クリエイティブを刺激する、本、映画、音楽を紹介する「Penが選んだ注目のカルチャー」。注目すべき作品を、毎月ご紹介します。
デビューから20年、彼らの美学はここに極まれり。
『トゥ・ビリーヴ』
ジャズやエレクトロニックの要素をオーケストラの技法と融合し、映画音楽のような壮大な音像を描くUKの尖鋭グループの12年ぶりの帰還作。メランコリックなバラッドの表題曲を皮切りに、感情を揺り動かす旋律と映像を喚起させる奥行きのあるサウンドが、音の物語を優雅に紡ぐ。デビュー20周年を飾る、彼らの美学の到達点。
シンプルで滋味深い、フォーク・ロック調の秀曲揃い。
『バイ・ザ・ウェイ・アイ・フォーギヴ・ユー』
米ワシントン州出身のシンガー・ソングライターが昨年リリースした6作目。先のグラミー賞で主要3部門にノミネートされ、話題沸騰のさなか日本盤化が実現。最優秀レコード賞を惜しくも逃した名曲「ザ・ジョーク」を筆頭に、シンプルにして滋味深いフォーク・ロックやカントリー調の秀曲を多数収録。憂いのある歌声に心をわしづかみされる。愛や赦しを紡いだ、包容力のある歌詞にも注目。
デビュー曲が100万回再生、洒脱にして夢心地な音に酔う。
『ハッピー・トゥー・ビー・ヒア』
米ブルックリンで活動する男女混成多国籍5人組のデビュー作。2017年にデビュー曲「キャニオンズ」が100万回再生を記録し、各ストリーミングサイトで人気を集めた彼らは、全作曲を手がけるフロントウーマンのバリー・リンジィを中心としたドリームポップ・バンド。洒脱にして夢心地なサウンドには芯の強さもあり、楽曲は粒揃い。昨今のシティポップ/AORリバイバルとも呼応する出色盤。