nendoが手がけた世界初の日本酒セラーが誕生! 仕掛け人は日本中の酒蔵を巡っていた“あの人”でした。

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    ミラー仕上げのステンレス板に覆われた近代的なデザインは、日本酒を保管するものとは思えないほど美しい作りとなっています。

    世界中で評価が高まっている日本酒。日本を代表するサッカー選手のひとりで、現在はサッカーだけでなく日本文化をサポートする活動をしている中田英寿さんは、日本全国にある250カ所以上の酒蔵を巡り、その評価とは裏腹に保管方法が確立されていないことに気づいたといいます。日本酒をきちんと保管するためには、最適な温度が必要。家庭用の冷蔵庫では若干温度が高く、日本酒にとってのベストな状態を保つには業務用の冷蔵庫が必要になるというのが現状です。丹精込めて作った日本酒が海外へと送られたとしても、本来の味では飲まれないのではないか……。蔵元が抱く不安はこれまで解消されないままでした。

    日本酒セラーお披露目の舞台は、世界最大級のワイン・スピリッツ見本市「第7回VINEXPO香港」でした。同見本市のCEOを務めるギヨ―ム・ドゥグリースさんに日本酒セラーの魅力を伝える中田さん。

    内部は3部屋に分かれていて、それぞれの温度を-5℃~15℃まで変えることができます。四合瓶なら最大36本、一升瓶なら16本収納可能。

    2014年、中田さんはモノづくりを支えるべく誕生した求人サイト「e 仕事」とタッグを組み、「モノづくりニッポン e 仕事×ReVALUE NIPPON」という、日本の匠がもつ価値、技術を改めて評価し、現代を生きる人びとへ伝えるプロジェクトを発足。その第3弾が先述の中田さんの“気づき”、「ワインにもワインセラーがあるように、日本酒にも日本酒セラーがあるべき」という発想を基とする日本酒セラーの開発でした。

    開発に携わったのはさまざまな日本の匠たち。設計は医療機器から家電まで幅広いプロダクトを手がけるアルテクナ。内部構造や組み立ては埼玉県を拠点に、家庭用のワインセラーや店舗用の冷蔵・冷凍ショーケースをオーダーメイドで製作しているプライム。操作類、照明はカーナビや自動車に搭載される先進技術を作っているJVCケンウッド・エンジニアリング。そして、デザインは佐藤オオキさん率いるnendoで、なまこ壁と呼ばれる土蔵の格子をモチーフにした外壁の繊細な穴あけは落合製作所が担当。各分野における英知が結集し、「ないモノをつくりたい」という想いで皆が一丸となり作られました。

    それぞれの銘柄に合った温度にすることができる「蔵元設定」が用意されるなど、緻密なコントロールを簡単に行うことができます。

    日本酒セラーは冷蔵庫の延長線上にあるもの。つまり、一般的な冷蔵庫の裏側に隠されている、数個のコンプレッサーや配線が不可欠になってしまいます。nendoにとってのチャレンジは、それらの制約を従来とは違う方法でレイアウトし、冷蔵庫の形とは一線を画す、360度、どこから見ても美しい仕立てにすること。そうして生まれたデザインのコンセプトは“日本酒の家”。そのコンセプト通り、瀟洒なビルのような佇まいの日本酒セラーは、発酵によって生きている日本酒にとって最も居心地の良い場所となりました。発売は未定ですが、世界中で日本酒文化を守る光景が目に浮かんでくる、革新的なプロダクトの誕生です。(大隅祐輔)

    問い合わせ先:日本酒セラー開発プロジェクトPR事務局(株式会社サニーサイドアップ内)

    TEL:03-6894-3200
    http://1145.jp/monozukuri/cellar/