“本物”にこだわる「JINS DESIGN LAB.」の美しきアイウエア

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:和田達彦
  • ムービー:HIROBA

Share:

セルロイドならではの魅力を再発見させてくれるジンズの新しい眼鏡が登場。アイウエアデザインの可能性を追求する「JINS DESIGN LAB.」プロジェクトの第3弾、「CELLULOID meets Sabae」の真価に迫ります。

アイウエアを構成する要素を概念的、技術的に追求し、新しいアイウエアを生み出すプロジェクト「JINS DESIGN LAB.」。
昨年始動した同プロジェクトはこれまでに、プロダクトデザイナーの角田陽太氏と「ライン(線)」の美しさを追求したモデルや、日本の眼鏡の聖地と呼ばれる鯖江とタッグを組んだチタンフレームのモデルなどを発表し、注目を集めてきました。

この度デビューした第3弾「CELLULOID meets Sabae」は、第2弾と同様「進化は細部に宿る」がテーマ。110年の歴史と高い技術力で知られる福井県鯖江市の職人との協働で、素材の持ち味を最大限に引き出したデザインが特徴です。知と技を集結した職人、トレンドに左右されない普遍性をもつ素材、かけ心地と細部にこだわったデザイン。それらすべてにおいて“本物”にこだわるのが、「CELLULOID meets Sabae」の魅力です。

尾原史和さんが共感する、繊細なディテール

尾原史和。1975年生まれ。スープ・デザイン代表。雑誌や書籍を中心に、展覧会のカタログや広告などのアートディレクションを手がける。2009年に立ち上げたマルチプル・レーベル「PLANCTON」では、ジャンルにとらわれない制作を行う。著書に『逆行』(ミシマ社)、『デザインの手がかり』(誠文堂新光社)など。

身に着けるもの、普段使いするものは、自分との身体的な相性を重視して、スタンダードなデザインを好むと語るアートディレクターの尾原史和さん。
たとえば文房具、衣服、そしてもちちろん、眼鏡も然り。「いちばん重要なのはかけ心地ですが、キャラクターを左右されるようなデザインは嫌ですね。自分にとって無理がないものがいい」。ジンズの新しいシリーズ「CELLULOID meets Sabae」は、その点で相性のよさを感じるそうです。「テンプルの太さが途中で変わっていて、先がぷっくり膨らんでいるところなど、耳当たりのよさを踏まえながら愛嬌も出していますね。プレーンなフォルムながら、ディテールを積み上げていくことによって、しっかり大人っぽいものになっている。極端なものにならないようにしつつ、ちゃんとデザインされているというか、誠実につくっているという印象がします。ストレートの直球なんだけど、うまく緩急をつけてる感じです」

見た目の造形だけでなく、かけ心地を左右するディテールのデザインに注目する尾原さん。

モノを見る際は、どのような使われ方を目的につくっているかを気にしながらディテールをチェックする習慣があると言う尾原さん。デザインのためのデザインでなく、眼鏡としての使いやすさを追求したデザインを感じたようです。それは、自身がデザインを手がける際にも大事なことなのだと語ります。

「たとえば本なら、紙が集まって立体物になり、手にとって読まれるもの。だから、めくりやすさなども重要です。また内容とデザインにギャップがあると、本来意図したものとまったく違う本になってしまう可能性もある。実際に制作するのは二次元のデータだとしても、その先の〝どういう使われ方をするか〞を考えることがデザインだと思うし、表面的な部分よりも、それを頭に巡らすことのほうが多いかもしれないですね」

セルロイドという伝統的な素材を見直し、その美しい光沢と堅牢さを活かしつつ、しなやかなテンプルによるかけ心地のよさという新たな価値を加えた眼鏡。いままではセルロイドにバネ性をもたせることは不可能でしたが、ジンズの知見が鯖江の職人の技術と融合したことでこれが実現されました。

「相手がなにをもっているかを知ることが大切なんですよね。自分がやりたいことについて、できない場合もあるし、できるけどやっていなかったという場合もある。また相手の技術によってできることを発見し、別の新しいものが生まれることもある。お互いが向かう先を一緒に考えながらつくると、相手からも意見が出てきて、一気に動き出す。僕も印刷の工程などでそういう経験をしてきました。この眼鏡もそれと同じような過程を経て生まれたんだなと感じます」

