No.351

浮世絵の正体。

江戸の街に咲き誇ったポップカルチャー
浮世絵の正体。

2014年 01月15日号 No.351 ¥619(税抜)

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デジタル版

浮世絵とは、江戸庶民の最高の娯楽である。
美しい遊女や歌舞伎役者の姿に憧れ夢を見て、
富士の勇壮な景色に旅気分は盛り上がり、
お洒落のセンスは遊女や茶屋娘から盗む。

挙げればきりがないほどに、浮世絵という存在は、
江戸庶民の暮らしを彩るポップカルチャーであった。
絵を読み解いていくにつれ、当時の暮らしや風俗が
ありありと目に浮かび、江戸の人々が現代の私たちと
何ら変わらないということに気付くだろう。

幕府の禁令にもめげず社会風刺を込めた絵に
絵師の心意気を感じたり、そのユーモアを
思い切り笑いとばしたり。

つらく儚い世の中ならいっそ楽しんでしまおうと、
「憂き世」を「浮き世」と発想転換してしまう、
そんなおおらかさが痛快だ。

ページをめくればそこはもう江戸の街。
軽妙洒脱な江戸人の暮らしが生き生きと蘇る!

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  • 江戸の風俗を描き、庶民にとって最高の娯楽であった浮世絵。そこからは江戸庶民の愉快な暮らしぶりがありありと伝わり、江戸も現代も、暮らしの楽しみ方という点では何ら変わりはないのだなあ、ということがわかってきます。擬人化されたたくさんの蛙が激しく戦いを繰り広げている『風流蛙大合戦之図』(ふうりゅうかえるだいがっせんのず)は、幕末から明治にかけて活躍した絵師、河鍋暁斎(かわなべきょうさい)の作。これはある戦いを風刺している「風刺画」ですが、絵の各所にヒントが隠されており(ここでは六葉葵と沢瀉の紋)、当時の庶民たちはそこから想像力を膨らませて楽しんでいたのです。こんなインパクトあふれる作品から、特集はスタートします!
  • 浮世絵の代表的なジャンルである「美人画」は、時代を象徴する流行の顔を描いたものでした。その時代に“美しい”と定義された理想形が描かれていたので、遊女でも町娘でもお姫さまでもみんな同じ顔だったのです。時代を経て、よりリアルな描写の浮世絵も登場してきます。人気の茶屋娘が美しさを競うように腕相撲をしている『おひさ、おきたの腕相撲』は、さながら江戸版AKB48のジャンケン大会。まさにお風呂に入ろうとしている瞬間の女を描いたどこかかわいらしい喜多川歌麿の『入浴図』、娘の体たらくをいましめるためにつくられた教訓絵『教訓親の目鑑俗ニ云ばくれん』(きょうくんおやのめかがみぞくにいうばくれん)など、ユニークな美人画にも注目です。
  • “二大悪所”=遊里(吉原遊郭)と芝居小屋(歌舞伎)は浮世絵の主な題材ということで、「美人画」と並び人気を誇った「役者絵」。当初は役者そのものの顔を描き分けるのではなく役柄のイメージに合わせていましたが、やがてそれぞれを“らしい”顔に描くようになり、「似顔」が確立。「役者絵」はブロマイド化し、ますます人気を博していったのです。左ページでご紹介している『八代目市川團十郎 行年三十二才 法名 浄延信士 八月六日』(はちだいめいちかわだんじゅうろう ぎょうねんさんじゅうにさい ほうみょう じょうえんしんじ はちがつむいか)は、「死絵」というジャンル。一世を風靡した八代目市川團十郎の死を報せるもので、女たちに加え、猫までが死んだ彼に追いすがっており、どこかユーモラス。
  • 江戸の街道が整備され旅ブームが起きると、各地の名所を描いた「名所絵」が、ガイドブックとして人気を集めるようになります。葛飾北斎、歌川広重というふたりの天才が確立、『冨嶽三十六景』(北斎)、『東海道五十三次』(広重)というベストセラーを生み出し、人々は旅への憧れをますます募らせました。ふたりの名所絵を読み解くポイントを教えましょう。“北斎は風景、広重は人物”――風景の描写や技法にこだわり、人物はあくまで添え物とした北斎に対し、広重は人物まで感情豊かに描きました。確かに広重の絵に描かれる人物には表情があり生き生きとしています。リアルさに加え奇抜な構図で遊んだ北斎と、詩情を大切にした広重。あなたはどちらがお好みですか?
  • いまだに謎に包まれた絵師、東洲斎写楽。突如現れた奇才絵師の名を、みなさんも耳にしたことがあるはずです。そもそも無名の新人である彼が、なぜ一気に作品を出版できたのでしょうか。それは、当時のヒットメーカーである版元・蔦屋重三郎の策でした。寛政の改革の取り締まりにより財産の半分を没収されてしまった蔦屋が世間の注目を集めるため、新人絵師の鮮烈なデビューを仕掛けた、というわけです。最初に出版された28点の作品はヒットを記録したようですが、以降売り上げは下がっていきます。役者絵に美と夢を求めた客には特徴をデフォルメしたリアルな描写が受けなかったのでは? 器用ではないので同じ顔しか描けなかったからだ、などいろいろと噂されていますが、その真実やいかに?
  • 現代を生きる浮世絵師、寺岡政美を知っていますか? 1961年に渡米し、現在はハワイに在住する1963年生まれのアーティストです。アメリカでの評価が高いにもかかわらず、日本ではあまり知られることはなかった寺岡氏ですが、2013年上旬、森美術館で開催された『LOVE展 アートにみる愛のかたち』で作品が展示され、その鮮烈な作風が話題を呼びました。“男と女の関係からすべてが生まれる”という彼の思想が込められた作品は、「性」をテーマにしたものが中心。アメリカ在住の日本人という立場から、アメリカ人と日本人の考え方の違いやギャップをベースに独自のファンタジーを織り交ぜた作品は、現代の日本人なら誰しも共感でき、思わずくすっと笑ってしまうエスプリが効いたもの。とじ込み付録で紹介しています。 

目次

【美人画】【役者絵】【名所絵】【花鳥画】【戯画】

そもそも浮世絵とは、いったい何なのか?

多様な発展を遂げた、浮世絵版画の形式。

江戸カルチャーが生んだ、名浮世絵師たち。

【美人画】トップモデルにアイドル? 江戸の女は、リアルで美しい。

【役者絵】麗しき姿も生きざまも憧れの的、江戸を代表する粋な男たち。

【名所絵】2人の天才絵師が確立した、旅のガイドブックという風景画。

絵の特徴から迫る、謎の絵師・写楽の正体。

絵に垣間見える、江戸庶民の暮らしぶり。
着物/園芸/食文化/愛猫  
幽霊妖怪/北斎漫画/遊び心/風刺と笑い

個性あふれる上方絵、知られざる美しき世界。

幕末から開国へ、時代に翻弄された最後の光。

名作が一挙公開、江戸時代へタイムスリップ!

性と社会を描く現代の浮世絵師 寺岡政美を知っているか? 

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