ジャポニスムの巨匠「ホイッスラー」、その全貌を知る展覧会を開催中。

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    『肌色と緑色の黄昏:バルパライソ』 1866年 テート美術館 
    <font size="1">© Tate, London 2014</font>

    ホイッスラーと言えば、「ジャポニスム」を代表する画家として、19世紀美術の展覧会、たとえば印象派の展覧会でも1、2点は作品が展示されているので、名前や作風はなんとなく記憶にあると思います。しかし、生涯にどのような絵を描いたのでしょうか? その全貌を紹介する展覧会が横浜美術館で開催されています。

    ジェームズ・マクニール・ホイッスラー(1834~1903年)はアメリカ・マサチューセッツ州生まれ。軍人だった父の仕事の関係で、ロシアで子ども時代を過ごしました。アメリカに戻り、陸軍士官学校に入りますが退学。絵を志して、パリに渡り、クールベらと親交を結びます。1859年にロンドンへ移り住み、以後はロンドンとパリを行き来しながら活躍。今回の『ホイッスラー展』は初期から晩年までを、人物画、風景画、ジャポニスムの3章に分けて紹介、さらにホイッスラー唯一の室内装飾「ピーコック・ルーム」を大型映像で紹介しています。

    魅力的な人物画や、日本の団扇をモデルに持たせるなど直接的に日本にまつわるアイテムを描き込んだ絵など、印象深い作品が多いですが、なかでも日本で展示されることの少ない風景画は必見です。クールベに出会って写実主義に感銘を受け、そこから一歩進み、風景の美しさを純粋に抽出するかのように描き出した『肌色と緑色の黄昏:バルパライソ』。さらに構図や色の濃淡など、浮世絵や水墨画の要素を吸収し、自分のものとして新たな風景画を実現させた「ノクターン」シリーズ。こうした風景画を見て、いまいちど人物画を見直すと、ホイッスラーが人物画においても追求した調和が、鮮やかに浮かび上がるかのように意識されます。ホイッスラー展を見ておくと、印象派や20世紀絵画についても、またちょっと違う角度から見ることができそうです。(Pen編集部)

    『白のシンフォニー No.3』 1865〜67年 バーバー美術館(バーミンガム大学附属)
    <font size="1">The Barber Institute of Fine Arts, University of Birmingham</font>

    『青と金色のハーモニー:ピーコック・ルーム』 1876-77年 フリーア美術館

    『ホイッスラー展』
    2014年12月6日~2015年3月1日

    横浜美術館
    神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
    TEL:03-5700-8600(ハローダイヤル)
    開館時間:10時~18時(入館は閉館30分前まで)
    休館日:木、2014年12月29日~2015年1月2日
    入場料:一般¥1,500
    www.jm-whistler.jp