120年の時空を経て、「あの人」がボストンから里帰り。

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    上、葛飾北斎 『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』 天保2年(1831年)前後
    下、葛飾北斎 『芥子』 天保4-5年(1833-34年)頃

    さて、突然問題です。米国のライフ誌が選んだ「この千年で最も重要な出来事・人物」に唯一名前が挙がった日本人とは? この名作『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』を見ればもうお分かりですね。そう、日本が誇る天才浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)です。
    90年の長きにわたり一介の町民として質素な暮らしを続け、ひたすら絵画の道を突き進んだ北斎。彼を初めてアメリカに紹介したのがボストン美術館とキュレーターのアーネスト・フェノロサでした。その特別企画展『HOKUSAI AND HIS SCHOOL』(1892-93年)から120年を経て、ボストン美術館に収蔵された北斎の名作約140点が故国ニッポンに里帰りします。ボストン美術館の浮世絵は門外不出と言われ、ほとんどが未公開のため保存状態が極めて良好。横大判の花鳥シリーズ『芥子』などはまさにいま摺り上がったかのように色鮮やかです。
    世界でボストン美術館にしか収蔵されていない団扇絵『菖蒲に鯉』や、120年前にフェノロサが紹介した北斎の娘・応為の肉筆画『三曲合奏図』など貴重な名作が目白押し。今年の芸術の秋は、北斎で決まりでしょう。

    葛飾応為『三曲合奏図』 弘化年間(1844-48年)頃

    左、葛飾北斎 『百物語 お岩さん』 天保2-3年(1831-32年)頃
    右、葛飾北斎 『鷽 垂桜』 天保5年( 1834年)

    葛飾北斎 『菖蒲 に鯉』 文化中期(1808-13年)

    『ボストン美術館浮世絵名品展』
    9月13日(土)~11月9日(日)

    上野の森美術館
    東京都台東区上野公園 1-2

    TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
    開館時間:10時-17時(金曜日は20時まで)
    ※入館は閉館の30分前まで
    休:9/16(火)、9/29(月)、10/6(月)、10/14(火)、10/20(月)、10/27(月)
    料金:一般¥1,500 高大生¥1,200 小中生¥500
    http://ukiyoe.exhn.jp/


    講演『ボストン美術館の北斎』
    日時:9月14日(日)14時~15時30分
    講師:セーラ・E・トンプソン氏(ボストン美術館アジア・オセアニア・アフリカ美術部日本美術課浮世絵版画室室長)
    場所:東京都美術館講堂
    定員:230名(無料。申込不要、先着順)
    ※逐次通訳付
    ※開場は開演の30分前
    ※聴講には本展観覧券(半券可)が必要です。