百人一首にちなんだ展示が楽しめる、京都の「嵯峨嵐山文華館」がリニューアル! 知られざる江戸の画家・矢野夜潮の展示に注目を。

  • 文:脇本暁子

Share:

矢野夜潮筆『高雄秋景・嵐山春景図屏風』右隻 紙本金地著色 江戸時代後期

京都・嵐山にある百人一首専門の博物館「百人一首殿堂 時雨殿」が、2018年11月1日に「嵯峨嵐山文華館」として、名前と装いも新たに生まれ変わりました。リニューアルオープンを記念して、特別展『いまもむかしも胸きゅん嵐山-We Love Arashiyama-』が19年1月27日まで開催されています。

目玉となるのは、江戸時代中期の絵師・矢野夜潮(やのやちょう)によって描かれた『高雄秋景・嵐山春景図屏風』。彼は円山応挙の門弟である山口素絢(そけん)の弟子で、写景が得意といわれた画家です。しかしながらこれまで10点程度の作品しか発見されておらず、美術史の表舞台に登場しない、知られざる画家でした。それが、17年7月に個人宅で発見された屏風が矢野夜潮の真筆であると断定され、今回の展示が国内初公開となります。他にも、与謝野蕪村や嵯峨にアトリエを構えた近代日本画の巨匠・竹内栖鳳や冨田渓仙(とみたせいけん)らの作品など、嵯峨嵐山にちなんだ絵画が勢揃いする見応えのある企画展です。

1階には、本館が立つ小倉山のふもとで誕生した小倉百人一首を紹介する常設展のほか、カフェ「嵐山OMOKAGEテラス」が同時オープン。京都の人気フレンチ懐石「祇園おくむら」がプロデュースするランチや、京都で最古の歴史をもつ松井酒造の酒粕でつくったスイーツなど、京都ならではの美味も楽しみです。嵐電・嵐山駅から徒歩6分で渡月橋からすぐという絶好のロケーション。古都の深まる紅葉を愛でつつ、伝説の絵師に想いを馳せるのも一興です。

矢野夜潮筆『高雄秋景・嵐山春景図屏風』左隻 紙本金地著色 江戸時代後期

嵯峨嵐山文華館の外観。1階のカフェ「嵐山OMOKAGEテラス」は入館しなくても利用可能です。

リニューアルオープン特別展
『いまもむかしも胸きゅん嵐山 -We Love Arashiyama- 』

開催期間:2018年11月1日(木)~2019年1月27日(日) 
開催場所:嵯峨嵐山文華館
京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11
TEL:075-882-1111
開館時間:10時~17時  ※入館は16時30分まで。また花灯路期間(18年12月8日〜17日)は20時30分まで開館、入館は20時まで
休館日:火  ※18年12月26日〜19年1月2日は休館
入館料:一般¥900(税込)
www.samac.jp