アートが薫る、プレミアムなコニャック

  • 写真:宇田川 淳、星 武志
  • 文:安齋喜美子

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創業250周年を迎える「ヘネシー」から、現代美術家との特別コラボボトルが登場。コニャック×アートの競演、その誕生までの軌跡をひも解きます。

「HENNESSY V.S LIMITED EDITION BY RYAN MCGINNESS」数量限定販売。¥4,104

世界で最も有名なコニャックメゾン「ヘネシー」と気鋭の現代アーティスト、ライアン・マクギネスによるコラボレーションが実現。伝統のブレンディングと革新的なアートワークの出合いが生み出した、「ヘネシー V.S」の新たな世界観を紹介します。

創作哲学が共鳴した、コニャック×アートの競演。

世界的に注目される気鋭のアーティスト、ライアン・マクギネス(Ryan McGinness)。米国・バージニア生まれ。ニューヨーク在住の現代美術家。
イラストや絵画、彫刻、プリントをはじめ、公共標識や企業ロゴなど多彩な創作活動を展開。彼の作品はニューヨーク近代美術館、スペインのカスティーリャ・イ・レオン現代美術館など、世界の名だたる美術館に展示されている。

世界で最も有名なコニャックメゾン、それが「ヘネシー」です。果実を原料とする蒸留酒をブランデーと呼ぶが、フランス・コニャック地方で産出されるものは“コニャック”と称され、なかでもヘネシーは象徴的なトップメゾンとして愛飲されています。
今回、創業250周年を迎えるヘネシーから、気鋭の現代アーティスト、ライアン・マクギネスとの特別コラボボトルが誕生しました。このコラボレーションは、ヘネシーの創業以来の哲学“アート・オブ・ブレンディング”と、ライアン・マクギネス独自の制作コンセプト“「元素」「化合物」「混合物」の三位一体”との融合を体現するものでもあります。

ラベルと同じアートワークが施されたスペシャルパッケージ。左側面、正面、右側面の3個を組み合わせると、“一枚絵”となる仕様も秀逸。
ブラックライトを当てると、ラベルとネックのアートワークが発光。異なる表情を見せてくれる斬新なデザインだ。

彼は創作プロセスで、化学を比喩的に用いて「元素<化合物<混合物」という独自の公式をつくり、作品へとアプローチしていきます。スケッチというグラフィカルな「元素」を用いて、「化合物」であるイラストを創作、そして絵画や彫刻、インスタレーションの形をとる「混合物」へとつなげていくのです。ライアン・マクギネスは解説します。
「私が独自の作品世界を構築する方法は、ヘネシーが自らの世界観を創出する方法と似ています。ヘネシーの場合はコニャック、私の場合はアートと、それぞれ具現化する形に違いはあれど、お互いのアプローチのあいだには驚くほどの共通点があるのです」
彼の代表作『Black Holes』をテーマとした複雑な構図と鮮やかなネオンカラーは、見る者の心を捉えて離しません。“無限の光”を思わせるようなアートワークは、ヘネシーの指標“アート・オブ・ブレンディング”の象徴でもあるのです。

蒸留所訪問から始まった、コラボレーションの軌跡。

蒸留所を視察するライアン・マクギネス。コニャックの香りや木槌の音、セラーの空気など、あらゆるものに五感を傾ける。すでに彼の創作は始まっているのだ。
熟成過程のオー・ド・ヴィー(原酒)をテイスティング。深い味わいのなかに、老舗メゾンの伝統を感じる一瞬だ。

このコラボレーションにあたり、ライアン・マクギネスはフランス南西部、コニャック地方にあるメゾン ヘネシーを訪れました。ここはワインの銘醸地であるボルドーの北側に位置し、周辺にはコニャックの原料となる白ブドウ(ユニ・ブラン)の畑が広がっています。

「ヘネシー V.S」のつくり方はいまも変わらず、頑なに伝統製法を守り続けています。昔ながらの銅製ポットスチルで単式蒸留を2回行い、出来上がった“オー・ド・ヴィー(原酒)”をフレンチオーク樽で2年以上熟成させます。コニャック地方上位4地区で収穫されたブドウからつくられる、オー・ド・ヴィー40種類をブレンドするとのこと。その配合比率は門外不出で、このレシピが唯一無二の味わいを生み出すのです。

