スズキタカユキの麻シャツと、彼が語る麻素材の面白さ、着こなし提案とは?

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    構成、文:高橋一史
    写真:SHINMEI(SEPT)

    Vol.04 スズキタカユキの麻シャツと、彼が語る麻素材の面白さ、着こなし提案とは?

    suzuki takayuki

    湿気が多くベタつきがちな日本の夏に最適な素材、麻。今回はこの素材をこよなく愛するファッションデザイナー、スズキタカユキさんの春夏シャツをピックアップ。彼が麻の魅力を語ったインタビュー動画3本とともにお届けします。

    写真のシャツ2枚は、麻特有のゆらぎ感が活かされた、ビンテージ風の服です。生地の段階で洗いをかけてちょうどいいシワが出るように計算されています。奥のシャツのベージュ色は、天然繊維そのものの色。
    麻の服はコットンと比べて市場の流通量は少ないですが、実はとても機能的で日常着にピッタリです。歴史的には野良着や食器拭きに用いられてきたほど頑丈で、汚れが染み込みにくく洗濯が簡単。織りが粗いため風を通し涼しく、汗の吸収力も抜群に高く、素早く乾くのも特徴です。反面、デメリットといえるのが軽く握っただけでシワがつくこと。
    その特性を逆手にとり、シワもデザインの一部にしたのが「スズキ タカユキ」です。Tシャツ感覚で気軽に袖を通せながら、品格のある佇まい。色がニュートラルで、着る時に合わせる服を選びません。白のロングシャツなら、ボタンを全開してコートのように羽織るのも楽しいでしょう。まずは一着、麻のシャツを手に入れてみませんか?

    水に濡れて丈夫になる素材。

    ファッションデザイナー、スズキタカユキさん。

    永遠性のあるスタイルを追い求めるスズキさんにとって、古来より人々の生活で使われてきた麻は、デザインに欠かせない重要なマテリアル。まずは、麻を着ることのメリットについて語っていただきました。
    「吸水性が高く、肌にくっつかず、すぐに乾きますから、夏に着るのにベストな素材でしょう。水濡れすると、1.5倍ほども繊維の強度が増す特性があり、洗濯機でガンガン洗えます。含まれる水溶性のペクチンの効果で糸の奥深くに汚れが染み込まず、表面を洗えばキレイなまま着続けられます」

    前ページ掲載品と同生地のシャツ。

    麻に惹かれる理由は何でしょうか?
    「デニムと同じように育てがいがある素材ですから。洗うほどに、使い込むごとに柔らかさを増し、いい意味でのゆがみが出てきます。着るうちに繊維がほつれて柔らかくなりますし、こうした特性が、風合い、肌触りの良さ、長く着られることを大切に考えるスズキタカユキのテイストに合います。麻の一種のリネンは、ランジェリーの語源になったという説があるほど昔から、肌着として人々の生活に浸透してきました。シワができる難点はありますが、個人的にはこのシワが好きなんです。ガンガンとシワを入れて着ていただきたいと思ってます」

    彫りを入れたオリジナルの貝ボタン。

    麻の初心者にオススメな服は白シャツ。
    「男性なら、一着くらい白麻のシャツをもつのはいいですよね。ちょっとしたリゾートでも楽に過ごせるし、着回しできますし。僕自身も友人の結婚式などに出席するとき、ピシッとしたシャツを着てると気恥ずかしい、なんてときによく着ます。スーツは着ていても、このシャツ一枚でユルい雰囲気を出せて助かります」

    (取材・撮影:高橋一史)

    麻について詳しく解説してくれたスズキさん。

    スズキさんのアトリエで行なわれたインタビューの様子を動画でお届けしましょう。麻を着る楽しさ、素材の特性、ファッションデザインのやり方まで詳細に語られた3本の短編です。※ 音声は小音量になっています。


    オトコなら一着は白い麻シャツを。



    麻はガシガシ洗って長く着られる素材。



    ゆがむからこそ自分のデザインに合う。


    (取材・撮影:高橋一史)

    背中には古い時代の服のようなギャザーやハンガーループが。肩の袖付け箇所にもギャザーが寄せられ、手仕事の温もりが漂う仕上りに。
    バンドカラーの白ロングシャツ。¥35,640、サンドベージュの丸襟シャツ。¥32,400 スズキ タカユキ
    TEL:03-5774-0731