴアーツ」を一度に巡ることができる施設、「complex665」が誕生します。国内外のアートシーンに影響力のある3社が集うこの新スペースは、気軽にアートに触れられる貴重な場になるでしょう。21世紀に入ってから六本木は、「森美術館」(2003年)、「国立新美術館」(2007年)、「サントリー美術館」(移転2007年)、「21_21 DESIGN SIGHT」(2007年)と、アートの街として発展してきました。洗練された趣味や暮らしとリンクするアートは、ファッションとも深く関わっています。この2016年秋冬をきっかけに、かつての夜の社交場、六本木エリアの現在のパワーを体感してはいかがでしょうか。(高橋一史)

    コート ¥140,400 エリコ フォルミコラ、パンツ ¥27,000 ジービーエス トラウザーズ、シルクスカーフ ¥34,560 フィオリオ/すべてユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店

    TEL:03-5772-5501(3Fメンズ)

    ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店
    東京都港区六本木6-10-3 六本木ヒルズ ウェストウォーク 2・3F
    TEL: 03-5772-5501(3Fメンズ)
    営業時間 :11時~21時
    定休日 :施設定休日に準ずる
    www.united-arrows.jp/roppongihills/ 


    バーニーズ ニューヨーク六本木店
    東京都港区六本木7-7-7
    TEL:0120-137-007
    営業時間:11時〜20時(月〜木、日)、〜20時半(金、土)
    不定休
    www.barneys.co.jp/roppongi/


    ポール・スミス六本木店
    東京都港区六本木7-8-6
    TEL:03-3478-5160
    営業時間:11時〜20時
    不定休
    www.paulsmith.co.jp/


    アンダーカバー六本木ヒルズ店
    東京都港区六本木6-10-3 六本木ヒルズ ウェストウォーク 4F
    TEL:03-5410-1730
    営業時間:11時〜21時
    定休日 :施設定休日に準ずる
    www.undercoverism.com/ 


    complex665
    東京都港区六本木6-5-24
    3F:タカ・イシイギャラリー、2F:小山登美夫ギャラリー、シュウゴアーツ
    TEL:03-6434-7010(タカ・イシイギャラリー)、03-6434-7225(小山登美夫ギャラリー)
    、03-6447-2234(シュウゴアーツ)
    営業時間:11時〜19時
    定休日:日・月曜(シュウゴアーツのみ日曜も12時〜18時で営業)
    www.takaishiigallery.com/jp/(タカ・イシイギャラリー)
    tomiokoyamagallery.com/(小山登美夫ギャラリー)
    shugoarts.com/(シュウゴアーツ)