特筆すべきは、樽を製造する自社工場を併設していることです。原酒の熟成において樽は重要なもの。伝統の味を守るためには、妥協を許さない信念が感じられます。ライアン・マクギネスはセラーマスターとともに原酒を試飲し、誇りをもって働く職人たちに感銘を受けました。そしてヘネシーと自身とのあいだに、共通する哲学を見出したのです。

「私は創作においてクラフトマンシップにこだわっていますが、ヘネシーに高い価値を見出したのも、このモノづくりの姿勢です。それは人間の精神性が体現されたクリエイションともいえます。クラフトマンシップこそが人間と機械、そしてアートとオートメーションを分かつのです」

蒸留所で受けたインスピレーションを自身のイメージとして再構築し、ラフスケッチに取りかかる。彼独自のアートの公式「元素<化合物<混合物」が具現化されていく。
精巧な原版をもとに、多色刷りを行うプリント工程。新たな“アート・オブ・ブレンディング”の誕生だ。

新たなカクテルの提案という、もうひとつのコラボ

フルーツの甘さが際立つ、フレッシュな味わいの新カクテル。コニャックの風味がしっかりと活きている。リフレッシュメントにも最適だ。

ライアン・マクギネスとのもうひとつのコラボレーションが、「ヘネシー V.S」による新カクテルの提案。ラズベリーをつかった「Black Hole pink by Ryan McGinness」と、ブルーベリーを用いた「Black Hole blue by Ryan McGinness」という、2種類の“飲むアート作品”です。
これらは彼が実際に蒸留所を訪れた際、長い歴史と高度な技術から生まれる“揺るぎない味”にインスパイアされ、自身がレシピを考案したもの。通常、コニャックは単体で楽しむのが一般的ですが、贅沢にもカクテルにすることで、彼はまた、新たなコラボレーションを生み出しました。

「Black Hole pink by Ryan McGinness」【つくり方】①シェーカーにラズベリー(5個)とパイナップル(ひと口大/3個)を入れ、つぶす。②ヘネシー V.S(40ml)とシロップ(5ml)、氷を適宜加えてシェイクし、漉してグラスに注ぐ。③ラズベリーとミントの葉を添えて、完成。
「Black Hole blue by Ryan McGinness」【つくり方】①シェーカーにブルーベリー(10個)を入れ、つぶす。②ヘネシー V.S(40ml)とシロップ(5ml)、氷を適宜加えてシェイクし、漉してグラスに注ぐ。③ブルーベリーとミントの葉を添えて、完成。グラスはお好みのもので。

今回、このカクテルを再現してくれたのが、神楽坂のバー「ウッズ」の石井慎店長です。バーテンダー歴16年の彼自身、昨年からのウイスキーブームの流れで、コニャックによるカクテル人気の高まりを実感しているとのこと。
「コニャックは、樽由来のバニラやモカなどの香りがとても豊かです。特にヘネシーは味も香りもふくよかなので、フルーツとの相性がいい。仕上がりも華やかな印象になりますね」
確かに、実際に口に含むと、フルーツの甘さが際立ちながらも、余韻にはコニャック特有のふくよかさが感じとれます。エレガントでありながらも芯のある味わいです。機会があれば、この“飲むアート作品”にもぜひトライしてみてください。ヘネシー V.Sの新たな魅力に出合えるはずです。(安齋喜美子)

■季節を感じさせる、旬のカクテルが人気。
フルーツをつかった季節感あふれるカクテルが豊富な、スタイリッシュなバー。ソファで寛げるテラス席もあり、隠れ家的な存在です。この2種類の新カクテルもオーダー可能。

【ウッズ(Woodz)】

東京都新宿区神楽坂3-6 神楽坂サムライ堂ビル7F・8F
TEL:03-3268-0031
営業時間:18時~深夜2時
定休日:日、祝

問い合わせ先/MHD モエ ヘネシー ディアジオ モエ ヘネシー マーケティング部 TEL:03-5217-9738
www.mhdkk.com