セルロイドにしかない味わいと、包み込むようなかけ心地。

エッジを丸く磨き上げた甲丸仕上げ(丸みのあるとろんとした表面加工)により、面のツヤを実現。
セルロイド特有の重厚感と光沢は、鯖江の眼鏡職人が幾度も磨きを繰り返すことではじめて生まれるものです。

「CELLULOID meets Sabae」のシリーズで用いられるセルロイドは、美しい光沢と型崩れしにくい頑健さを併せ持ち、加工や管理に高度な技術が必要とされる素材です。

各工程には通常の倍以上の手間と時間を要し、粗磨き、中間磨き、ツヤ磨きと、何度も磨きを丹念に繰り返したフレームには奥深い重厚感のあるツヤが生まれます。また、セルロイドはしっかりと乾燥させることで、硬度と彩度が格段にアップします。経年劣化も少なくなり、しっとり肌に馴染むのも特徴です。このような素材の特性を知りつくし、その美しさと肌触りを最大限に活かす技術をもっているのが鯖江の職人です。

バネ性とホールド性を兼ね備えるテンプルは蝶番から中央部までを薄く、それ以降が太くシェイプされています。
細いテンプルの中に正確に芯材を挿入するためには、長年の経験が必要です。

これまで、堅牢で変形することが少ないセルロイドにしなやかな弾力性を加えることは、ほぼ実現不可能とされてきました。この度、ジンズがこだわり続けてきた「かけ心地」を表現するために新しく開発したのが、弾力性と耐久性を併せ持ったバネ性のあるテンプルです。芯材に採用したのは、柔軟性の高いハイニッケル合金やβチタン。さらに蝶番からテンプル中央部までを薄く細身にシェイプすることで、一定の硬さをキープしながらバネ性を実現しました。また、一部商品には人の体温(約36℃)で鼻のラインに馴染む形状記憶樹脂の鼻パッドを採用しています。

長い時をかけて付き合いたい、注目の3モデル

MDF-16S-714 ブラウンササ

日本人の顔型によく似合うウェリントンスタイル。エッジを丸く磨き上げた甲丸仕上げに加え、笹の葉のような縞模様がさりげなく存在感を主張します。テンプル芯にはバネ性を出すためハイニッケル合金を使用。適度なしなりと強いコシは、従来のセルロイドフレームにはない抜群の掛け心地です。セルロイドがもつ独特のぬくもりや肌馴染みを存分に楽しめる一本です。¥19,440 ※度付きレンズ代込

MDF-16S-716 スモーキーブルー

セルロイドとチタンとのコンビネーションでクラシカルな雰囲気を演出するブロースタイル。デニムのようなカラーリングが男心をくすぐります。鼻パッドには人の体温(約36℃)で鼻ラインになじむ形状記憶樹脂パッドを使用し、軽量ながらも安定感のある適度な重量バランスをキープ。ウレタン系樹脂で肌にも優しく、度付きレンズの重さを軽減します。¥19,440 ※度付きレンズ代込

MDF-16S-718 カーキ

カーキの色をポイント使いしたフロントフェイスと、細くスマートに伸びるテンプルの組み合わせが洒脱なスタイルを演出。βチタンを使用したテンプルは、ホールド感を維持するためエンド部分にボリュームをもたせ、圧倒的なフィット感を実現させています。「MDF-16S-716」同様、セルロイドとチタンのコンビネーションで、鼻パッドに形状記憶樹脂パッドを使用したモデル。¥19,440 ※度付きレンズ代込


「JINSDESIGN LAB.」の第3弾「CELLULOID meets Sabae」は、総セルフレームを始め8型32種をラインアップ。カラーバリエーションも豊富で、自分に似合う一本が見つかります。鯖江の職人が丹念に手仕事で仕上げた逸品は、セルロイドならではのしっとりとした質感と手磨きならではの柔らかな線をもち、歪みや曲がりにも強く、毎日を共にする相棒としても心強い存在です。その魅力は、長く使っていくうちにいっそう実感できるもの。時には「一生もの」と呼ばれることもあるセルロイドの眼鏡。「CELLULOID meets Sabae」シリーズは、その価値がある逸品といえるでしょう。

JINS DESIGN LAB.

http://www.jins.com/jp/lab/
※一部のJINS店舗で展開。店舗により取扱商品が異なる場合があります。