没後20年、ルーシー・リーの感動を目撃! 完成された陶器、そのフォルムと色の基軸を辿る。

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    ルーシー・リー≪線文円筒花器≫1968年頃 個人蔵 Estate of the artist 撮影:大屋孝雄

    20世紀を代表するイギリスの陶芸家、ルーシー・リー。彼女のつくり出す作品は、はっとするほどの鮮やかな青や花弁のように優しいピンクといった釉薬の美しさとともに、生き生きとした掻き落としの模様が見る者を魅了します。

    1995年にこの世を去ったルーシー、没後20年となった昨年から、200点もの作品が日本全国を巡回しています。その回顧展の最終会場となるのが、静岡市美術館です。

    ウィーンの裕福なユダヤ人家庭に生まれ、やがて大戦を迎えイギリスに亡命したルーシーは、ロンドンの小さな自宅で、半世紀以上にわたり制作を続けました。展覧会では、ろくろに魅了されて作陶を始めた時期の簡素なフォルムや、釉薬へのチャレンジが見て取れる1920年代のウィーン期、ロンドンに移った1940年以降の、独自の手法を用いた精密なテーブルウエアや花器、生計をたてていた美しい陶器ボタンの数々を見ることができます。さらに1970年代以降の円熟期では、世界中から賞賛を得た構築的なフォルム、美しい釉薬の数々、ルーシーの完成形となった鉢や花器が並び、こうした長きにわたる変化の過程も見どころです。

    ルーシー・リーの名を世間に広めた1989年、2010年の展覧会とは、内容も大きく異なる圧巻の200点を、ぜひ目の当たりに。(須賀美季)

    ルーシー・リー≪ピンク線文鉢≫1980年頃 個人蔵 Estate of the artist 撮影:上野則宏

    ルーシー・リー≪陶製ボタン≫1940年代 個人蔵 Estate of the artist 撮影:大屋孝雄

    Lucie Rie Archive, Sainsbury Centre for Visual Arts, University of East Anglia, UK/
    Photo:Pete Huggins

    『没後20年 ルーシー・リー展』

    開催期間:4月9日(土)~5月29日(日)
    開催場所:静岡市美術館
    開館時間:10時~19時(入場は18時30分まで)
    TEL: 054-273-1515
    休館日:月 ※5月2日は臨時開館
    料金:一般¥1,000
    www.shizubi.jp