大人が選ぶべきは、トップジュエラー「ブシュロン」の逸品。

  • 写真:江森康之
  • 文:柴田 充

Share:

パリの5大ジュエラー“グランサンク”を代表する老舗メゾンであるブシュロン。歴史と革新に彩られたマスターピースと、その豊かな世界観を体感できる銀座店を、スペシャルムービーとともに紹介します。

女性をも魅了した革新的タイムピース

上は「リフレ」ラージモデル。自動巻き、ステンレススチールケース、ホワイトラッカーダイヤル、ローマンインデックスと12時位置にカボションサファイア、¥604,800。下は「リフレ」ラージモデル。自動巻き、ピンクゴールドケース、ホワイトラッカーダイヤル、ローマンインデックスと12時位置にカボションサファイア、¥2,030,400
ブシュロンを代表する角形時計、それが上の写真の「リフレ」です。1947年、創業家の3代目ジェラール・ブシュロンの「男性のための美しい時計をつくりたい」という強い思いから誕生しました。縦長の直線的なフォルムをより印象的に演出するのが、ブシュロンを象徴する縞模様の「ダブルゴドロン」のモチーフ。リフレというモデル名も、その光の反射により生じる輝きからネーミングされました。リューズと12時位置のインデックスには、同じくメゾンのアイコンであるカボションサファイアがブルーの輝きを静かに湛え、カレンダーを省いたドレッシーな文字盤は、エレガントななかにも機能性を備えます。メンズウォッチとして開発されたにもかかわらず、その評判は多くの女性たちの垂涎の的となり、ユニセックスなマスターピースとして現在までロングセラーを続けているのです。
交換できるストラップは、さまざまなカラーのレザーやメタルブレスレットなどのラインアップを展開。
美しいデザインに目を奪われますが、実際に手にしてみると、さらなる洗練の個性と魅力を発見します。ストラップを留める機構には、1948年に特許を取得した「インヴィジブル クラスプ システム」を採用。これは一般的な時計のような尾錠ではなく、ケース本体の上下にストラップをスライドさせて留める方式。まるでオーダーメイドしたように自分の手首のサイズに合ったストラップは見た目にも洗練され、かつ異なる皮革や色のストラップにも自在に交換できる機能性も見逃せません。季節だけでなく、たとえば旅先などさまざまなシーンに合わせて違ったスタイルを簡単に楽しめ、幅広いオケージョンで使用できることでいっそう愛着が増していくのです。これもリフレが愛され続ける理由のひとつではないでしょうか。
縞模様のダブルゴドロンダイヤルやグレーダイヤルなど、文字盤のデザインバリエーションも豊富。
もともとはメンズウォッチとして誕生したリフレですが、前述したとおり、その美しさと先進性は男性だけでなく、多くの女性たちを虜にしました。そうした要望に応え、現行コレクションではスモール、ミディアム、ラージという3種類のケースサイズを展開しています。スモールとミディアムはステンレススチールとイエローゴールドの2素材に、クオーツ式ムーブメントを内蔵。ダイヤモンドセッティングや黒文字盤、ホワイトラッカーの文字盤や美しいブレスレットも用意されています。ラージはステンレススチールとピンクゴールドの2素材に、機械式ムーブメントを搭載。いずれも基本的なスタイルを変えることなく、好みに合わせて選択できます。また小ぶりのケースが注目を集めるいま、男性がミディアムモデルを着けるのもお薦めです。

時代を牽引するトップジュエラーの軌跡。

ヴァンドーム広場26番地に初出店しアトリエを構えた、1893年当時のブティック外観。
1900年に開催されたパリ万国博覧会でグランプリを獲得した際の出展ブースの様子。
ブシュロンは、1858年にパリで誕生したハイジュエラーです。創業者フレデリック・ブシュロンは14歳の頃からジュエリー製作を学び、やがてダイヤモンドに初めて彫刻を施したり、透過性のあるエナメル技法を考案するなど、斬新な発想と卓越した技法でジュエリー界に革命を起こしました。1893年、当時は高級邸宅街だったヴァンドーム広場のカスティリオーネ伯爵夫人邸に移転。いまでは高級メゾンの中心地となった広場に、初めて店舗とアトリエを構えました(上写真)。また同メゾンのクリエイションは、クラシックスタイルが全盛だったジュエリーの世界に、いち早く自然界からモチーフを取り入れたことでも知られています。1900年のパリ万国博覧会ではグランプリを受賞し、アールヌーボーの先駆者としてその名を広く知らしめたのです。
縞模様のダブルゴドロンが水平方向に刻まれている、1947年に発表された最初の「リフレ」。
ブシュロンのジュエリーを選んでいる、在りし日のセルジュ・ゲンスブールとジェーン・バーキン。
またブシュロンの時計づくりの歴史は古く、創業からまだ間もない1859年に始まりました。創業地だったパレ・ロワイヤル15番地の庭園内には小型の大砲が配され、毎正時砲音を轟かせたといいます。その台座には“私はよろこびの時だけを刻む”という文言が刻まれ、感銘を受けた創業者フレデリックは、自らがつくるタイムピースもこれをモットーにすることにしました。1947年に誕生した「リフレ」にもこの精神は受け継がれ、「愛の讃歌」を作詞したエディット・ピアフは、この曲を初めて歌う時には幸運が訪れるようにと願いを込めて同モデルを購入したそうです。果たして曲は大ヒット、彼女にとってこの時計は幸運のお守りになったのでした。ピアフは生涯21個以上のリフレを購入し、そのひとつは恋人マルセル・セルダンに贈られました。そしてセルジュ・ゲンスブールがジェーン・バーキンに贈ったのもブシュロンであり、いつの時代も恋人たちのラッキーチャームとして愛されていたのです。

