最新デジタル技術によって、歴史資料がエンタテインメントに! 『デジタルで楽しむ歴史資料』展を見に行こう。

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    江戸図屏風 17世紀(江戸時代初)国立歴史民俗博物館蔵

    近年になり、デジタル技術が飛躍的に進んだことで、それらを分析、研究に使用する、さまざまなジャンルのアカデミズムが大きく発展しています。恐竜の動きをシミュレートする古生物学、大気の動きを予測する気象学などはTVでも紹介されるので、ご存知の方も多いはず。そうした技術の導入は、歴史研究の分野でも盛んで、資料の分析からデータの保存まで、デジタルは欠かせないツールになっています。

    こうした技術は、研究に役立つだけではありません。パソコンやスマートフォンを利用すれば、さまざまな形で歴史資料を楽しむこともできます。そんな企画展示『デジタルで楽しむ歴史資料』が、国立歴史民俗博物館で開催。デジタル技術を使った画像の拡大や、複数資料の比較、色の分析など、日常の視点からでは、なかなか気づくことのない角度から歴史資料を見ることができます。

    大型の屏風絵、洛中洛外図屏風絵「歴博甲本」(時期によっては「江戸図屏風」)を拡大するコーナーでは、描かれている多数の人物像の、いろいろな身分、年齢、服装までがハッキリと見て取れ、その味のある表情に思わず吹き出してしまうはず。

    現在の着物の祖先といえる江戸時代の小袖をフィーチャーするコーナーでは、さまざまな小袖のデザインを切り出し、3Dキャラ「もみちゃん」に着てもらいます。歴史的な小袖の復活は、女性の着物ファンにも満足してもらえるでしょう。

    体験型展示では、江戸時代の「さいころ」が、プロジェクターやLEDも駆使した最新デジタルゲーム台として蘇ります。

    もちろん展示されるのは、重要文化財を含む有名資料ばかり。「前九年合戦絵詞」「結城合戦絵詞」「太平記絵詞」といった名絵巻物が揃い踏みする展示会は、めったにありません! 

    日本人が、これまで学問や文化分野で大事にしてきた「温故知新」は、まさにこのエキシビジョンや現在の日本の学術界にぴったりの言葉。最新のデジタル技術によって、古来の資料から見いだされる、一流のエンターティメントを楽しんでみてはいかがでしょうか。(幕田けいた)

    前九年合戦絵詞(ゼンクネンカッセンエコトバ)(重要文化財) 14世紀(鎌倉時代末)国立歴史民俗博物館蔵

    正倉院古文書歴博複製資料(原品宮内庁正倉院事務所所蔵) 8世紀(奈良時代)国立歴史民俗博物館蔵

    歴博3Dキャラクター「もみちゃん」国立歴史民俗博物館蔵

    企画展示「デジタルで楽しむ歴史資料」

    会期: 2017年3月14日(火)~ 5月7日(日)
    時間:9時30分 ~ 17時(入館は16時30分まで)
     ※開館日・開館時間を変更する場合があります。
    場所:国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
    千葉県佐倉市城内町 117
    休館日:毎週月曜日
    (ただし、休館となる日が休日にあたるときは開館し、翌日を休館日とします)
    入場料:一般830(560)円/高校生・大学生450(250)円/小・中学生無料
    ※( )内は20名以上の団体
    ※総合展示もあわせてご覧になれます。
    ※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。
    ※障害者手帳等保持者は手帳提示により、介護者と共に入館が無料です。

    ※詳細は公式HPで
    http://www.rekihaku.ac.jp