ある日突然、俳優・田辺誠一さんがツイッター にアップした「かっこいい犬。」というイラスト。その摩訶不思議でユーモラスなイラストは、たちまちテレビなどでも取り上げられ、日本中に衝撃と笑顔を与えました。その後、LINEのスタンプを発表して大ブレイク。その田辺さんのキャラなどの作品を展示した初個展が PARCO GALLERY X で開催中です。

彼の独特な感性あふれる作品は、いわゆる「ヘタウマ」というジャンルには決しておさまりきらず、そのキャラたちは限りなく愛らしく、どこかホッと温かい気持ちにさせてくれます。

「最初、『かっこいい犬』がここまで広がるとは思いませんでした。そのうち、かっこいい犬『もっちー』に仲間がいた方がいいなと思い出して、ほかのキャラも増えました。こういったキャラは、家でダラーっとしている時に突然思いついてツイッターにアップすることが多いですね」と語る田辺さん。

さらに、今回の見どころは田辺誠一画伯が本展覧会のために描き下ろした直筆の巨大キャンバス画。そのアングルやキャラのフレーミングには、鋭いセンスを感じる人も多いようです。実は田辺さんは、自分で写真を撮るほか、映画も撮り下ろしています。したがって絵づくりに関しては、こだわりがあるのは当然のこと。会場で流されているもっちーとのプロモーションVTRも、自身で撮影しました。

「はじめてキャンバスに描いたんですが、誰かに教えて頂いたり、勉強したという事もないんです。完全に自己流で、１週間でだいたい１枚の割合で描きました。キャンパスに描く事が思いのほか楽しくて熱中してしまい、これからも続けていきたいです。この絵はお子さんにも楽しんで頂けるように、低めの位置に展示してあるので、ぜひお子さんと。それから仕事帰りにも立ち寄って頂きたいです。こんな渋谷のよい場所で個展を開けるなんて、うちの親とか家族がビックリしてました。妻もすごく喜んでくれて、絵を描いてると家のこともおろそかになってしまうんですが、制作には全面的に協力してくれました」

そのほか、この会場でしか手に入らないパルコとの限定コラボのグッズのデザインも、すべて田辺さんが自らデザインを手がけています。
「もっちーには、自分がどうしても投影されちゃうんですよ（笑）。この先もずっと長く描き続けていきたいです。今までは性格の良いキャラクターばかりでしたが、今後はワルキャラなんかも描きたいですね（笑）」

ほかにもっちーと一緒に写真が撮れるフォトコーナーやさらに、もっちーと 飼い主の往復書簡、もっちーの季節の抜け毛なども公開されており、こういったアイディアもすべて田辺さん自身によるもの。 週替わりデザインのスタンプコーナーもあります。

なにもない真っ白なところから、こんな心和む楽しいキャラたちを次々に生み出すことができる田辺さんは、やはり「画伯」と呼ばれるにふさわしい天才ではないでしょうか。（大嶋慧子）


田辺誠一
1969 年 4 月 3 日 生まれ。モデル出身。俳優としてテレビ・映画などで 活躍するほか、映画監督など多岐にわたり活動。 日本の俳優で初めてツイッター社公認のアカウントを開設。