4つの装飾が織り成す永世定番リング

手前から時計回りに、
「キャトル クラシック」ダイヤモンド リング ラージ。ダイヤモンド、イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールド、ブラウンPVD、¥1,069,200。
「キャトル ブラック」リング スモール。ホワイトゴールド、ブラックPVD、¥463,320。
「キャトル クラシック」リング スモール。ホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールド、ブラウンPVD、¥384,480
かつてジュエリー界の革命児と称されたブシュロンの精神は、いまも変わることなく受け継がれています。2004年に登場した、「キャトル」コレクションもそのひとつ。異なる4種類の装飾をひとつのリングに結実させました。ひとつめの「グログラン」は装飾用のシルクリボンやオートクチュールのドレスのデザインに由来し、熟練した金細工師の技により、ボリューム感とグラフィカルな美しさを両立しています。ふたつめはジュエラーの本領を発揮する「ダイヤモンド」。特にキャトルのために開発されたミラーセッティングを施し、美しい光の反射ときらめきを実現しています。そして「クル ド パリ」はヴァンドーム広場の石畳を表現し、この地に高級メゾンの歴史を拓いたブシュロンの歴史を物語ります。最後は創業者フレデリックによって1889年に考案され、同メゾンのシンボルとなった縞模様の「ダブルゴドロン」。これら4つの美がラグジュアリーなハーモニーを奏でます。
きらめくグログランの向きを変えて着けることで、印象が異なるのもこの「キャトル」の特徴。
ボリューム感があるデザインのリングですが、実際に着けてみると意外と違和感がないことがわかります。肌に触れるなめらかな裏面や着け外しのしやすさ、そして幅があることでむしろ安定感と心地よさが感じられるのです。じつはこのキャトルのユニークなデザインは、見た目だけでなく、ある機能も備えていることに気づきました――。きらめくグログランを自分側にすれば気分を高揚させ、逆のダブルゴドロンに反転してつければ、なめらかな曲面が気持ちをリラックスさせてくれるのです。もちろんそれを見る人にも同じような印象を与えるわけで、たとえば相手によってリングの向きを変えたり、デイタイムとナイトタイムで変えるのもいいかもしれません。シーンや用途に合わせて使い分けられる、キャトルならではの楽しみ方といえるでしょう。
左からモノトーンを基調とした「キャトル ブラック」、ホワイトセラミックを配した「キャトル ホワイト」、永遠の定番である「キャトル クラシック」という幅広いバリエーション。
創造的なデザインに加え、素材の技術革新やモチーフの再解釈によって、キャトルはコレクションの幅を広げてきました。リングは幅が異なるスモールとラージのほか、「キャトル クラシック」は4種の装飾とホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールド、ブラウンPVD、ダイヤモンドを組み合わせたスタンダードライン。「キャトル ホワイト」はブラウンPVDに替えて、独自開発のホワイトセラミックを採用した清涼感あるライン。そしてホワイトゴールドとブラックPVD、ダイヤモンドを組み合わせたモノトーンの「キャトル ブラック」は、より男性的なクールな印象を与えます。また「キャトル ラディアント」は、ホワイトゴールドまたはイエローゴールドとダイヤモンドのコンビネーションで、よりゴージャスな存在感を湛えます。スタイルや仕様によってまったく違う個性を演出するのも、このリングの魅力なのです。

老舗メゾンの精神を受け継ぐ新たな空間。

今年2月にリニューアルしたブシュロン銀座の外観と、1階のジュエリー&ウォッチ フロア。同メゾンが誇る、職人の卓越した技術を映し出した写真や映像も展示されています。

パリ・ヴァンドーム広場26番地に位置する本店ブティックは、この地に初めて高級メゾンの息吹をもたらしたブシュロンの誇りであるとともに、創業から155年以上を経た歴史の重みを現代に伝えます。そしてブシュロン銀座は、この精神を受け継ぎつつ、ここにしかない最新のコンセプトを採用。
総面積233㎡におよぶ明るく開放感のある店内には、コンテンポラリーでありながらパーソナルで温かみのある空気に満ちています。欧州製ファニチャーや糸選びからこだわったカーペット、銀箔の壁面や大理石は、すべて銀座店のためにオーダーメイドされたもの。
そしてショーケースや照明、ミラーなどいたるところにメゾンを象徴する縞模様の「ダブルゴドロン」モチーフが施され、独自の世界観を伝えます。また銀座店でしか手に入らない、オリジナルのフレグランスもぜひ試してみてください。

上は「キャトル ホワイト」ダイヤモンド リング スモール。イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールド、ホワイトセラミック、ダイヤモンド、¥777,600。下は「キャトル クラシック」ペンダント。イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールド、ブラウンPVD、¥505,440
男性が虜になる以上に、女性にとってブシュロンはまさに垂涎の的であり、サプライズのギフトにも最適です。個性的でありながらも自由に着けこなしを楽しめるデザインは、どんなスタイルにも合わせやすく、しかもハイジュエラーの輝きは女性の心を捉えて離しません。「リフレ」や「キャトル」はユニセックスに使えるので、ペアで揃えるのもお薦めです。豊富なバリエーションは選択肢も広く、いかにもペアで着けているという気恥ずかしさもないでしょう。かつてジュエリーは男性が女性に愛の証として贈ったものでした――。そんな魅惑的なギフトとしてもブシュロンなら間違いのない選択といえます。(柴田 充)

ブシュロン銀座
東京都中央区銀座5-4-4
TEL:03-5537-2200
営業時間:11時30分~19時30分
定休日:水

問い合わせ先/ブシュロン カスタマーサービス TEL:03-5537-2203
www.boucheron.com