毛利悠子の作品制作プロセスを公開!『感覚の観測《I/O ─ ある作曲家の部屋》の場合』は10/15から。

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    今年3月から8月まで、アジアン・カルチュラル・カウンシルの招聘によりNYに滞在していた美術家・毛利悠子。帰国後、スパイラルでの『スペクトラム』、名古屋Minatomachi POTLUCK BUILDINGでのTHE BEGINNINGS (or Open-Ended)』、そして今回紹介する『感覚の観測《I/O ─ ある作曲家の部屋》の場合』と、立て続けに展示が続き、注目を集めています。

    2014年の札幌国際芸術祭では歴史ある清華亭を会場に《サーカスの地中》を、横浜トリエンナーレでは《I/O ─ ある作曲家の部屋》を展示。その世界を体験した人も多いと思いますが、毛利が生み出す作品には、ハタキやライト、扇風機などの日用品に、アコーディオンやドラムなどの楽器が組み合わさり、有機的な動きと不定期に発せられる音が空間を満たしていきます。

    「自分がこれをつくりたい!というのはないんです。植物を育てる感じでしょうか。種はまいて水はやるけど、自然に育っていくというか」と、毛利が語るように、彼女の作品の最大の特徴は、“展示環境に寄り添う”ということ。彼女はそれを「生態系」と説明します。部屋の個性とコラボレーションすることで、ひとつひとつのオブジェたちが展示条件を受け入れ独自の生態系を育む。それゆえ、同じ作品でも環境が異なればまったく違った姿となるのです。また、その過程で「失敗やエラーが起きるのが好きです」とも。

    そんな特徴を紐解く試みが今回のプロジェクト。毛利悠子という作家の空間把握を実測し、数値化するという試みです。「一つの作品を多角的な視点から捉え直す」というコンセプトのもと、《I/O ─ ある作曲家の部屋》を例に、作品展示のための制作プロセスと、作品の設置、空間の測定がすべて一般公開されます。さらに、期間中には展示壁の構成や照明など空間の条件等も変更され、展示環境が変化することで作家がどのようにインスタレーションを変貌させていくか、そのプロセスをも測定。日々の変化が見逃せない内容となっています。会期中には美術家や学芸員を迎えてのトークイベントも開催。11日間、目が離せない内容になりそうです。(Pen編集部)

    『ヨコハマトリエンナーレ2014』 撮影:田中雄一郎 協力:横浜トリエンナーレ組織委員会

    作品のドローイングイメージ。

    作品のドローイングイメージ。

    毛利悠子『感覚の観測《I/O ─ ある作曲家の部屋》の場合』

    会場:アサヒ・アートスクエア
    開催期間:10月15日(木)〜10月25日(日)
    開館時間:14時~20時(月、水~金)12時~20時(土) 12時~18時(日) ※最終入場は閉館の30分前まで
    休館日:10月20日(火)
    問い合わせ/TEL:03-3476-1010
    入場無料

    [トーク1]
    10月24日(土)18時~千葉正也(美術家)×藪前知子(東京都現代美術館)×毛利悠子 司会=芦川朋子(waitingroom)

    [トーク2]
    10月25日(日)16時~金氏徹平(美術家)×木村絵理子(横浜美術館主任学芸員)×毛利悠子 司会=芦川朋子(waitingroom)

    ※Pen10/15発売号「Creator's file」で毛利悠子さんのインタビューを掲載しています。そちらもぜひご覧ください。

    http://waitingroom.jp/japanese/projects/2015/DIP/dip.html

    http://asahiartsquare.org/ja/schedule/post/1387

    http://mohrizm.net