写真家・林雅之が至近距離から捉えた、“花”の生命力を感じる展覧会。

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    花の写真は、林さんが特注した標本箱をイメージした額装に、これもまた標本のような虫ピンで飾られる。

    写真家の林雅之さんによる写真作品の展覧会「Living Flowers 2015 Spring」が、4月10日から東京・赤坂のBooks and Modernで開催されます。エディトリアルやコマーシャルフォト、建築、アートの撮影など、幅広いジャンルで活動する林さんが、ライフワークとして近年取り組んでいるのが、マクロレンズを使い一つの花にとことん近づいて細密に表現する作品「Living Flowers」。2009年、12年に続いて開催される本展覧会でも、林さんが選んだ花々を捉えた新作22点が展開します。

    林さんが「Living Flowers」シリーズを始めたのは、ほんのちょっとした花との出会いから。
    「ある時、華道家の作品を撮影していて、ふとマクロレンズで作品で使われる花を覗いてみたのがきっかけでした。花びらに浮かぶ繊維、色彩、葉脈など、眼に飛び込んできた花のもつ生命にはっとして、もっと見てみたいと思ったのが始まりです」と林さん。

    「Living Flowers」の特徴は、その花の撮影方法。花の前面から照明を当てるのではなく、花びらが透けて見えるような、それでいてその彩りも逃さない柔らかい光の中で撮影することで、林さんが感じている感動を伝える作品が出来上がっていきます。また、生きている花を使うことで、撮影の合間にも光の向きや水の吸い上げによって、向きや形が少しずつ変化していくため、じっと待ちながらその瞬間を写真に収めているといいます。

    「マクロレンズで覗くと、花に付いた少しのキズや傷みがすぐに分かってしまうため、撮影する花は専門の市場でできるだけコンディションの良いものを探します。季節によって撮影する題材は変わりますが、ユリやチューリップなどは、特に花びらの透け感が出ますね。僕がレンズから見ている感じに近づけるよう、展示する時は、標本箱を思わせるオリジナルの額装にして、覗きこむように見てもらいたいと思っています」と林さん。
    身の回りにあって、それでも見過ごしてしまいがちな花々。写真家の眼を通して、その魅力を再発見できる作品を体験してみてはいかがでしょうか。(高柳圭)

    『Living Flowers 2015 Spring』
    〜4月30(木)

    Books and Modern(ブックスアンドモダン)
    東京都港区赤坂9-5-26 パレ乃木坂201
    開館時間:12時〜19時
    入場無料
    休館日:月曜、火曜 ※4月27日、28日は開館

    問い合わせ先/Books and Modern TEL:03-6804-1046