ホンマタカシの新作、インドのコルビュジエ建築を撮影した「チャンディーガル」が開催中。

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    合同庁舎の窓から高等裁判所を見る。

    コルビュジエの都市計画により整備されたインド北部の街、チャンディーガル。混沌のインドにコルビュジエのモダニズム建築がどのように息づいているのか。これまでもコルビュジエ建築を撮影してきたホンマタカシの個展が、東京・青山のコスチューム ナショナルギャラリー・LAB・で開かれています。

    展示は写真と映像で構成。「キャピトル」と呼ばれる中央官庁群にあるハイコート(高等裁判所)の写真では、赤や黄、緑に彩られた巨大な柱状の日除け「ブリーズソレイユ」の光によって変化する表情が写し出されています。建築を撮影した建築写真ではあるのですが、建物の全体像を捉えているのは1枚のみ。それも合同庁舎の窓越しに小さく見える高等裁判所です(上写真)。また、映像作品の一つは、コルビュジエの従兄弟、ピエール・ジャンヌレによって設計されたバスターミナルの一日を撮っているのですが、がやがやとした人混みと絶え間なく行き交うバスによって、建物の全貌がわかりません。それでも、というより、だからこそ、人々の実際の生活で使われ、日常にまみれた建築の臨場感がありありと伝わってきます。

    写真とともに映像を用いた理由について「デジタルカメラで動画が撮れるようになったことが大きい」とホンマは語ります。ビデオカメラではなく、使い慣れたカメラという機材を構え、写真的感覚で映像を撮れるようになったということでしょう。「通常、建築を映した動画というと、カメラが動いて建物を見せていく。固定カメラで建築を捉えた映像は珍しいと建築家には言われます」。固定カメラによる映像は、建物のかたちにフォーカスするのではなく、人や車の動き、光や音の流れの中で、コルビュジエ建築が日常の背景と化した環境を浮かび上がらせます。写真よりも多くの情報が入り込む映像では、その状況がより顕著に表れます。50年以上もの歳月を経て使い込まれ、土地の風景となった機能的で斬新なモダニズム建築を、ホンマタカシが切り取りました。(佐藤千紗)

    展示風景。インドの強い日差しによる光と影のコントラストが美しい、ブリーズソレイユの壁面。

    ホンマタカシ氏。

    ホンマタカシ“Chandigarh”
    ~2015年2月28日(土)

    コスチューム ナショナルギャラリー・LAB・
    CoSTUME NATIONAL Aoyama Complex 1F
    東京都港区南青山5-4-30

    TEL:03-5466-8755
    開場時間:11時~19時
    不定休 ※ウェブサイトに随時掲載
    http://www.cnac.jp/