貴重な資料で振り返る、「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」が開催です。

  • 文:幕田けいた

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「蒸気船ウィリー」より 1928年 © Disney Enterprises, Inc.

現在公開中の劇場用映画『モアナと伝説の海』でも、比類なきエンターティメント性と高い映像技術を見せてくれているディズニー・アニメーション。全世界で大ヒットを記録するディズニー作品に、もはや「子供向け」というカテゴライズが意味をなさないのは、誰しもが認めるところではないでしょうか。

その創始者であるウォルト・ディズニーが、世界的アイドルのミッキーマウスを『蒸気船ウィリー』で初登場させて、今年で89年になります。果たしてディズニーは、いかにミッキーを誕生させ、新しい映像技術を研究開発し、現在のディズニー・アニメーションにつなげていったのでしょうか。

その長年積み重ねられたアートセンスとテクノロジーを、膨大な資料で一望する展覧会が開催されます。日本科学未来館の企画展「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」は、超貴重なオリジナル原画やコンセプトアートなど、ほとんどが日本初公開といえる450点以上の資料を一堂に展示。初期のミッキーマウス作品、世界初の長編カラーアニメーション『白雪姫』(1937)、『ダンボ』(41)などから、社会現象まで巻き起こした『アナと雪の女王』(13)、『モアナと伝説の海』まで、その裏側を垣間見ることができます。

アニメーションが完成するまでには、アーティストの芸術的センスを中心に、徹底したリサーチや、さまざまな技術の導入が必要になります。このエキシビションでは、そうした側面にもスポットを当て、絵に「いのちを吹き込む魔法」の秘密に迫っていきます。映画マニア的には、『蒸気船ウィリー』と、それ以前に作られた幻のミッキー出演作『プレーン・クレイジー』の原画は、何より興味深い展示だと思います。

手描きのアニメーションから、デジタル技術を結集したCGアニメーションに移行したことで、作品制作は、何が変わって、何が変わらなかったのでしょうか。「ディズニー・アート展」を見れば、時代とともに急激な進化を続ける映画史の中で、現役のクリエイターたちにも、ウォルト・ディズニーのモノ作りの信念が生き続けているのが分かるはず。会場から出たら、思わず最新作『モアナと伝説の海』の上映劇場に飛び込みたくなるような、魔法のイベントなのです。

「アナと雪の女王」より 2013年 © Disney Enterprises, Inc.

「リトル・マーメイド」より 1989年 © Disney Enterprises, Inc.

企画展「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」

会期:4月8日(土)~9月24日(日)
会場:日本科学未来館 1階 企画展示ゾーン
時間:10時〜17時(入場券の購入および会場への入場は閉館時間の30分前まで)
休館日:火曜日(ただし、5/2、7/25、8/1、8/8、8/15、8/22、8/29は開館)
入場料:大人(19歳以上)¥1800/中人(小学生〜18歳以下)¥1,200(中人 土曜 ¥1,100)/小人(3歳〜小学生未満)¥600

※常設展もご覧いただけます
※2歳以下は無料
※中人土曜券は4月21日(金)、5月5日(金)、7月9日(日)も利用可能

http://da2017.jp/